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  • 2018/05/17

ブロックチェーンをビジネスに応用する方法4つ、未成熟な今こそ取り組むべきだ

ガートナー 鈴木雅喜氏が解説

あらゆる業界のトップ企業を中心に、ブロックチェーンへの取り組みを模索する動きが加速している。一方、テクノロジーや開発環境などはまだ未成熟で、「ブロックチェーンは本当に使えるのか」という声があるのも事実だ。それでもなお「今」取り組むべき理由は何か、ガートナー バイス プレジデント、鈴木雅喜氏が解説した。

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すでにブロックチェーンを巡る競争は激化しつつある
(©monkographic - Fotolia)

ブロックチェーンは先端テクノロジーの中でも異質

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 AI、IoT、ロボットなど、さまざまな新しいテクノロジーが生まれ、次々とサービスに取り込まれつつある。そして、それが高度なサービスになり、やがて社会インフラになっていくだろう。これらのテクノロジーと比べると、ひと味もふた味も違うテクノロジーがある。それが「ブロックチェーン」だ。

 他のテクノロジーは、基本的にデータを集めて活用するもの。一方、ブロックチェーンは信頼性が高い取引を、低コストで、しかもダウンタイムなしで行える仕組みであり、種類がまったく異なる。

 デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれ、企業がこぞってデジタルビジネスの実践を目指す中で、ブロックチェーンを無視することはとても危険だ。なぜなら、新しいテクノロジーがデジタルビジネスの起爆剤となる可能性を秘めているからである。

 ブロックチェーンの特徴の中でも非常に大きな部分として、従来の「中央集権型」のシステムと異なり、「分散型」であることが挙げられる。

 従来は、中央に何十億円、場合によっては何百億円もの投資をしてシステムを構築して、中央のサーバにノードがつながって、取引を管理していた。もちろん、莫大な費用がかかるだけでなく、システムの管理者・管理主体が責任を持ち、ノードを持つユーザーがそれを信頼していることが大きな特徴だ。

 ブロックチェーンが新たに提供する特性は、「中央のシステムを省く」ということではなく、取引のやり取りをプロトコル上で担保して信頼性の高い状態で実行しようとする点にある。

 ただ、現実には中央集権型と分散型にそれぞれメリットとデメリットがあるため、その“中間”のタイプもいろいろなものが出てきており、はっきり二極化しているわけではない。

各業界のトップ企業が「恐ろしい数」のPoCを実施

 分散型のメリットは、「人や権威による仲介を通さず、高速な価値を交換できる可能性がある」ことだ。そのため、世の中にある仲介型のビジネスは、いわゆる“中抜き”にされるリスクがある。

 その代表格が「銀行」だ。銀行とは違う形でお金をやり取りしようという新興勢力が出てきた時に、銀行業というビジネスが破壊されるという非常に大きなリスクにされされる可能性がある。

 それゆえ、銀行は早くからブロックチェーンに取り組んできた。メガバンクを中心に、日本だけでなく世界中の銀行で、ブロックチェーンの検討が精力的に進められてきている。

 ブロックチェーンは、これ活用することで従来の莫大な額をかけてきたシステムのコストが安くなるというメリットをもたらす一面もある。

 銀行にとってブロックチェーンは、単にリスクを生み出すだけでなく新しいビジネスモデル、新しい機会をもたらす可能性もある。政府・省庁、ベンダーも巻き込んで議論しながらブロックチェーンの活用を検討している状況だ。

 同様の動きは、幅広い業種へと広がっている。今、各業種のトップクラスの企業がブロックチェーンで何かできないかを模索している。実運用されている事例で目立つものはまだないが、ブロックチェーンを実際に構築して、“リスク”と“機会”をはっきりさせようという狙いがある。

 銀行、証券、保険などの金融業、公共、ECサイト・小売、製造、エネルギーといった業界のトップ企業、もしくは、規模は小さくともテクノロジーを重視する企業が積極的な活動を進めているという。

日本の業界メガバンク、ネット系銀行・証券、公共、地銀、保険、ECサイト/小売り、製造、エネルギーなどBitcoin core、R3、mijin、Ripple、Hyperledger Fabric、Etherium、Digital Asset
用途展開ライド・シェアリング、民泊、トレーサビリティ、投票、文書登記/保全、ポイント/トークン、宅配ボックスLa'Zooz、Arcade City、Slock.it、シノケン、Airbnb、Everledger、Walmart、Flux、インフォテリア、Factom、Acronis、Notary、日立ソリューションズ、パルコ


テクノロジーの「成熟度」から見えるもの

 ブロックチェーン・テクノロジーのハイプ・サイクルは以下の通り。ブロックチェーンとそこから派生するさまざまなテクノロジーの2017年時点における成熟度を示してある。

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ブロックチェーン・テクノロジのハイプ・サイクル:2017年 (世界市場)
(出典:ガートナー)

 その中で、「ビットコイン」「ブロックチェーン」「スマート・コントラクト」の3つに着目したい。

 まず「ビットコイン」は仮想通貨の一種で、最初の発行から8年を迎え十分成熟しており、今はちょうど幻滅期の底にある。

 2つ目の「ブロックチェーン」は、ブロックチェーンの基本テクノロジーのことだ。これも期待値のピークは越えて、落ち始めている状況。これから急速に成熟していくと考えられる段階だろう。

 3つ目は「スマート・コントラクト」だ。これはブロックチェーンの取引の連鎖の中で契約(コントラクト)をプログラム化し、自動的に実行する技術のこと。これによって、たとえばA社とB社の間にある一定の条件が得られた時だけ、自動的に取引が実行されるような仕組みが構築できる。

 ゆくゆくはスマート・コントラクトにAIを連携できないかという話も出ているが、現在は通常のスマート・コントラクトへの期待が高まっているところだ。これがなければビジネスにブロックチェーンを使えないとまで言われているほどだが、まだ成熟度は高くない分野でもある。

 このほか、ほとんどの新しいテクノロジー、特にビジネス向けのブロックチェーン・テクノロジーは期待値のピークを越える前の段階にある。必ずしも成熟が進んでいるわけではなく、まだまだ新しいものであることがうかがえるだろう。

【次ページ】ブロックチェーンをビジネスに活かす4つのパターン

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