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  • 2018/10/15 掲載

【現地ルポ】ルワンダが「ブロックチェーン大国」として目覚める日は近い

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近代化が進み著しい急成長を遂げている、ルワンダ。ブロックチェーンコミュニティ「Blockchain EXE」に所属する筆者は、現地の大学と共同で5日間におよぶブロックチェーンのワークショップを開催した。実際に行って現地の都市生活や人と触れ合って気づいた「今注目すべき国、ルワンダ」の現状を紹介しよう。

クーガー クリエイティブディレクター 鈴木祥文

クーガー クリエイティブディレクター 鈴木祥文

大人の始まりはドラマーとしてのミュージシャン活動。CDレーベル運営、テレビ番組テーマ曲、ゲーム楽曲提供、タワーレコードJ-INDIESチャート首位獲得、欧米でのCD発売、海外ライブツアー、フジロック出演など、お金で買えない景色を体験。その後、プランナーとしてゲーム業界入り。家庭用ゲーム機からスマホまで、携わったタイトル10作以上。企画立案からプロジェクト化したものも複数。ゲーム開発の他に、イベント企画運営、ラジオ構成作家および出演、書籍企画、映像作品の脚本、タレントマネジメント、商品企画販売などなど、さまざまなフィールドで考えてカタチにして売るメディアプランナーを経て、2017年クーガーにジョイン。甘い食べ物が大好き。甘い飲み物は苦手。

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ルワンダの首都キガリの風景。この国には、ブロックチェーン大国になる可能性がある
(写真:筆者撮影)

アフリカは暑い?貧困?危険?

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 「アフリカ以外に住んでる人たちは、アフリカ大陸全体をひとくくりにして、暑い・貧困・危険というイメージを持つ人が多いけど、まあ情報が少ないから仕方ないよね」

 これは、ワークショップ登壇者の1人がしみじみ語った言葉。皆さんはいかがだろう?

 今回アフリカのルワンダへ行ってきますと伝えた家族や友人からは「暑いだろうから気をつけてね」「野生動物に襲われないようにね」「治安悪いんじゃない?」「ネットとかつながるの?」「疫病とか怖いから予防接種とか忘れずにね」などなど、先に挙げたようなイメージで心配する声をたくさんいただいた。

 確かに、北米やヨーロッパの先進国や身近なアジアと比較すると、日本で得られるアフリカの情報は少ないので偏った認識に陥りがちだ。しかしルワンダを訪れると、多くの人が抱いているであろうアフリカのイメージが覆される。

 「暑い・貧困・危険」どころか、「涼しい・近代的・安全」だ。

ルワンダはどんな国なのか

 ルワンダ(ルワンダ共和国)はアフリカ大陸の中央、赤道に近い場所にあり、面積は岩手県と秋田県を足したくらい。よくたとえられるのが四国の1.5倍。アフリカで最も人口密度の高い国だ。首都キガリは標高1500m前後の高地で涼しく、滞在中は酷暑の日本よりも快適に過ごせた。

 1994年に起こった悲劇的なジェノサイド(ルワンダ虐殺)を乗り越え、現在はポール・カガメ大統領が強いリーダーシップを発揮。人材育成やインフラ開発などを掲げる「VISION 2020 in Rwanda」を推進している。

 人口のほとんどは農産業に従事しているが、ICT分野へ積極的に投資し、先端技術を活用・応用する土壌が整っている。ここ10年間は毎年7~8%近い成長率を誇るなど、目まぐるしい発展を遂げているのが、このルワンダという国だ。

 規制が少ないので他国の企業が参入しやすい。グローバルスタンダードな法律・規制の整備。安定かつオープンな経済情勢。勤勉で粘り強く、モノづくりに向いている国民性。これらがルワンダの大きな特徴だ。

近代化が顕著で治安が良い、ルワンダの都市生活

 ルワンダの首都キガリの中心部は、道路が整い、高いビルが建ち、大型ショッピングモールもあり、キレイなカフェもある。先進国と遜色ない街並みだ。ショップではGalaxy S9端末やhpのプリンターなどが普通に売られており、無料でWi-Fi利用できる飲食店も多数。LTE通信のSIMも現地調達可能だったりと、想像以上に整っている。

 ただ、それらは主にほかの国から訪れた観光客や事業者向け。現地の状況を聞いてみたところ、携帯電話の普及率は90%以上だが、その内スマホ率は20%未満。PCの普及率も5%程度とのこと。

 まだまだ携帯は3G回線での通信がメインで、Wi-Fiも一昔前のADSLのような使用感。Webページの閲覧は気にならないが、画像や動画ファイルの読み込みやアップロードを行うと重く感じる。また、通信が不安定になりやすいのもネック。カフェや宿泊先でWi-Fiが突然切れる、つながらなくなるという状況が多々発生した。

 とはいえ、現地にいながら日本ともやり取りしつつ仕事が進められる環境であることは間違いなく、レストランやカフェで作業をしているとルワンダにいることを忘れるほどだった。

 キガリは「アフリカで最も治安の良い都市」と言われており、日中はもちろん、夜に街中を歩いていても(少なくとも我々が滞在していた間は)特に危険な場面に遭遇することはなかった。

 ショッピングモールやホテル、オフィスビルなどの入り口ではセキュリティチェックがあり、ゲート型の金属探知機をくぐらされたりバッグを開けての荷物検査などを行うが、裏を返せばそれだけ徹底して安全保持に努めているとも言える。

 お店やレストラン、宿泊先などの接客応対も良く、相場以上の金額を吹っ掛けられる、いわゆる「ぼったくり」のようなこともない。歩いているとタクシーに頻繁に声をかけられるが、一言「No」と返せば去っていく。

アフリカ全土に積み上がった課題の数々

 このように近代化が目まぐるしい反面、ルワンダでは今、多くの課題があらわになっている。

 たとえば、急激な都市化による交通問題・公害だ。道路が整備されたことにより、街には多くの自動車やバイクが走っているが、日本で20~30年前に見たような古い車種が多く、排ガスが顕著。街を歩いていると、ニオイはもちろん、見た目も黒いケムリを吐き出しながら走る車の多さに驚く。

 また、道路や建物は整いつつも、生活に関わる重要なインフラ整備が追いついておらず、場所によっては頻繁に水や電気が止まる。歩道はまだこれからといった場所も多く、街のいたる所で工事が行われている。その工事の影響で長期間におよび水道の流れが不安定になっている地域もあるとのこと。宿泊していたホテルの目の前も工事中で、滞在していた一週間だけでも、洗面所をはじめ、シャワーも出ない、トイレの水も流せないといった状況が何度か発生した。

 物流もまだまだ非効率で不透明。約束の日に届かない、そもそも届かないといった問題が多々起こる。

 このように課題の残るルワンダ。さらに、アフリカ全体に視野を広げると、一部の国では 「政治が正しく機能していない」「先進国からの援助が国民の元に届かないことがある」「疾病、貧困、そして援助依存という負の連鎖が続いている」「自分の土地や商売、車などの資産を自分のものと証明することができない」など深刻な課題が山積している。

【次ページ】アフリカの課題に「ブロックチェーン」はどう向き合い、解決するのか?

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