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  • 2018/07/03

急拡大のドラッグストア、コンビニを抜き去り「小売の主役」になるか?

消費市場においてドラッグストアの存在感が急速に高まっている。市場規模はコンビニやスーパーにはまだ及ばないが、安値で消費者にアピールするという小売店の王道を追求し業績を伸ばしている。

経済評論家 加谷珪一

経済評論家 加谷珪一

加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み」(祥伝社新書)、「ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方」(ビジネス社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「教養として身につけたい戦争と経済の本質」(総合法令出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)などがある。

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マツモトキヨシなどのドラッグストアが、スーパーやコンビニを尻目に成長している
(写真:都内にて撮影)

コンビニ市場の半分近くまで成長

 これまで食品や日用品といった消費市場の主役はスーパーマーケットとコンビニエンスストアだった。スーパーは店舗面積の大きさを最大限活用し、大量安値販売を基本としてきた。一方、コンビニは、長く定価販売を続けてきた業界であり、便利さを提供する代わりに商品を高値で売るビジネスモデルであった。

 だが総人口が減少に向かい始めた今、郊外から都市部への人口流入が急ピッチで進んでおり、郊外型のスーパーは苦戦を強いられている。一方、コンビニはスーパーから顧客を奪うことで業績を拡大してきたが、ここにきて強力なライバルが台頭してきた。それがドラッグストアである。

 このところドラッグストア各社は食品の強化を進めており、スーパーやコンビニと完全に競合する業態となっている。都市部だけでなく、地方においても積極的な出店攻勢をかけており、一部ではコンビニよりも地域に密着している。

 ドラッグストアの市場規模は約6兆円となっており、それぞれ10兆円以上の規模があるスーパーやコンビニと比較すると小さいが、市場の伸びはコンビニやスーパーを圧倒している。2017年における販売金額の伸びは、コンビニが2.4%増、スーパーが1.4%増だったが、ドラッグストアは6.4%増と両者を圧倒している。

 今年に入ってからも、前年同月比で6~8%の拡大が続いており、1%から2%台の伸びにとどまっているスーパーやコンビニとは対照的だ。

 業績拡大のペースにこれだけの差があれば、近い将来、ドラッグストアが小売の主役に躍り出るという話もあながちウソではなくなってくる。コンビニやスーパー各社にとっては頭の痛い問題といえる。

ビジネスモデルは定まっていないが、スーパーとコンビニの中間

 ドラッグストアはコンビニのように定まった業態になっているわけではなく、運営する企業によってビジネスモデルはさまざまである。

 マツモトキヨシのように首都圏を中心に展開し、外国人観光客をうまく取り込むところもあれば、中部地域を得意とするスギ薬局のようところもある。一方、コスモス薬品は九州を中心に郊外型大規模店舗を展開するなどスーパーを強く意識した戦略を採用している。こうした状況から、スーパーやコンビニのように特定の数社で寡占化される市場構造にはなっておらず、ドラッグストアとしてひとくくりにするのが難しい。

 コンビニは店舗面積が小さく、きめ細かく大量出店するのがポイントである。同一エリアに多数の店舗を出す、いわゆるドミナント戦略が効果を発揮しやすい業態であり、1店舗あたりの売上高も2億円程度にとどまっている。一方、スーパーは大型店舗が中心となっており、1店舗あたりの売上高はコンビニの10倍以上もある。

 ドラッグストアの1店舗あたりの平均売上高はコンビニの2倍となっており、どちらかというとコンビニに近い。あえて言えば、コンビニを軸にスーパーの要素を兼ね備えた業態ということになるだろう。

 したがって、ドラッグストアの市場がさらに拡大した場合、スーパーとのコンビニの両者が影響を受けることになる。郊外型の場合にはスーパーが、都市型の場合にはコンビニが直接の競合となるので、地域によって状況は異なる。

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ドラッグストア大手各社の業績

【次ページ】値下げ攻勢はそろそろ限界か

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