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  • 2018/08/02 掲載

QRコード決済まとめ、LINE、ヤフーら参入企業の狙いを整理する

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ここ数ヶ月で「QRコード決済」という言葉がニュースをにぎわせはじめました。注目すべきは、もともと非金融業だったプレーヤーが、次々とQRコードというインフラを使って決済に参入している点です。また、既存の金融業界プレーヤーも動き出し始めました。各社の意図を解説していきたいと思います。

カンム 代表取締役社長/Fintech協会 理事 八巻渉

カンム 代表取締役社長/Fintech協会 理事 八巻渉

2009年に慶應義塾大学 理工学部 情報工学科を卒業後、人工知能や自然言語処理といった分野の研究開発を行うStudio Ousiaに入社。2011年にカンムを設立。自社サービスの運用、証券会社のWebサイト構築・アクセス解析、大手飲食チェーンのデータ解析等を行う。データ解析・拡張が得意。2013年から大手クレジットカード会社と提携し、「Card Linked Offer(CLO)」を運営。CLOは、クレジットカードデータを使ったターゲティングと、導入設備が一切不要なことが特徴のカード決済インフラを活用した店舗への送客手法で、既に200社近くの加盟店利用実績がある。2016年には、アプリから誰でも1分で作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」をリリースし、若年層を中心に約37万インストールとなっている(2018年1月現在)。


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各社の狙いは?
(© Mimi Potter- Fotolia)


LINE、Yahoo、メルカリなど注目企業でQRコードの動き

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 QRコードとは1994年に自動車部品工場や配送センターなどで部品の管理のために生まれた二次元コードのことです。

 バーコードよりも多く情報を格納することができ、今ではさまざまな用途で使用されています。このQRコードは、世界的にモバイル端末が普及したことで、個人でも読み取ることができるようになり、決済でも使われるようになりました。

 そのQRコード決済の動きがここ数ヶ月、慌ただしいのです。

 LINEが6月28日、 3年間「LINE Pay 店舗用アプリ」QRコード決済手数料の無料化を発表しました。今までLINEは、LINE PayでJCBのプリペイドカードを発行しており、送金機能やEC決済を提供していましたが、これを期に一気に実店舗向けの決済手段として普及させようとしています。

 LINEに追随する形で、Yahooも「ヤフースマホ決済」を3年間手数料無料で提供する模様です。Yahooは、ヤフオクを中心にYahooウォレットを推進していましたが、そこにQRコード決済を対応させるものと思われます。

 なお、メルカリの上場が記憶に新しいですが、子会社メルペイもQRコード決済を提供するとうわさされています。

 ここまで注目したいのが、LINE、Yahoo、メルカリ、すべて非金融のプレーヤーだということです。

 対して、既存の金融機関も動きを早めています。

 みずほ銀行が出資している送金アプリ「pring」が手数料0.95%でQRコード決済を提供すると発表しました。この発表はLINEやYahooの発表前だったため、こちらも手数料を無料にしてくると考えられます。ただ、みずほ銀行は傘下にクレジットカード会社も有しており、クレジットカードの加盟店手数料と比べると、0.95%も破格の安さです。

 さらに、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクグループは、QRコード決済の規格統一に合意しました。カード会社では、JCBがQRコードの統一規格を作り、ネットワークの開発を始めています。

 QRコード決済の懸念として、各社がバラバラの規格で加盟店を広げてしまうと、ユーザーがお店ごとに違うアプリを使って決済しないといけなくなり、利便性が落ちると言われていました。それがQRコード決済の統一規格ができることで、QRコード決済が行えるお店であれば、その規格に対応したどのアプリでも決済できるようになり、利便性が格段に上がります。

各プレーヤーのQRコード決済の意味合い

 このように、非金融のプレーヤー、銀行、カード会社などがQRコードまわりで動きを見せていますが、それにはどんな意味があるのでしょうか。

 まず、非金融プレーヤー(LINE、Yahoo、メルカリ)の場合、それぞれコミュニケーションアプリや、ポータルサイト、フリマアプリという単一機能アプリではなく、独自決済を普及させることで、自社サービスを生活のインフラに昇華させようとしています。QRコード決済は、日本では普及しておらず、クレジットカードにおけるVisaやJCBのような先人もいないため、0から自由に市場を作ることが可能です。

 かたや、みずほ銀行をはじめ既存の金融プレーヤーは、決済の主体を銀行に戻したいと考えています。傘下にクレジットカード会社を持っているとは言え、銀行とクレジットカード会社のデータの連携は十分とは言えず、直接決済データを持ちたいと思っています。

 昔、銀行は口座振替の関係で、家賃や水道料金といった、預金者の生活水準がわかるデータを持っていましたが、今はそのデータはクレジットカード会社が持っています。そこで、決済データを持つことで、預金者との関係が近づき、金融のインフラになろうと考えているのです。また、非金融プレーヤーに対する防衛という意義もあるでしょう。

【次ページ】QRコードが注目される理由

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