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  • 2018/12/14

人口「V字回復」の明石市、「本気の子育て施策」が地域を変えた

関西圏が人口減少に陥る中、兵庫県明石市が人口のV字回復を達成し、全国の注目を集めている。子どもを核にした街づくりを掲げ、中学生までの医療費や第2子以降の保育料無料化など子育て施策に本気で取り組んだ結果で、神戸市など周辺の地方自治体から子育て世帯が続々と移り住み、街は活気を取り戻してきた。今秋からは不払いとなった離婚養育費を補填するモデル事業を始め、子どもへの支援をさらに充実させる構えだ。甲南大経済学部の足立泰美准教授(財政学)は「首都圏以外の中核市で人口増加を実現した希少な事例」と評価している。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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「社会全体で子育てを応援し、1人の子も見捨てない」と街づくりへの思いを語る泉市長。明石市は子育て世代が集まり、活気を増している
(写真:筆者撮影)

街で目立つ若いカップルや家族連れ

 空気の入った長さ12メートルのエアトラックで子どもたちが元気いっぱいに飛び跳ねる。3万個のボールが浮かぶプールから親子の歓声が聞こえてくる。明石市大明石町のJR明石駅前再開発ビルにある親子交流スペース「ハレハレ」。2017年にオープンした施設の中は連日、幼い子どもと付き添いの保護者で大にぎわいだ。

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JR明石駅前に誕生した親子スペース「ハレハレ」。小さな子どもを連れたお父さん、お母さんらが次々にやってくる
(写真:筆者撮影)

 3歳の女児を連れてやってきた近くの主婦(32)は妊娠6か月。夫婦とも神戸市の出身だが、明石市の子育て施策に魅力を感じ、2年前に神戸市西区から移り住んだ。

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 「駅前で買い物するときはハレハレで遊ぶのが楽しみ。ここでママ友ができたし、引っ越して良かった」と笑顔を見せる。

 兵庫県の播磨地方や神戸市西部は若者の東京一極集中と都心回帰で人口減少が進み、このところ元気がない。しかし、明石市は駅前で子ども連れの若いお父さん、お母さんをよく見かける。

 明石駅前の中心商店街は昭和を連想させるたたずまいだが、2016年10月からの1年間で24店が新規出店した。その中にはイタリア料理店など若い世代向けの店舗も少なくない。商店街の来訪者は2017年2月で1日当たり約2万8,000人。2015年8月から4割以上も増えた。若いカップルや家族連れの姿が目立ち、街全体に活気が感じられる。

子育て世代の増加が地域経済に好循環

 明石市は人口約29万8,000人。2012年まで緩やかな人口減少が続いていたが、2013年から増加に転じ、2017年8月以降、毎月のように過去最高の更新を続けて文字通りのV字回復を達成した。V字回復を支えたのは近隣からの転入者で、2013年から連続して人口の社会増を実現している。その結果、2018年4月には中核市に移行した。

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明石市の人口推移
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明石市の転入、転出者数

 転入者の年代別内訳を見ると、2017年は0~4歳が811人、25~29歳が1,692人、30~34歳が1,167人の増加。50代が180人の転出増、40代が163人の転入増にとどまるのに比べ、子育て世代の急増ぶりがひと目で分かる。

 これに伴い、1人の女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、2017年で1.64に達し、兵庫県の1.47、全国の1.43を上回った。年間に生まれる赤ちゃんの数も2015年から3年連続で増え、2017年は2,730人を数える。

 子育て世代の増加はさまざまな面に波及効果を与えている。明石市の2017年度決算の税収363億円は5年前より21億円増えた。2016年の住宅着工件数2,674戸は4年前より785戸増。泉房穂市長は「子育て世代の増加が地域経済に好循環を与えた」と胸を張る。

【次ページ】子育て予算は2倍以上、担当職員は3倍に

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