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- 2019/01/31 掲載
「車が売れない」時代到来、燃え上がる“コネクテッド”競争
【CES2019現地レポ】
自動車業界再編の鍵を握る「データ革命」
調査会社IDCで次世代自動車ビジネスに関するリサーチ・マネージャーを務めるマット・アルカロ氏は、「CES 2019」期間に開催された同社のカンファレンスで「自動車メーカーは次なる成長をどこに求めるべきか」を問うプレゼンテーションを行った。同氏によると、顧客は「車が路上でどのようなパフォーマンスを行うのか」ということよりも「車で何ができるのか」というテクノロジーにより重点を置き始めているという。
車をネットでつなぎ、車両データや周辺データを収集・分析して活用できるようにする「コネクテッドカー」というコンセプトが話題になって久しい。アルカロ氏は「車のデータ革命は今始まったばかりであり、いかにデータを使いこなしてユーザーに便利さを提供できるかが、今後の自動車メーカーの成長の鍵となる」と語る。そのためにはデータやコネクション関連を受け持つOEMサプライヤーの存在が重要となり、メーカーがどのサプライヤーと組み、どんなシステムを利用するのかという業界の再編が今後ますます進むことになる。
“コネクテッド”で変わる保険、マーケティング、そしてUber
まず考えられるのは、車の実際の利用時間や距離をリアルタイムで送信し、それに応じた保険やメーカー保証サービスを提供することだ。現時点で実際の走行距離に応じた変動制月額保険を提供する企業は複数あるが、大手ではまだまだ「年間1万マイル以下か、以上か」など大雑把な査定が行われている。自動車メーカーが提供する保証も「5年で5万マイル」といったものが多い。これらをリアルタイムデータを車から集めることで、実際に走行したマイル数に応じたフレキシブルなサービスが可能となる。
マーケティングの観点から見ると、車の位置情報やドライバーの日ごろの嗜好に合わせ、その場に最もふさわしい宣伝広告を送信することが可能となる。たとえば、ドライバーがラスベガスの中心を走っているとすると、付近のホテルやレストラン、ドライバーが好むブランドを扱う店の宣伝を流すことができる。
また商用車であれば、需要とデリバリーをマップ化し、一日のどの時間帯に顧客からの注文が多く、デリバリーにどれくらいの時間がかかるのかを予測できるようになる。Uber Eatsのようなフードデリバリーサービスが今後も発展すると考えると、注文からデリバリーまでの時間を正確に予測できるようになるのは大きなメリットといえるだろう。
【次ページ】ラスベガスではすでに「自動運転タクシー」が走る
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