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  • 2019/04/18 掲載

500年企業の挑戦、業界を終わらせないために虎屋 黒川光博社長が考え続けたこと

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なぜ、和菓子屋 虎屋は500年もの長きにわたって人々から愛され続けているのか。2019年2月20日に開催されたat Will Work「働き方を考えるカンファレンス2019」のKEYNOTE SESSIONに虎屋 代表取締役社長の黒川光博氏が登場、Business Insider Japan 副編集長の滝川麻衣子氏をモデレーターに対談を行った。そこで浮かび上がったのは、社員を誇りに思い、時代にキャッチアップし続けているからこそ、先鋭化の一途をたどる老舗企業の姿だった。
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セッションのグラフィックレコーディング。内容の詳細(一部抜粋)は下記

今という時代を考え抜いてリニューアルした赤坂店

 2018年、虎屋は赤坂にある店舗を建て替えた。本社が入る旧赤坂店が築50年を経過していたからだが、これを機に同社は店舗を小さくした。しかし、最初は容積いっぱいに10階建てのビルを建てる予定だったという。

 すでに建築許可が下りるまで話が進んでいたころ、副社長である息子の光晴氏や関係者から『小さな建物にしないか』という話が出た。そこで黒川氏は、あらためて「今は一体どのような時代なのか」考えた。

「50年前はオリンピックを開催するというので、高速道路ができ、高層ビルが建ちました。新幹線が開通し、東京─新大阪間が4時間で行き来できるようになりました。その後は三ツ星のレストランで高価なワインを飲むことがはやっていたり、“豪華”、“速さ”が求められた時代でしたが、今はもうそういうことに少し疲れてしまっているのではないでしょうか」(黒川氏)

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虎屋
代表取締役社長
黒川 光博氏

「今は“もっと自然体”“もっとゆっくり”といった価値観が求められているように思い、我々も原点に立ち返ることにしました。お菓子をお買い上げいただく、あるいはその場でお召し上がりいただく際に、お客さまが心地よい時間をお過ごしいただけるよう、店のあり方をしっかり考えました。和菓子という天然素材の商品に合わせて、内装にも天然木を使ったり、急いでおられるお客さま、ゆったり商品を見たいお客さま、外国人のお客さま、車いすで来られるお客さま、多様なお客さまに喜んでいただけるような作りを目指したのです」(黒川氏)

先んじて“多様”を推進してきた虎屋の働き方

 “多様”は、日本人がここ数年、働き方改革を進めてきた中でキーワードとしてきた言葉だ。経済的な価値を最優先してきた日本社会が、もっと多様に生きられるのではないかと気づき、変わり始めているのではないか、とモデレーターの滝川氏は黒川氏に話を振った。

photo
Business Insider Japan
副編集長
滝川 麻衣子氏

「それはあると思います。一方で情報量が膨大に増えていて、それは良いことでもあるのですが、いつも情報に接していないと乗り遅れる気持ちにさせられている面もあります。働くことについても、自分の生活を中心に、どういう働き方が合っているかを人々は考えるようになっています。『自分はこういう働き方をしたい』『自分はこんなことに喜びを見いだしたい』という働き手の思いに、企業はどう対応できるかが問われています」(黒川氏)

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 虎屋の就業環境は日本の平均的な企業よりはるかに先を行ってきた歴史がある。企業変革を起こすにはまず制度からと考えた同氏は、1976年には早くも男女同一賃金を実現し、学歴による給与格差をなくした。男女雇用機会均等法が成立したのは1985年のことだが、それより9年も前のことだ。「法律ができたときにはもう修正する部分はなかった」と黒川氏は語る。

 同氏が今、是正する必要があると考えているのは、百貨店従業員の就業環境だ。虎屋は全国の主要な百貨店にテナントとして出店しており、同社の従業員はその百貨店のルールにしたがって働く。

「百貨店には、もっと進言する必要があると思っています。我々はテナントとして商売をさせていただいているわけですが、休日が少なすぎて働いている人たちが疲弊しているようです。百貨店は華やかな職場の1つですが、今、そこで働くことを希望する人がどんどん減っているという現実もあります。百貨店や国、色々な人々に対して、我々は自己責任の感覚をしっかり持ちつつも、出すべき声を出していくことが大事だと思っています」(黒川氏)

【次ページ】挑戦の原動力は“和菓子がなくなるかも”という危機感だった

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