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  • 2019/04/26

「再配達がドライバーを苦しめる」は誤解?運送業界の課題の本質とは

運送業界が直面している課題は、一般メディアでも取り上げられるようになり、広く世に知られるところとなった。ドライバー不足、長時間労働など、運送業界が抱える課題を多くの人が知り、関心を持つことは、とてもよいことだと思う。一方で、課題の本質が伝わらず、局所的な課題が運送業界全体の課題であると誤解されている面もある。宅配における再配達問題もその1つである。本記事では、再配達問題をきっかけに、運送業界における課題の本質を考えたい。

物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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「再配達が運送業界を苦しめる」は本当なのか?

(© TK6 - Fotolia)


年間1.8億時間、約9万人相当の労働力が消える再配達

 ご存じのとおり、アマゾンや楽天、ZOZOTOWNに代表される通販ビジネスの台頭によって、宅配便の取り扱いは年々増加している。2017年度における宅配便取扱個数は、約42億5000万個であった。2008年度は約32億1000万個であったから、10年で3割以上増加したことになる。

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 2015年10月、国土交通省は宅配便における再配達に関するレポートを発表した。このレポートに記された「再配達によって年間1.8億時間、約9万人相当の労働力が、社会損失として失われている」という報告は衝撃的であり、当時一般メディアでも多く取り上げられた。

 その結果、多くの人が「再配達をお願いすると、ドライバーさんに悪い」「時間指定をして、ドライバーさんに手間をかけさせないようにしなければ」と考えるようになり、宅配便ドライバーの苦労が世間に広く伝わったことは、すばらしいことであった。

 その結果、再配達に対する批判的な世論の影響もあってか、2015年には23.5%あった再配達率は、2017年10月には約15%にまで低下した。

個人向け宅配便は、国内を流通する貨物の約5.8%にすぎない

 宅配便事業者というと、読者の皆さんはどのような会社を思い浮かべるだろうか?

 日本国内には、約6万2000社の運送会社があるが、実は宅配便を看板として掲げているのは21事業者しかない。うち、ヤマト運輸のシェアが約44%、佐川急便が約30%、日本郵便が約21%であり、上位3社で約95%を占めている。

 2015年に行われた「全国貨物純流動調査(物流センサス)」では、国内を流通する全貨物のうち、個人向け宅配便比率は、重量ベースで0.05%、件数ベースで5.79%しかないのだ。

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全国貨物純流動調査の結果と、個人向け宅配比率

 ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便など、宅配便を取り扱う会社にとって、再配達は生産効率を下げ、利益を圧迫する重大な課題である。誤解のないようにいえば、再配達は宅配便だけで発生するものではない。しかし、個人宅向けの宅配に比べれば、その頻度は圧倒的に少ない。

 つまり、再配達で苦しんでいるトラックドライバーや運送会社というのは、運送業界全体で考えれば、ごく一部なのだ。再配達問題は重要な課題ではあるが、運送業界全体の課題とは言い難いのである。

【次ページ】実は運送会社を苦しめている、「配達日時指定」

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