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  • 2019/06/03

ゲノム編集で注目のCRISPR、活用は吉と出るか凶とでるか

ゲノム編集の画期的な技術として知られるCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat:クリスパー)。米国では生物の授業で高校生もこの技術を実際に使用するなど、比較的簡単かつ今後のさまざまな分野への適用が期待されている。一方で過剰な人体への適用が懸念されてもいるが、米国では今年4月初となるケースが紹介され今後のガン治療の刷新される可能性もある。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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CRISPRは任意のDNA配列を切断し変更できる技術だ
(Photo/Getty Images)

現実味を帯びてきた「デザイナーベビー」

 CRISPR/Cas9と呼ばれる技術は、遺伝子の特定部位を別の塩基配置に置き換える技術である。簡単かつ正確にターゲットとなる遺伝子部位を別の配置に置き換えることにより、遺伝性の疾患などの治療に大きく役立つと期待されている。

 一方でこうした技術にはリスクも伴う。昨年中国の医学博士が「CRISPRを使って胎児の状態で遺伝子組み替えを行った新生児を誕生させた」と発表し、世界中を驚かせた。このケースでは父親がHIVウィルス保持者だったため、胎児からHIVの罹患要素を取り除いた、とされている。もし真実であれば「世界初の試験管ベビー誕生以来のニュース」と言われる。

 ただしこうした技術が変に発展すると、いわゆる「デザイナーベビー」(受精卵の遺伝子操作などにより、親の望む外見・知力・体力などを与えられた子ども)の誕生につながりかねない。両親の遺伝子から優れた部分だけを受け継ぐように胎児期に遺伝子を組換える、あるいは他人の遺伝子を組み込むことにより頭脳が優秀、外見が秀でている、病気に対する抵抗が強い、などカスタム化された子供を持つことも夢ではなくなるためだ。

米国ではデザイナーベビー実験が凍結

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 実際に米国でもオレゴン州のオレゴン医療科学大学の教授が同様にヒト胚(human embryo)のゲノム編集をCRISPRで行ったが、倫理上の問題などもあり試みはその時点で凍結され、実際の新生児誕生には至っていない。

 この実験を行った科学者は「現時点でCRISPRの技術と特定遺伝子部位についての研究はまだ黎明期にあり、新生児のゲノム編集に効果があるかどうかには議論の余地がある」と語っていた。

 またCRISPRのエキスパートとして知られるMITのフェング・ジャン教授も中国の試みに対し「今回行われた胎児からCCR5塩基を取り出すという行為は、HIV感染リスクには有効かもしれないが、一方で西ナイル熱など他の疾患への感染リスクが高まる可能性がある」とも指摘している。

【次ページ】CRISPRがはらむ危険

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