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  • 2018/06/04 掲載

DataRobot社 シバタアキラ氏が語る、「誰もがAIを使える世界」のヘルスケア

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研究・開発の難度が高まっているヘルスケア産業では、AI(人工知能)による業務効率化に期待をかけている。しかし、機械学習(ML)をサポートするプロのエンジニア「データサイエンティスト」がいなければ、AIはデータを正しく解析できない。しかもAIのデータ準備やモデル運用を行う事ができる人材は限られているため、AIは汎用化できないのだ。そこで、AIの機械学習を自動化するプラットフォームであるDataRobotを提供、AIの民主化を推進しているのが米国のITベンチャー、DataRobot, Inc.(以下、DataRobot社)だ。
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DataRobot Japan
データサイエンティスト
シバタ アキラ 氏

ヘルスケア産業とAIは相性抜群

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 AIは現在、期待を集めてはいるものの、最先端のITであるがゆえに、「一部のエンジニアにしか使いこなせない、究めて難しい技術」といったイメージも根強い。

 しかし、最近ではAIを汎用化することで、データサイエンスの知識がない一般のユーザーでも手軽に使いこなせるようにするプラットフォームも登場している。いわゆる「AIの民主化」だ。巨大なコンピューターを小型化したPCによってITが社会に普及し、ビジネスの仕組みも刷新してしまったように、AIの民主化も今後、産業構造に革命をもたらすかもしれない。

 DataRobot社は、機械学習自動化プラットフォームを提供する米国のベンチャーで2012年に創業、2017年に日本法人を設立している。同社のチーフデータサイエンティストであるシバタアキラ氏は4月18日、都内で開催された「ヘルスケアIT2018」において「今後ヘルスケア産業ではAIの導入が加速度的に進む」と予測した。

 その理由として、シバタ氏は「ヘルスケア産業とAIは相性が抜群にいい」ことを挙げる。たとえば、製薬業界では創薬が年々難しくなっており、新薬開発の成功率は、2000~2004年には約1万2900分の1だったが、2006年には約3万分の1にまでに低下しているという。また、医療ニーズの個別化などによって薬物療法が複雑になっているため、ブロックバスター(画期的な薬効を発揮し、圧倒的な売上を出す新薬)も生まれにくくなっている。

 このように医薬品の研究・開発には、コストと時間が一段とかかるようになったわけだが、AIを使えば、医薬品に関わる膨大・複雑なデータを「統計的な学習アルゴリズムによって、効率的に解析できる」と、シバタ氏は指摘する。

 AIは、データの中から一定の相関関係のパターンを見つけてモデル化する機械学習によって、データを解析する。モデル化されたパターンの類型が「アルゴリズム」であり、アルゴリズムに基づいて、データの中から異常値を検出したり、将来の売上高などの数値を予測したりするわけだ。アルゴリズムには、「線形モデル」「決定木」「ランダムフォレスト」「K近傍法」といったさまざまな種類があり、解析の目的や条件に応じて使い分ける。

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たとえば製薬業界に絞っても、機械学習の応用によってさまざまな効率化が図られる
(提供:DataRobot Japan)

データサイエンティストは特権階級、AIを「民主化」する

 ただし、パターンのモデル化は、あくまでもデータ解析の過程の一部にすぎない。アルゴリズムを導き出す前に、データのクリーニングや補正といった作業が必要であり、アルゴリズムを導き出した後も、モデルのチューニングなどが欠かせない。

 そこで、データ解析を調整するプロのエンジニア「データサイエンティスト」の出番だ。人間が介在しなければ、AIもデータを正しく解析できない。「データサイエンティスト」が希少な存在といわれる理由は、統計学や数学、プログラミングといったITに関する専門知識を持っていて、かつ対象データの領域にも精通していなければ、データサイエンティストは務まらないからだ。

 そのため、シリコンバレーでは、新人のデータサイエンティストでも年俸3000万円が支給されるケースもある。AIにおけるデータ準備やモデル運用を取り仕切ることができる担当者が限られているため、AIは民主化されにくくなっている」と、シバタ氏は指摘する。

 シバタ氏によれば、DataRobotは、そうした非民主的なAIの現状を打破できるという。「DataRobotは、トップクラスのデータサイエンティストのノウハウを盛り込んだ機械学習のプラットフォーム。データのクリーニングやモデルのチューニングといった作業も自動化されているので、データサイエンスのノウハウがない人でも、AIを使ったデータ解析が簡単にできる」とシバタ氏。

 つまり、データサイエンティストがいなくても、高精度のデータ解析が可能なプラットフォームであり、それによって、「AIの民主化」を実現しているというわけだ。

 シバタ氏は、「ビジネスの新しい価値を創造するのは、AIを使ったデータ解析によってではない。データ解析にせんだって正しい課題を設定し、データ解析の結果を受けて、正しいアクションを起こせるかどうかにかかっている。だから、データサイエンティストではなく、ビジネスの現場を知っていて、特定のドメインを理解している人材こそが、データ解析に適任なのだ」と強調する。

【次ページ】新薬候補の絞り込み、患者の発病予測などに大きな成果

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