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  • 2020/04/15

【徹底分析】グローバルに通用するデキる上司の資質とは?

近年、日本でも企業活動のグローバル化が進み、外国人の部下を持つ日本人上司も増えてきた。一方、企業のマネジメントというのは、国籍が違ったからといってそれほど大きく変わるものではない。グローバル企業では、「ある国で適切に部下をマネジメントできる上司は、どの国に行っても同じである」というのが常識とされているようだが、日本企業に勤める“日本人”の役職者のマネジメントはどうだろうか。外国人を部下に持つ上司に対するアンケート調査から紐解いてみよう。

経済評論家 加谷珪一

経済評論家 加谷珪一

加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

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日本企業による外国人材の採用が拡大する中、人材マネジメントの在り方が問われている
(Photo/Getty Images)
 

上司の悩みは「細かいニュアンス」

 人材大手パーソルグループのパーソル総合研究所は2019年12月、「外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査」の結果を発表した。同調査は、日本企業における外国人雇用が拡大する中、外国人を部下に持つ日本人上司に関する現状や課題を明らかにし、より良いマネジメントにつなげる目的で実施されたものだ。

 外国人部下を持つ日本人上司を対象に実施された同調査のうち、外国人材の受け入れに関して「ノウハウがなく、手探り状態であるか」との問いに対しては、30.0%が「あてはまる」と回答している(図表1)。

 3割が手探り状態と聞くと、現場の状況はかなり混乱しているようにも思えるが、30.4%が「どちらともいえない」、39.6%が「あてはまらない」と回答しているので、手探り状態で苦労しているのは3割で済んでいるとも解釈できる。

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■図表1 外国人材受け入れのノウハウ不足
(出典:パーソル総合研究所「外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査」)
 

 また、外国人材のマネジメントにおける課題意識に関する項目については、外国人材を「うまくマネジメントできていない」という回答も2~3割程度と思った程多くない。

 さらに、雇用形態別に見ると、部下が正社員の場合、「マネジメントできていない」と回答した人は19.8%しかなく、パート・アルバイトでも29.5%にとどまっている(図表2)。上司と部下の間にカルチャーの違いが存在することを前提にすれば、意外とマネジメントができているとの印象を持つ人が多いのではないだろうか。ちなみに外国人部下のマネジメントは自分にとって「荷が重い」との回答も17%しかない(部下が正社員の場合)。

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■図表2 外国人材マネジメントの課題意識
(出典:パーソル総合研究所「外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査」)
 

 一連の結果を見ると、部下のマネジメントに国籍はあまり関係ないというグローバル企業における常識は、日本でも成立するという仮説がたてられそうである。

 では、外国人を部下に持った上司は、具体的にどのようなトラブルに直面しているのだろうか。

 外国人材とのコミュニケーションにおける調査項目の中で、 もっとも多かったのは「細かいニュアンスが伝わらない」で(正社員48.3%)、続いて「日本の常識を知らないことが多く、そこから教えなければならない」(同38.1%)、「意図が伝わりにくい」(同36.6%)、「文字でのコミュニケーションがしにくい」(同32.1%)、「日本語自体(単語)などが伝わらない」(同31.3%)、「相手の考えや気持ちを理解しにくい」(同28.7%)といった項目が列挙されている(図表3)。

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■図表3 外国人材とのコミュニケーション苦労
(出典:パーソル総合研究所「外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査」)
 

 いずれも想像できるトラブルだが、よく考えてみると、これらの項目は、相手が日本人でも発生する可能性が高いものである。2番目についても「日本の常識」を「会社の常識」と言い換えれば、そのまま中高年の上司と新入社員という図式になるだろうし、「相手の気持ちを理解しにくい」というのは、ほぼ毎年のように新入社員と上司との間で発生するコミュニケーション・ギャップの代表例でもある。

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結局、悩みは日本人が部下でも同じか

 外国人材を受け入れた際に経験した想定外の事態(ネガティブ)についても、日本人同士でも起こりえるような結果が得られている。最も多かったのは「自己主張が強かった」というもので(46.1%)、次いで「日本の常識が通じなかった」(41.6%)、「昇給の要求が強かった」(40.7%)、「組織へのロイヤルティが低かった」(40.1%)、「仕事を教えるのに時間がかかった」(40.0%)、「仕事内容に対するこだわりが強く、指示したことをやらないこともしばしばある」(38.4%)、「評価に対する不満が強かった」(37.3%)となっている(図表4)。

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■図表4 外国人材受け入れショック
(出典:パーソル総合研究所「外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査」)
 

 この想定外のショックを、上司あるいは会社からの従業員に対する要望と言い換えてみると、「自己主張をせず、会社の常識をわきまえ、給料に不満を言わず、組織に忠実に」という話になる。これは日本企業が一般的に従業員に対して求めている内容であり、多くの新入社員はこの条件を満たしていない。

 人材大手 のエン・ジャパンが自社の求人サイト利用者に対して、「上司と部下」をテーマに実施したアンケート調査(実施期間:2019年4月24日~5月28日) の結果を見ると、部下に対して困った点の上位には「基本的なルールを守らない」「協調性がない」「他人の意見をきかない」「報告・連絡などを怠る」といった項目が並んでいる。

 両者のアンケート調査はまったく異なるものであり、同一比較はできないが、相手が外国人であれ日本人であれ、上司が持つ不満にそれほど大きな違いがないこと分かる。

 程度の差こそあれ、新しく入ってきた人材にとって前職における常識は通用せず、新しい職場での経験を通じて常識を学んでいき、数年が経過すると(良くも悪くも)立派な会社員が出来上がるという流れになっている。会社と会社外のパラダイムが異なっており、両者の間にコミュニケーション・ギャップが生じるというのは、社員がどの国籍であっても同じことである。

【次ページ】昭和的なマネジメントから脱却できているか?

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