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  • 2010/05/06

【連載】ザ・コンサルティングノウハウ(15):ビジネス・モデル革新

新しいコンサルティングノウハウを生み出す

社内コンサルタントの育成を目指す企業が増えている。その狙いは、経営に資するIT戦略の策定や、コンサルティング営業による勝率・利益率の向上、グローバルグループ会社に対する本社支援力の強化などさまざまである。しかし多くの企業では、コンサルタントの育成はうまく進んでいない。この理由は、コンサルタントが、分析技法や方法論などの技術修得によって育成されるという誤解にある。コンサルタント育成に重要なのは、技術ではなくノウハウである。この連載では、コンサルティング会社の実態をもとにしたストーリー形式で、コンサルティングノウハウの存在とパワーを示す。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

1958年生まれ。大手コンサルティング会社を経て現職。
製造業、情報サービス産業などを中心に、経営戦略、事業戦略、業務革新、研究開発戦略に関わるコンサルティングを行っている。主な著書に、『ダイレクトコミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる研究開発革新』(日刊工業新聞社)、『システム提案で勝つための19のポイント』(翔泳社)、『調達革新』(日刊工業新聞社)、『落とし所に落とすプロの力』(リックテレコム)、『団塊世代のノウハウを会社に残す31のステップ』(日刊工業新聞社)、『ATACサイクルで業績を150%伸ばすチーム革命』(ソフトバンク クリエイティブ)などがある。

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

これまでの連載

ビジネス・モデル革新

システム子会社B社のプロジェクトは、クライアントの社内で「ビジネス・モデル革新プロジェクト」という名前がついた。山口が、この名前を提案したのだ。部長の難波は、プロジェクトのリーダーとして山口を任命した。また、シニアコンサルタントの岩崎をアドバイザーとして付けた。山口の下には、リサーチャーとして、同じチームの上田がついた。上田は、山口の2年後輩にあたる。山口たちは、まずB社社内のキーマンから、インタビューによって仮説構築のための視点を抽出した。

「いやあ、山口さんのビジネス・モデルの考え方は、おもしろいですね。確かに一口に情報サービス会社といっても、儲けの仕組みはいろいろと違う。是非当社の将来をばら色にするビジネス・モデルを考えてください。良くも悪くも、わが社は従順です。顧客に言われたとおりやる。決まらないと先へ進めない場合は、顧客に決めてくれと言う。私は事業部長になってから、積極提案しろと言い続けています。このあたりが、ビジネス・モデルの変革で解決できればいいと思います」

B社の親会社向け事業の事業部長をしている松本は、インタビューの終わりにこう言った。山口は、松本から仮説構築に必要な視点は、すべて収集できたと考えた。バリュー・リスニングで、ビジネス・モデルのオプションもいくつか想定できた。山口は、今回のインタビューに手ごたえを感じていた。

「おっしゃりたいことは、よくわかりました。ありがとうございました」

インタビューの時間も過ぎていたので、山口はまだしゃべり足らない様子の松本にこう言った。

「従順な社員に対して、積極的に提案しろと言い続けても、結局満足のいく提案ができていないとなると、もっと構造を変えるような施策が必要ですね」

今まで一言もしゃべらなかった岩崎が、突然口を開いた。

「ですからそれは、さっきお話したように、人事評価をもっと実力主義に変えない限り無理なんです」

松本は、岩崎が話を蒸し返したので、不服そうだった。

「積極的な提案とおしゃいますが、具体的にどのような提案が必要だとお考えですか」

岩崎は、松本の反応におかまいなしで続けた。

「よりうまい情報技術の使い方です」
「たとえば」
「たとえば、…。私が現場にいたころは、たとえ顧客からの要求であっても、それが無駄な業務であれば、『それは不要だ。なくせるはずだ』といったものです。最近は、そのようなことはまずない」
「現在貴社に要求仕様を示す役割は、親会社のシステム企画部が行っていると言われましたね。業務を直接行っているユーザー部門と接点がない貴社メンバーに、今松本さんがおっしゃったような提案が可能でしょうか。たとえ提案しても、提案先はシステム企画部です。システム企画部では、貴社の折角の提案の良し悪しは評価できないのではないでしょうか」

岩崎の問いに、松本は考え込んだ。

「確かに、私が現場にいたころは、我々が直接親会社のユーザー部門と折衝していました。親会社のシステム企画が間に入りだしたのは5、6年前からですね」
「部下の皆さんを、積極的にユーザー部門に会わせるような場の設定を、松本さんが行わない限り、事態は改善しないのではないですか」
「確かに、そのとおりです」
松本は、当惑気味に答えた。岩崎は、続けた。
「先ほど山口が申し上げたビジネス・モデルの再構築とこれに基づく仕組みの革新は重要ですが、経営幹部の皆さんにも、構造を変える努力はまだまだできると思います。失礼な話をするようですが、何か大きな構造改革を社長がやるまでは、何もできないという諦めが、貴社の構造的な問題の1つではありませんか」

岩崎の言葉に、松本は無言でうなずいた。

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