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  • 2010/06/14 掲載

【連載】ザ・コンサルティングノウハウ(16):コンセプト教育

新しいコンサルティングノウハウを生み出す

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社内コンサルタントの育成を目指す企業が増えている。その狙いは、経営に資するIT戦略の策定や、コンサルティング営業による勝率・利益率の向上、グローバルグループ会社に対する本社支援力の強化などさまざまである。しかし多くの企業では、コンサルタントの育成はうまく進んでいない。この理由は、コンサルタントが、分析技法や方法論などの技術修得によって育成されるという誤解にある。コンサルタント育成に重要なのは、技術ではなくノウハウである。この連載では、コンサルティング会社の実態をもとにしたストーリー形式で、コンサルティングノウハウの存在とパワーを示す。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『正しい質問』アマゾン、『イノベーションのリアル』ビジネス+IT、『ダイレクト・コミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる 研究開発革新』日刊工業新聞、等

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

これまでの連載

コンセプト教育

システム子会社B社の経営者による、ビジネス・モデル革新のための議論は続いていた。

「こうやって、目指すべきビジネス・モデルを書くと、外販ビジネスのビジネス・モデル実現のために、当社の営業がもっと頑張らないといけないことがわかりますね」

社長が言った。

※ビジネスモデルの詳細は、連載第15回の3ページ参照

「わが社の営業は御用聞きですからね。提案型営業を目指すということは、ずっと言ってきましたが、こうやってビジネス・モデルを整理すると、営業のオペレーション・コンセプトを提案型営業にしなければ、ビジネス・モデルそのものが成立しないことが良くわかる」

松本事業部長が言った。

「前期に完成した、営業業務標準化の状況はどうですか」

社長が聞いた。経営企画担当役員が、次のように答えた。

「今回実施した営業業務標準化は、それなりに効果を上げていると思います。営業マンは、行動レベルで何をすべきか、明確になった。ただし、提案内容がきちんとできるかできないかは、個人の力量に依存しますので…」

「たとえば有能な営業マンだと、どのようにうまく営業するのですか」


山口が尋ねた。

「松本君。どうかね。君が当社で最も有能な営業マンだ」

社長が、松本事業部長を見ながら言った。

「私が有能かどうかはわかりませんが、私は常に、顧客が気づいていない重要なポイントを聞いて、すかさずそこに関して提案するということを実践してきました。顧客もシステム化に関しては悩んでいる。当社が訪問する時には、顧客はすでにシステム化の計画は作っている。しかし、これで本当にいいのか、顧客は自信がないんです。だから私は、顧客の計画をそのまま承ることはしないように決めていました。ただ、言われるとおりに対応する業者が多いなかで、このような逆提案をする業者は、頼りがいがあると思われます。これは、顧客の信頼感を得、競争相手に打ち勝つために必要なことです。また、顧客によりよいシステムを提案できれば、顧客のためにもなる」

「なぜ、松本さんは提案すべきポイントが見つけられるのですか」


山口は、松本のノウハウをえぐり出すことにした。

「そうですね。顧客に行くまでに、できるだけ顧客のことは調べて、顧客が気づいていないと思われる提案のポイントは想定してから行きます。あとは、顧客の発言に気を付け、これだと思ったら、そこで必ず提案すべきことを考えるんです」

「提案のための知識の充足は、どうされていますか」

「親会社のシステムについては、徹底的に使えそうなことを調べて、メモして行きます。雑誌などに載っている事例は、できるだけ勉強します」


これはまさに、バリュー・リスニングとコンサルティング・プロモーションではないか。山口は、ホワイトボードに、次のように書いた。

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