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  • 2013/06/05 掲載

アマゾン ジャパン 前田宏 本部長が語る、ネット通販でさらなる成長を描く2つのキーワード

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米国での創業から18年めを迎えるAmazon。ネットでの書籍販売からスタートし、現在では家電やアパレル、食品、日用品、さらには電子書籍リーダーのKindleや電子書籍事業を提供する総合ネット通販企業に成長した。同社は今も積極的に設備投資を行い、ユーザーのさらなる利便性を追求し続けている。通販ソリューション展で登壇したアマゾン ジャパン セラーサービス事業本部 本部長の前田宏氏が、これまでのAmazonの取り組みと今後の事業展開における2つのキーワードについて語った。

顧客満足度向上のために重視しているのは「品揃え」「利便性」「低価格」

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アマゾン ジャパン
セラーサービス事業本部
本部長
前田宏氏
 1995年7月に米国で産声を上げたAmazon。日本では2000年にAmazon.co.jpの運営を開始し、今ではカナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、中国など世界11か国でオンラインショッピングサイトを展開している。

 この11か国という数字は意外に少ないと思われるかもしれない。その理由について前田氏は次のように説明する。

「これはAmazonが新しい国での事業立ち上げを検討する場合、その国のインターネット普及率やEコマースの成長性だけでなく、雇用の確保や現地企業との協業など、お客さまと接するために必要な物流ネットワークやカスタマサービスといった物理的なインフラを構築することについて、非常に慎重に検討を行っているため。」

 Amazonが顧客に約束したいと思っている高品質なサービスレベルを長期的に維持していくためにはどんなインフラが必要なのかを徹底的に検証した上で、新しい国でのサイトをオープンする。創業者のジェフ・ベゾス氏が創業以来、注力してきていることだという。

 Amazonの2012年度(12月決算)の11か国における総売上高は610億ドルで、2011年度から約27%の増加となっており、日本国内の売上高は約78億ドルと、全体の約13%を占めている。

 前田氏は、“We seek to be Earth's most customer-centric company(直訳すれば、私たちは地球上で最も顧客中心主義の企業であるために努力する)”という創業以来の企業理念を提示し、これは18年間変わらない我々のミッションだと強調する。

「我々は今Amazonの提供しているサービスが、本当にお客さまの求めているものなのかを常にベンチマークするようにしている。当然競合他社の動向にも気は配るが、その動きに追随しようという発想はあまりない。あくまでお客さま起点で考えて、新サービスの開発や既存サービスのブラッシュアップを行っている。」

 “顧客中心主義”を行動基本とするAmazonが顧客満足度を高めるために重要視しているのが、「品揃え」「利便性」「低価格」という3つの要素だ。そしてこれらは、技術革新(イノベーション)という土台の上に成り立っているという。

「たとえばAmazonでは18年間、迅速/正確/低コストという3つの要素を持つ商品配送を実現するための技術革新を繰り返し行ってきた。独自の物流システムの開発や物流インフラの構築などで、これも満足していただける利便性をお客さまに提供するための取り組みの一環だ。」

“発明”と“長期的思考”も重要な要素

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 顧客中心主義に加えて、Amazonにはあと2つ、重要な取り組み姿勢があるという。その1つめが「発明」だ。

 たとえばワンクリックで注文が完了する1-Click機能やお勧め商品を買い物ページの下に表示するレコメンデーション機能、最近では冒頭でも触れたKindleやKindleストア、ビデオ/音楽のダウンロードサービス、さらにはAmazonのプラットフォームを提供してソフトウェア開発者のWebアプリケーション開発を支援するAmazon Webサービスなどが挙げられる。

「こうした数々の『発明』も結局はお客さまの満足度を高めるための取り組みだ。さらに我々が常々心掛けているのは、お客さまが次に何を求めているのかを予測をし、お客さま自身がそれに気付く前に『発明』するということ。」

 そして2つめが「長期的思考」だ。これはそのまま長期的なスパンで物事を考えるということである。

「もちろん企業として株価の動きや直近の財務指標に注意を払うことはするが、我々は短期的な利益を追うのではなく、5年先、7年先にどんなサービスを開発してお客さまに提供できるのかという長期的な視野に立って経営判断を行っている。」

 その一つの例が、カスタマーレビューだ。ユーザーが、買った商品の満足度を星の数で示したり、実際の感想を文字で投稿したりするための機能である。米国で創業まもない頃、この機能を開発してサイトに掲載したところ、多くの出版社からポジティブなレビューだけを掲載すべきだという意見が数多く寄せられたという。

「いうまでもなく、そのほうがより多くの商品が売れるからだ。確かにネガティブなレビューはサイトの短期的な売上を減らす1つの原因になるかもしれない。しかしAmazonは単に物を売るだけでなく、お客さまが商品を買う時に必要な判断をお手伝いする企業でありたいと思っている。そのためには良い評価、悪い評価の両方が必要だ。長期的思考を持っているからこそ、このようなアプローチができたのだと考えている。」

【次ページ】今後の事業展開における2つのキーワード
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