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  • 2014/12/04 掲載

三越伊勢丹HD 大西洋 社長が語る百貨店変革、優秀な販売スタッフには役員以上の給料を

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高齢化や外国人観光客の増加、Eコマースの急激な伸長、消費増税など、小売業を取り巻く環境は大きく変化している。その中で、かつて9~10兆円規模の売上があった百貨店市場は、この20年間、売上の落ち込みが続き、2013年度の実績は6.4兆円となった。国内百貨店で首位を走る三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏は「モノ、コトに潜む価値やストーリーなくして消費は活性化しない」として、変革に向けた同社の取り組みについて明かした。

“絶対的価値の高い商品”提供のため、サプライチェーン改革に着手

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三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役社長執行役員
大西 洋 氏
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 現在、日本のGDPの約6割を支えるのが「消費」であり、270~280兆円が「モノ消費」と「コト消費(サービス)」に使われているといわれる。このうち141兆円がモノ消費関連で、これが小売業の市場規模に相当する。さらにこの中で百貨店の占める金額が6.4兆円。ドラッグストアとほぼ同じレベルで、小売業全体に占める割合は約4%だ。「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014(NEC主催)」で登壇した大西氏は、小売業におけるEコマースの台頭を次のように指摘する。

「コンビ二エンスストアが9.5兆円、食品スーパーが9.6兆円、GMS(総合スーパー)が13.0兆円といった規模で、いずれも対前年比では伸びているが、それは店舗数が増えているから。実質の既存店ベースで見れば皆、前年を割っている。それがどこに行ったかというと、いうまでもなくEコマース(EC)」

 現在のEC市場の規模は推計12-13兆円前後で、将来的には約30兆円になるポテンシャルがあると予想されている。つまり今後EC市場は倍増し、それがリアルな店舗から流れていく。

「モノ、コトに潜む“価値”や“ストーリー”なくして消費は活性化しない。こうしたものを、場を通じてお客さまに正しくお伝えすることが、我々小売業の使命だと考えている」

 そこでまず重要となるのが、“絶対的価値の高い商品”を消費者に提供することだ。そのための取り組みとして、三越伊勢丹ホールディングスは3年前にサプライチェーンの改革に着手した。

 一般的な小売業のサプライチェーンは、製造業 → 卸売業・販社 → 小売業という流れだ。ここに商社やデザイン会社、企画会社が入る場合もあるが、少なくとも4~5のプレイヤー、多い場合には7~8のプレイヤーを介して商品が店頭に並ぶことになる。

 また近年は長いデフレの時代が続いたことで、先に上代(=小売価格)が決まり、そこからさかのぼって製造にかけられるコストが決まるケースもあった。

「卸売業者、あるいは販社から“いくらでモノを作ってくれ”という指示がメーカーに出ていた。そのため、たとえばあと1500円のコストをかければ、非常に品質の高い、独自性のあるモノができるのに、それができなかった」

 そこで同社は“価値と価格のバランス”を消費者にきちんと認めてもらうために、サプライチェーンに自分たちで関わっていくことでプレイヤーの数を減らし、同じ価格帯であれば、より価値の高いものを提案しようと考えた。

「小売業もサプライチェーンの川上に入り込んで責任を持ってモノづくりを行い、絶対的価値の高い商品をお客さまにご提案していかなければダメだということを、一番大きな課題として認識している。サプライチェーンの改革によって、2018年度までに累計で200億円の利益貢献を達成することを目標に掲げている」

【次ページ】サプライチェーン改革の成果は?

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