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  • 2015/08/06 掲載

Facebookに聞く、海外進出でこそソーシャルメディア広告が有効なワケ(2/2)

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──しかし、マーケティングに対する考え方が未成熟な企業も多く、そうした企業は広告に短期的な効果を求めがちで、その傾向は中小企業ほど強いのではないかと思います。お客さまからのフィードバックやユーザーとのエンゲージメントが成果につながっていることをどのようにして示すことができるのでしょうか。

井上氏:短期的な効果を期待したい気持ちはわかりますが、そもそも中長期で双方向の関係性を維持できるのがソーシャルメディアにおける最大の効果です。また、「直前に反応したもの=広告効果」ではないというのも重要なポイントです。

 たとえば私が道を歩いていてハンバーガーの看板を見て、小腹を満たすためにハンバーガーショップに入ったとしましょう。この際きっかけとなったのは確かに店頭の看板でしたが、それがこのハンバーガーショップを選んだ理由のすべてではありません。それまでに感じてきたブランド認知や、ハンバーガーが好きであるという私の趣味など、いくつもの要素があった上で看板が最後の一押しになったのです。ハンバーガーを食べてもらうというゴールのために、それぞれが別の役割を担っているのです。

 同じように、ソーシャルメディアにおけるエンゲージメントの重要性とリスティング広告の効果も、並列に比較するものではありません。特に検索エンジンのリスティング広告は、すでに製品やそのジャンルに興味を抱いて検索している人に対して表示されるので、購入に至るコンバージョンレートは高くて当たり前です。ソーシャルメディアにおけるエンゲージメントの強化は、興味を持ってもらい、検索してもらうまでのステップに当たると考えてください。

 パーチェスファネルでいえば、ターゲットとなる趣味趣向を持つ人たちにリーチし、ブランドを発見してもらうことも非常に重要で、そのためのメディアがFacebookです。顕在化していない需要に対して、「自分が欲しいものはここにあった」と見つけてもらうのです。

中小企業にも効果をもたらすブランディング戦略は、少ない投資でも挑戦できる

──単価の高い商品ならともかく、商品単価の低い商品を扱っている場合は遠回りなようにも感じます。

井上氏:そんなことはありません。先ほどの例でもお話ししたように、ハンバーガーのような低価格商品でもマーケティングやブランディングによる意識付けは重要です。ただし取扱商品によっては広く情報発信するだけでは売上につながらない場合もあります。そこでまずは、それぞれの企業のゴールに向けた導線を考えてみてください。その導線上にいくつかのKPIを作り、Facebookによるエンゲージメントの成果を計りながらノウハウを蓄積すれば、うまい使い方が見つかるはずです。

 Facebookページへの投稿に「いいね!」がたくさんついて売上が上がった、広告がクリックされて新規ユーザが増えた、そういった効果を検証しながら中長期的視点で使っていくうちに成果は実感していただけると思います。Facebookでは同条件で広告を表示するグループと表示しないグループを作って比較テストをすることもできるので、ラストクリックだけではないソーシャルメディア広告の効果を数値として実感しながらよりよい使い方を模索できるようになっています。

──つまりFacebookには、広告やエンゲージメント強化のためのトライ&エラーをしやすい環境が整っているということですか。

井上氏:その通りです。実際、数多くのトライ&エラーでノウハウを得た企業が成功しています。もちろん、トライ&エラーをFacebookだけで完結させる必要はありません。他にも多くのメディアがありますから、Facebookを含めて色々なメディアで色々なアプローチをトライするといいと思います。

 実際に始めてみれば、その敷居の低さもわかっていただけるはずです。地元で商売をしている商店でも、毎週数万円を投じて折り込み広告などを配っているでしょう。その広告費のうちのわずかでもFacebook広告に投じていただければ、色々なことがわかると思います。非常に少額で開始できますが、まずは1万円程度からスタートすることをお勧めしています。

世界に広がるプラットフォームで海外展開も支援

──Facebookを特に有効に活用できる方法はありますか。

井上氏:中小規模の企業が海外展開、それも海外で新たなファンを獲得するのは、かつては容易ではありませんでした。しかしFacebookのようなソーシャルメディアは海外にもつながっているので、日本向けの広告を英語にするだけで世界に展開していけます。Facebookは世界で約15億人のユーザーを持ち、アジア圏においても国によっては60%程度の浸透度を持っています。そこに安価に広告を出せるのですから、海外進出に使わないのはもったいないと思うくらいです。

──実際にFacebookを使って海外進出に成功した例などはあるのでしょうか。

井上氏:いくつもありますが、特に成功した例として北の快適工房(北の達人コーポレーション)さんがあります。北海道の特産品やその素材をいかした健康食品・化粧品を販売している企業で、中国語圏や英語圏に向けた販路拡大を希望されていました。

 Facebook上では国別に広告を作り替えたり、複数のクリエイティブを用意してABテストをするなどまさにトライ&エラーを繰り返し、4ヵ月で海外売上を30倍にまで伸ばしました。海外売上のうち、Facebook広告を経由したコンバージョンが80%以上を占めているとうかがっています。

 さらに、旅行で日本を訪れた際に北の快適工房の商品を買って帰りたいという要望が高まったことから、国内百貨店などへの出店も増え、結果的に国内の販路も広がることになりました。海外でブランドを確立して、国内のブランド向上にもつなげる。インバウンドの時代に、非常にうまい戦略だと思います。次の成功例を目指して、ぜひ多くの企業とFacebookをどう活用するのかを一緒に考えていきたいですね。

──本日はありがとうございました。
(聞き手:編集部 松尾慎司 構成:重森大)

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