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- 2015/08/27 掲載
企業版ふるさと納税でさらに過熱化? 自治体の特典がエスカレートする理由
大分市や天理市、東かがわ市はユニークな特典
特典に古墳ツアーや外国産カブトムシ
7月以降に3万円以上を寄付した人が選べる返礼品の1つで、先着25人に黒塚古墳などを巡る古墳ツアーの参加券を用意する。応募者は8月中旬までで9人。市財政課は「古墳のまちを堪能し、古代のロマンを味わってほしい」とPRに懸命だ。
香川県東部、播磨灘に面した東かがわ市も、ユニークな特典で話題を集めている。返礼品メニューに並ぶのは、外国産カブトムシやクワガタムシ。市政策課によると、市はカブトムシやクワガタムシで有名な地域ではないが、市内でクワガタ相撲の大会が開かれていることから返礼品に加えたという。さらに、100万円以上寄付した人には1日市長として市長室での記念撮影や職員への訓示を体験できる。
大分県大分市はボスザルの命名権を特典に加えた。年末までに1万円以上の寄付をした人の中から抽選で1人に、高崎山自然動物園にいるニホンザルのボス1匹の命名権をプレゼントする。
年間141億円、2008年の2倍に
ふるさと納税は2008年、過疎や少子化による人口減少で税収減に悩む自治体の増収策として導入された。今年4月からは寄付金のうち、2,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね2割を上限とする金額が、所得税と合わせて控除される仕組みとなっている。自治体側が高級食材を中心とした地元の特産品を特典に並べ始めると、名産品を割安で手に入れられるお得感から寄付する人が急増した。総務省のまとめでは、2008年の寄付額が72億円だったのに対し、2013年は141億円とほぼ2倍に膨れ上がった。特に東日本大震災の被災地に寄付が相次いだ2011年は649億円に達している。
山形県が高級サクランボの導入で1億円以上、財政再生団体の北海道夕張市が夕張メロンで約9,000万円を獲得するなど自治体の貴重な収入となったばかりか、北海道上士幌町のようにふるさと納税の調達金額が10億円近くに達し、個人住民税収入の約4倍に上ったところもある。全国トップの長崎県平戸市は2013年1年間で13億円近くを手に入れた。
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