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  • 2015/09/28 掲載

スマホゲーム市場がいよいよ頭打ち、海外市場には本当に「活路」があるのか

ガンホー・コロプラも失速

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スマホゲーム業界は「めざましい成長産業」とみなされてきたが、ここにきて各社の業績に陰りがみられ、投資家の間でも一時の熱気はすっかり影をひそめた。その背景には売上の頭打ちに加え、開発費や広告宣伝費、販促費の高騰で思うように利益があがらなくなっている事情がある。それにフタをしたいかのように各社は揃って「海外進出」を口にするが、海外のゲーム市場では中国のテンセントや米EA(エレクトロニック・アーツ)、英キングなど強敵が待ち構えている。はたして日本勢に勝算はあるのか。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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9月17日から20日にかけて行われた東京ゲームショウ(TGS)2015には過去最多の企業・団体が出展し、過去2番目に多い来場者が押しかけた

ゲーム各社は4~6月期の業績も株価も大変調

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 9月17~20日、千葉市の幕張メッセで「東京ゲームショウ(TGS)2015」が開催された。過去最多の37カ国・地域から480企業・団体(国内234、海外246)が出展。主催者発表では総来場者数は昨年から約1万6614人増え、過去最高の2013年の27万197人に次ぐ第2位の26万8446人と、大盛況だった。最も注目されたのはヴァーチャル・リアリティ(VR)で、2016年発売予定のソニー(SCE)の仮想現実ヘッドセット「PlayStation VR」の試遊ブースには黒山の人だかりができた。

 では、ゲーム業界はまだ「わが世の春」を謳歌できるのだろうか? 確かにスマホゲームの「パズドラ」「モンスト」「黒猫」「白猫」「スクフェス」のようなタイトルの略称は、ゲームをまったくプレイしたことがない人でも知っているほどの大ヒットを記録した。しかし、そのメーカーの業績にはやや陰りがみられる。

 「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」のガンホー(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)は、その「パズドラ」の課金収入が減少して1~6月期の営業利益は前年同期比22.9%減だった。

 「モンスターストライク(モンスト)」が好調のミクシィは、4~6月期の営業利益は前年同期比5.2倍で、相変わらず好調だが、「パズドラ」と売上額で肩を並べるまでに成長しており、「今後は頭打ち」との声も聞かれる。「魔法使いと黒猫のウィズ(黒猫)」「白猫プロジェクト(白猫)」のコロプラは、10~6月期の営業利益は35.5%増だったが、4~6月期だけ取り出すと1.1%減で、経常利益も最終利益もマイナスだった。

 ガンホー、ミクシィ、コロプラは日経新聞でも「ゲーム新御三家」と持ち上げられ、兜町でも昨年あたりは個人投資家の人気を集めて売買ランキング上位の常連だった。しかし現在の株価(9月18日終値)を今年のピーク(ザラ場中の年初来高値)と比べると、9月16日に東証1部に指定替えになったガンホーは27.8%、ミクシィは37.7%、コロプラは31.0%も安く、ほぼ「七掛け」の有様。なお、新御三家は任天堂ともども「東京ゲームショウ」には出展しなかった。

 「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)」のKLabも「準・新御三家」視されていたが、1~6月期の連結純利益は2.2倍ながら、4~6月期だけ取り出すと47.8%減で営業利益もマイナスだった。株価も今年のピークに比べて42.2%も安くなっている。気が短くて移り気な兜町界隈では、スマホゲーム関連はもはや「過去のテーマ」と化しているといっても言い過ぎではない。

<ゲーム主要各社の4~6月期決算>
売上高営業損益
ガンホー-15.50%-24.90%
ミクシィ12.20%6.90%
コロプラ9.80%-1.10%
DeNA4.30%-13.40%
グリー -4.90%-14.30%
KLab-14.90%-47.80%
クルーズ12.00%-67.10%
ボルテージ2.60%20.30%
enish-10.50%4.8億円の赤字
モブキャスト8.50%1.1億円の赤字
(出典:各社IR資料)

 4~6月期は、ゲーム業界旧御三家のDeNAもグリーも営業減益。「準・新御三家」クラスではクルーズも営業減益で、「女子ゲー」戦略が当たったボルテージは営業増益だったが、enish、モブキャストは営業赤字から脱却できなかった。

【次ページ】販売店もなく、損益分岐点も低いのに、なぜ減益や赤字になってしまうのか

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