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  • 2016/10/26

なぜ『PPAP』は世界でウケたのか? その生態系に学ぶ21世紀型グローバル戦略

神田敏晶の歴史で読み解くシンギュラリティ時代

ビルボードのチャートにトップ100入りは松田聖子さん以来26年ぶりに日本人が躍り出た。その名は『PIKOTARO(ピコ太郎)』。子供たちを中心に世界を巻き込んだブームとなっている。SNSから飛び出たワールドワイドなスターになるのか? それとも一発屋で終わるのか? ビジネス視点でこのブームの潮流を分析してみたい。

ITジャーナリスト 神田 敏晶

ITジャーナリスト 神田 敏晶

ITジャーナリスト、KandaNewsNetwork代表。神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の編集とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部で非常勤講師を兼任後サイバー大学客員講師、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などを行う。

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ピコ太郎(PIKOTARO)オフィシャルサイト(http://avex.jp/pikotaro/

誰もが「コピーキャット」したがるコンテンツ



 『PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen Official)』の動画を日本人が視聴すると、なぜこれが世界中でブームになるんだ? と思う人が多いだろう。それは日本人が非常にハイコンテクストな深い部分で、普段からコミュニケーションしている民族だからだと筆者は思う。ガラパゴス化と揶揄されるように、島国ならではの閉じた文化で育った濃密な「あうん」の解釈によって構成されている文化だからだ。

 一方、世界の先進国、ヨーロッパ、アメリカに代表される文化は、多国籍で多様な国民性ゆえ、シンプルであればあるほど受けるというコンテクストの概念が低く浅くとめどもなく広い傾向がある。また、この動画はメロディというよりもリズムが主体なので、コピーキャット(モノマネ)動画が一気に世界中で起こった。それを人気シンガーでフォロワー数約9000万人のジャスティン・ビーバーがツイートしたことによって、世界で爆発的なブームが巻き起こる……。


オリジナルよりもコピーの方が稼ぐYouTubeマーケット

 公式サイトのPV数は現在約5,800万回再生。YouTubeの広告シェア料金は1再生あたり0.1~0.5円と言われている。これは視聴する属性によって広告単価が変わるからだ。仮に0.3円としてみると、この公式動画だけで、1,740万円の広告収入があると予測できる。世界トップランクのYouTuberとしてはまだまだだ。世界最高はPewDiePieの年収約14億円だ。

 しかしだ。今回、注目したいのは『PIKOTARO』ではなくコピーキャットの収入なのだ。『PIKOTARO』が、約5,800万回だが、コピーキャットコンテンツの稼ぎもハンパないのだ。

 Chad Wild Clay氏のコピーキャットは、約2,000万回再生されている。同様に0.3円で評価すると、1本のモノマネビデオ600万円という荒稼ぎぶりなのだ。



 MoritzGarthTV氏のコピーキャットは、約1,500万回再生されている。こちらは、450万円の広告料だ。



 女の子のPPAPのコピーキャットを集めただけのコピーキャットが約450万回再生で135万円だ。



 そう、こうして考えれば、コピーキャット市場のほうがオリジナルの本家よりも稼いでいるのだ。全世界で見れば、「PPAP」のコピーキャット市場だけでも3億円程度あるのではないだろうか? YouTubeはどの映像の後にどの映像が視聴されるのかもディープラーニングし、アルゴリズム的に分析しているので、視聴が継続する映像を連続動画として再生させその合間に広告を挿入するのだ。実際、広告単価は若年層が多くなれば高くはならないが、その属性に合わせて広告が挿入されるので、検索視聴とはまた違った、テレビ視聴属性とよく似た広告モデルを形成している。

【次ページ】 『PIKOTARO』の生態系に学ぶ21世紀型グローバル戦略

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