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  • 2016/11/03 掲載

ホリエモンが語る「IoTブーム」の理由、メディアの「レッテル貼り」はなぜ必要なのか

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多くの企業が「IoT」というキーワードを口にするようになった。ホリエモンこと堀江貴文氏は「IoTは便利な『マジックワード』みたいなもの」と語るが、このマジックワードに対して、経営者はどのように向き合えばよいのだろうか。堀江氏が、作家のエージェント会社を営むコルク 佐渡島庸平氏、IoT事業を展開するエスキュービズム 薮崎敬祐氏らとともに「IoT時代の経営」について語り合った。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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実業家
堀江貴文 氏

ホリエモンは「IoT」ブームをどう捉えているのか?

 エスキュービズム主催の「IoTカンファレンス」に登壇した堀江氏。セッションの司会を務めた東洋経済新報社 記者 福井純 氏に「昨今のIoTブームに対する印象」について問われた堀江氏は「IoTはもともと昔からあったもので(ブームになったのは)メディアのレッテル張りが原因だ」と答えた。

「(IoTは)メディアが部数を伸ばしたり、PVを稼ぐためにつくったバズワードであり、上場企業もそれを利用して株価を上げている。IoTという言葉が流行りだした瞬間に、うちもIoTをやってますよと(笑)。便利な『マジックワード』みたいなものだ」(堀江氏)

 実際に、堀江氏は2000年代から各所でRFIDについて話をしていたにも関わらず「多くの人はこれに関心を示さなかった」とし、次のように続けた。

「単純でつまらない作業から開放される世の中にしたいという流れの中で『コンビニの商品にRFIDタグをつけて管理すれば、ほどんど無人化された店舗が生まれる』という議論をしていた。IoTという言葉が浸透してから、コンビニ(業界)なども動き出した。RFIDタグが多く使われるようになればコストも下がり、無人化に近づく可能性もある。IoTはそういうツールの1つとして、これから使われるのではないか」(堀江氏)

 とはいえ、何かきっかけとなる言葉が流行らないと、世間では面白い技術でも注目されず、経営者もなかなか心が動かないと堀江氏は続ける。

「IoTはメディアが持ち上げたバズワードだが、すごく重要な点はマジックワードがなければ『キャズム(注1)超え』が生まれないということ。iPhoneが流行ったのは多機能な『新しい電話』だったから。人々は(すでに存在していた携帯情報端末の)『PDA』は使おうとしなかったのに『新しい電話』は安心して利用した」(堀江氏)

(注1)ハイテク業界において、新しい製品や技術を市場に浸透させていく際に見られる深い溝「キャズム」(Chasm)を指す

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エスキュービズム
代表取締役社長
薮崎敬祐 氏

 2006年に創業し、多角的に事業を広げているエスキュービズムの薮崎氏は「我々は、まさにIoTというバズワードに乗っている企業側だが、起業した10年前はWeb2.0という言葉がバズっていた。その頃はブログが流行っていたが、徐々に収斂されてITサービスになってきた。IoTもそれに近く、形を変えて一般サービスになっていくのではないかと思う。いずれにしてもバズワードは必要だと思う」と所感を語った。

トヨタや日産も危ない!? IoTでドラスティックに変わる産業構造

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東洋経済新報社
記者
福井純 氏

 続いて福井氏は「コマツのKOMTRAXはGPSを使ったり、メンテナンスの基準になったり、盗難防止に活用したり、中国の景気動向まで判断できてしまう。そういう成功例もあるなかで、多くの失敗例もある。CEATEC JAPAN 2016でもさまざまなIoT製品が登場した。では、IoTによって産業がどのように変わっていくのだろうか」と登壇者らに質問した。

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コルク
代表取締役社長
佐渡島庸平 氏

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 佐渡島氏は「遊びのあり方がIoTによって大きく変わると感じている。自分がどのように移動したのかということは、スマートウォッチのようなものでなくても、服や靴などにIoTデバイスが実装されていれば分かる。リアルな場を、ドラクエのようなファンタジーの場に見立てて遊べるようになるだろう。またゲノム解析でもゲーム仕立てにしたものもある。こういうことが現実の世界でも起きるかもしれない。その際のストーリー設計に作家やデザイナーが活躍できると思う」と語る。

 一方、堀江氏は「IoT革命が叫ばれるようになったのは、やはりiPhoneが背景にあると思う。半導体製造を利用したMEMS技術によって、加速度センサーやジャイロなどが何億台というロットで量産され、すごく安い製品が出回るようになった。ドローンにしてもロボットにしても膨大なセンサーを使う。そういったセンサーが普及すると、さらに産業構造が大きく変わるだろう」と指摘する。

 つまり、広義の意味でのIoTが広がると、これまで君臨していた巨大企業が崩れ落ちる可能性も十分にありえるということだ。

「トヨタや日産などの大企業は経営が厳しくなるかもしれない。自動車そのものは消えないが、将来的にはセグウェイのようなパーソナルモビリティが流行ると思う。スマホと同様に個人に1台、あるいは2台持ちもあり得る。おそらくアップルのような企業がパーソナルモビリティ分野で登場するはず。IoTはすべての産業構造を変える。食うために嫌々やるつまらない仕事を自動化して、ラクにしてくれる技術がIoTだと思う」(堀江氏)

 プログラマーの経験もある堀江氏は「IT業界から見ると、IoTはソフトウェアの世界がハードウェアの世界まで拡張されたものとも考えられる。これまでソフトで記述できなかったことも可能にした。センサーからビッグデータが生成され、その情報を集めて、ディープラーニングで分析できる。コンビニでも、顔認証によって顧客の年齢を判断することもできるはずだ」との見方を示した。

【次ページ】IoT時代、経営者に求められる資質とは

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