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  • 2016/11/24 掲載

横浜市 経済局長 林氏xデータ分析家 柏木氏、「データ活用の本質は“分析前”にある」

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IoTをはじめとするビッグデータ時代に、データ分析の重要性はますます高まっている。民間企業のみならず、地方自治体をはじめとする行政もデータに基づいたアウトプットの質向上に力を入れ始めた。しかし、分析による洞察はツールとデータさえあれば得られるものではなく、どんな切り口でデータ分析を行うか、目的に応じた「仮説思考」が欠かせない。横浜市 経済局長の林 琢己 氏と横浜市の職員を対象にしたデータ分析活用講座の講師をつとめたデータ&ストーリーLLC 代表の柏木 吉基 氏にデータ分析活用講座受講の狙いやデータ活用時代の「人間力」の磨き方について話を聞いた。
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横浜市 経済局長 林 琢己 氏(左)とデータ&ストーリーLLC 柏木 吉基 氏


横浜市が「データサイエンス」に力を入れる背景

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 昨今、民間企業でのデータ活用が盛んだが、横浜市経済局においても、「経済局データサイエンス塾」と題して、職員のデータに基づいた課題解決力の向上に力を入れている。こうした取り組みの根底にあるのは、官公庁もただ単に「行政データを整理しているだけでは、もはやダメ」という危機意識である。

 同塾の講師をつとめるのは、長年実務家として民間企業で実績を上げ、現在はデータ分析活用スキル育成の専門家でもあるデータ&ストーリーLLCの柏木氏だ。柏木氏は「データで戦える人材」を育てるプログラムを実施しており、「データありき」で始める思考を、「目的・仮説ありき」の思考に変え、そのために必要なデータ分析の基礎的なスキルの研修を行った。

 今回、そこで習得した内容に基づいて、「横浜の最大貢献産業とは」をテーマに、チームごとのデータに基づいた発表を実施。本記事は、プログラムの最後を飾る「受講者によるチーム発表会」を前にした対談記録である。

データの活かし方には「人のスキル」が必要

──まず、柏木さんの「データ分析活用講座」の取り組みから教えてください。

柏木氏:私は民間企業などで企業研修の講師をつとめたり、人材育成を軸に、「データやデータ分析の“活かし”方」の側面からクライアントの課題をどう解決するかに取り組んでいます。企業や官公庁をはじめ、多くの組織では、「データや数字は取れるが、使えていない」という課題を抱えています。

 日産自動車や日立製作所など、製造業に勤務していた経験から、データを使う人の提案・課題解決スキルの高め方をプログラム化し、あらゆる職場、職種において、言いたいことやりたいことを数字や論拠に基づいて組み立て、課題を解決していくやり方を紹介していくのが、この「データ分析活用講座」です。「データ分析講座」ではなく、「データ分析”活用”講座」であることに強いこだわりを持っています。方法論だけではなく、仮説思考など、使うための視点や思考が本質的に重要だからです。

林氏:私が柏木氏の取り組みに共感するのは、仮説を立てながら、その立証に必要なデータを考えるという点です。私はどちらかというと、主に経験からくる直感を頼りに「これはやるべき」と思ったところから根拠を探していくアプローチを取ることが多いですが、どちらも仮説が前提という点で共通しています。

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「データの有用性を議論すれば必要性は認識してもらえるはずです」

 例えば、私が金沢区役所(注:林氏は元横浜市金沢区長)にいたときに、ある職員が育児のためのスマートフォンアプリを開発したいといってきました。市に提案したのですが予算がおりなかったので、金沢区の独自事業として民間の力を借りて開発したのが「かなざわ育なび.net」でした。

 これは、スマートフォンやパソコンを使って、子育てに必要な情報を手軽に知ることができる情報ポータルで、郵便番号と子どもの生年月日を入れれば、予防接種の情報や、近所の小児科の情報が検索できるもので、金沢区内の施設情報などのオープンデータを利用しています。このサイトは、行政のオープンデータで作っていることをサービス開始後に知らされました。

──最初からオープンデータありきで取り組んだわけではないのですね。

林氏:当時の私は、まず便利なアプリケーションができることに関心がありました。後になってベースとなったオープンデータは企業のビジネスに役立つインフラになりうると実感しました。今では、横浜市も政策局を中心にオープンデータに取り組もうとしていますが、まだその意味や価値が市役所全体として十分に理解されているとはいえないのが現状です。

 しかし、データの有用性を議論すれば必要性は認識してもらえるはずです。そのためには、どうやって仮説を立て、論拠に沿って説明していくかということが大事になってきます。

柏木氏:民間であれ自治体であれ、データがあり、道具さえあれば、誰でも答えが導き出せるかというとそうではありません。どういう目的で、どんなデータが必要かという目的や仮説があって、はじめてデータやツールを活用することができるのです。

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「データがあり、道具さえあれば、誰でも答えが導き出せるかというとそうではありません」

──データの活かし方には単に統計学や分析方法以外のスキルもいるということですね。

林氏:すでにあるデータだけでなく、こういう視点に基づいて、こういうデータから、こんな知見が導き出せるということは経験に基づくスキルが必要だと思います。

 そういうことは、市役所は得意に見えて意外と苦手です。例えば、調査しないといけないことが市役所にはたくさんあります。問題を認識して、調査の必要性も認識しているのですが、何が知りたくて、どういう仮説を持ってこの調査をやるのかという部分が弱い。仮説がないと、アンケートをやるにしても的確な質問項目が作れないわけです。

【次ページ】「仮説構築」のためには覚えるべきテクニックがある

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