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2018年01月22日

フロスト&サリバン連載 〜ICTとの融合で特定の産業がどう変化するか〜

「エドテック」を基礎から解説、市場規模から国内外の4分野別事例まで

ICTの進化はICT業界だけにとどまらず、すべての産業に影響を与える。教育の世界も例外ではない。現在、ICTを活用して教育(Education)の変革を目指す「EdTech(エドテック)」が注目を集めている。フロスト&サリバン ジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャの伊藤 祐氏が今後の市場規模成長予測やeラーニングとの違い、エドテックを構成する主要な4つのカテゴリー、日本と海外の注目企業事例と最新動向をわかりやすくまとめて解説する。

執筆:フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

執筆アシスタント:フロスト&サリバン ジャパン 明渡 凪沙

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最近よく聞く「EdTech」。「eラーニング」とは違うのか?

(© zinkevych – Fotolia)


「エドテック」とは何か? 市場規模は? eラーニングとの違いは?

 EdTech(以下、エドテック)とは、教育(Education)と技術(Technology)の頭文字を組み合わせた言葉であり、教育にデジタルテクノロジーを活用し、イノベーションを起こそうとする動きを意味する。

 ここでいう「教育」は、教育産業におけるビジネスモデルや学習コンテンツなども含まれる包括的な概念である。

 エドテックは特に米国で盛んであったが、近年は世界各国に広がっている。2015年から2022年のエドテック関連市場の平均成長率は18.3%であり、2022年時点では400億ドルを超える市場規模になると予想されている。

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(クリックで拡大)

EdTechの市場規模

(出典:フロスト&サリバン)


 エドテックで使われている技術には、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やSNS、データ管理プラットフォーム、ビッグデータ、デジタルファブリケーション(3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機械により、デジタルデータを成形する技術)などが挙げられる。

 これらの技術により、オンライン講義の配信、教育用SNS、学習管理システム(Learning Management System:LMS)、最先端のものづくりによる教育などが可能となった。

 「教育にテクノロジーを活用する」という動きそのものは、実は近年登場したものではない。では、なぜ今エドテックに注目が集まっているのだろうか。

 エドテックという言葉が使われる以前、テクノロジーを活用した教育には「eラーニング」という言葉がよく使われていた。

 eラーニングのeはelectronic(電子的な)の頭文字であり、情報技術を活用した学習のことを指す。eラーニングはCBT(Computer-Based Training)や WBT(Web-Based Training)などの発展により現れた概念であり、「パソコンやインターネットを使って学習を進めること」と定義されている。

 デジタルテクノロジーを使った教育という意味では、eラーニングもエドテックの一種といえよう。エドテックはeラーニングの定義をさらに拡大し、オンライン講義やSNS、LMS、デジタルファブリケーションなどに当てはめることができる言葉なのだ。

「エドテック」の4つのカテゴリー

 次に、エドテックの具体的なカテゴリーについて、4つほど紹介していきたい。

●ソーシャルラーニング
 ソーシャルラーニングとは、SNSや動画共有サイト、ブログなどのソーシャルメディアを教育ツールとして活用し、利用者が相互に学びあうことである。

 一方向だけの講義にとどまらず、教える側と教えられる側で自由にコミュニケーションをとったり、教えられる側でも相互に知見を共有したり交流したりできる。利用者全員の知見が共有され、より幅広い知識・意見交換を行える点が革新的である。

 ソーシャルラーニングの具体例としては、IBMが提供する企業向けサービスであるKenexa(ケネクサ)が挙げられる。こちらのサービスを使用することで、一方向の教育プログラムを受講するだけではなく、受講側である従業員がお互いにコミュニケーションを取ったり、教えあったりすることができる。ディスカッションフォーラムやライブチャットなどの機能もあるため、コンテンツについて疑問がある場合、 すぐに社内の専門家に質問をすることも可能である。

●モバイルラーニング
 モバイルラーニングとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を活用することにより、時と場所を選ばずに学習可能な教育のことである。

 従来のeラーニングと区別してmラーニング(mはmobileの頭文字)と呼ばれることもあり、従来のeラーニングの学習管理システムとコンテンツを合わせた構成にとらわれることなくモバイル端末を活用する教育全般を指す。モバイル端末を利用することによって、いつでもどこでも学習者の学習したいときに学習できる点において革新的である。

 モバイルラーニングの具体例としては、スマートフォンなどのモバイル端末向けの学習アプリが挙げられる。さまざまな分野のモバイルラーニングアプリがリリースされており、自分の学びたい分野に合わせてインストールできる。いつでもどこでも利用できるモバイル端末の特性を活かして、細分化された短時間で取り組める選択式の練習問題を中心に構成されている。

 社員研修にモバイルラーニングを取り入れている会社も増えており、PCを利用したeラーニングと比較して、すき間時間の活用によって効率良く学習できることが明らかになっている。

【次ページ】期待が高まる「アダプティブラーニング」

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