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  • 2018/03/14

アシックスが「JUST DO IT」ではないワケ

Vizeum グローバルCEO トマ・ル・シエリー氏インタビュー

消費者のデジタルメディア活用機会は増加の一途をたどり、それに伴い企業においてもデジタルマーケティングの重要性が高まっている。電通が発表した「2017年 日本の広告費」によると、マス4媒体の広告費は前年比97.7%と現状維持に苦しんでいるのに対し、インターネット広告費は前年比115.2%と順調な伸びを見せる。そうした中、「バドワイザー」「コロナ」などのブランドを持つアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)をクライアントとするメディアエージェンシーVizeum(ビジウム) グローバルCEOのトマ・ル・シエリー氏が来日。ブランドコミュニケーションの現場で今何が起こっているのかを語った。

(聞き手:編集部 佐藤 友理)

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Vizeum グローバルCEO トマ・ル・シエリー氏


重要性を増すメディアエージェンシー

──まず、Vizeumのことをお聞かせください。

トマ・ル・シエリー氏(以下、シエリー氏):Vizeumは世界40カ国以上に展開するメディアエージェンシーで、電通イージス・ネットワークの一員として、世界的なブランドのコミュニケーション活動をグローバルレベルで支援しています。私は英国に本拠地を置くVizeumの創立メンバーの1人で、2012年末からグローバルCEOを務めています。私自身は基本的にパリで活動しています。

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グローバルCEOとしてブランドコミュニケーションを支援する

 メディアエージェンシーというのはブランドのコミュニケーション活動を支援する組織です。ブランドのコミュニケーション活動には重要な戦略が2点あります。1つめは、顧客に向けて何を言うのか決めること。2つめは、それをどのように伝達するのかを決めること。1つめを支援するのはクリエイティブエージェンシーで、2つめを支援するのがメディアエージェンシーです。

 Vizeumは後者に特化して活動するために2003年7月に創立されました。テレビや新聞などといった媒体志向ではなく消費者志向であること、デジタルエコノミーに特化していることが創立当初からのコンセプトです。

──最近のニュースがあればお教えください。

シエリー氏:ビール業界世界最大手のABインベブのグローバルにおける年間コミュニケーション予算(10億米ドル)の68%を獲得しました。同社は「バドワイザー」「コロナ」「ステラアルトワ」など200以上のブランドを持つビールメーカーです。もともと当社はヨーロッパを担当していたのですが、今回の契約で米国、カナダ、アフリカなどの市場も合わせて担当することになりました。

リアル店舗は販売のためにあるのではない

──なぜ企業はメディアエージェンシーを必要とするのでしょうか。

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シエリー氏:ブランドのコミュニケーション活動がデジタル変革を迫られているからです。

 20年前なら、消費者とのコミュニケーションはほぼマス広告を意味していました。ブランドを印象づけるテレビ広告を作って世の中に流す。しかし、これは良くも悪くも一方通行です。

 考えてみてください。現在、日本の人口は約1億2700万人です。そのうち運転免許を保持している人は約8000万人。ホンダブランドに興味を持っている人はそのうちの数百万人かもしれないし、ましてシビックといった特定の車種になると対象者はもっと絞られます。それなのに日本人全員に向けたシビックのマス広告を発信することは効果的でしょうか。

 今はデータを使って訴えたい対象者を特定することができます。消費者に個人的にアプローチしたければSNSがあります。さらに、以前はコミュニケーションといえば企業主導で行われていましたが、今はWebサイトやSNSを通じて消費者が自社のサービスや製品を必要としているときにアプローチできるようになりました。一方通行であったコミュニケーションが双方向へと変わってきているんですね。

 こうした消費者との新しい“対話”をどう実行して、ブランド構築へつなげていくか。ビッグブランドこそコミュニケーション活動のより高い効率性を求めており、我々のような組織をパートナーにしたいのだと思います。

──コミュニケーションが双方向になると、どんな変化が訪れるのでしょうか。

シエリー氏:消費者の行動が変わってきており、ブランド構築のあるべき姿が根本的に変化しています。昔は一家そろってテレビを見るのが主流だったので、テレビ広告でブランドを訴求しておけば、消費者が外で買い物するときに効果を発揮しました。しかし、今は多くの人がテレビよりPCやモバイルにより多くの時間を割くようになり、買い物もオンラインで行うようになりました。

 では企業はブランドをどこで構築するのか。それはリアルの店舗です。世界観を思う存分伝えられるフラグシップ店を通じて、ブランドを構築し、購入はオンラインで行ってもらう。Appleが好例ですね。数を絞って都心の一等地に大規模なアップルストアを構え、そこで最先端の顧客体験を提供しています。

 この方法は大変理にかなっています。たとえば、ランニングシューズ。1つのモデルに数種のカラー展開があり、そこにサイズ展開が加わります。足幅も選べるかもしれませんね。そして、男性用、女性用があります。1モデルで100バリエーションぐらいだとして、モデルが数十あるとしたらストックすべきシューズの数は数千単位になります。

 靴メーカーにとって、店舗ですべてのシューズのストックを維持し続けるのは大きな苦労を伴います。消費者からしても、せっかく店に出向いたのに、自分のサイズが品切れだったら、失望しますよね。ですから、店舗は世界観を伝えたり、シューズを履いて試走できるなど「顧客体験を提供する場所」とし、購入はオンラインでしてもらって自宅に発送するというスタイルを取る。そのようにしたら、企業にも消費者にもプラスの効果があるのではないでしょうか。

【次ページ】ブランドイメージを考える際には「擬人化」せよ

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