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  • 2019/01/11 掲載

今さら聞けない「サブスクリプション」の基本、どうすれば成功するのか

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近年、企業はソフトウェアやシステムを「所有する」のではなく、「サービスとして利用する」ことが圧倒的に増えた。いまやSaaS(Software as a Service)をサブスクリプションするのもあたりまえとなった。しかし、だからこそサブスクリプションモデルを採用するビジネスの戦術が問われている。サブスクリプションモデルにありがちな落とし穴と、勝ち組になるための本当の正攻法をお教えする。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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サブスクリプションモデルが陥りやすいポイントをお教えする
(© thodonal - Fotolia)


サブスクリプションモデルはどう評価されるべきか

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 SaaSをはじめとするサブスクリプションモデルのビジネスを評価するとき、何が参考にされるべきだろうか。

 参考にできそうなものには、たとえば、年間売上規模、月間売上規模、ユーザー数やアクティブ率や、それらの数字の伸び率などがある。さらに、平均契約継続期間に解約率、利益率や開発に投じているコストの比率もわかるとよいだろう。

 内部要因だけでなく、外部環境の評価も大切だ。そういう観点では、そのサービスの市場規模の成長は今後どの程度期待できるのか、競合他社は何を狙っているのか、といったことを考えるのも重要だろう。

 とはいえ、こうしてそれらしい言葉や数字を並べることはできるが、それらは事業成功の根拠たり得ず、あくまで傍証、状況証拠にすぎない。SaaSに代表される月額制ビジネスの成長可能性と本質は、そうした表面的なものには現れない。

 サブスクリプションモデルの事業価値や成功可能性を考えるにあたって、先に挙げたような一般的な事業評価指標は参考にはなっても、意思決定の根拠とするべきではない。固定客が積み上がっていくことで売り上げを増やすサブスクリプションモデルにおいては、瞬間風速的な売上や利益よりも、そのサービス自体の「ポテンシャル」こそが着目すべき点となるからだ。

 ここでいうポテンシャルとは、既存顧客に対して新たな機能やサービスを開発し、それをオプションとして追加販売していったり、またはユーザーの増加によって自然に売上が増加したりすることだ。そしてこれこそが、サブスクリプションというビジネスモデル、そしてSaaSビジネスの魅力なのだ。

 しかし難しいのが、「ポテンシャルをいかに評価したらよいのか」である。

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サブスクリプションビジネスの成功失敗要因

 サブスクリプションモデルというのは、いかに安定しているように見えても、競合製品やサービスが現れて、あっという間に成長鈍化したり消滅したりする。内部要因、外部環境、どちらに目を向けても予測困難性と複雑性に満ちている。仮に現在、たまたま売上や利益が生まれていたとしても、それが永続するかどうかはわからない。

 そこで筆者は、「サブスクリプションモデルの三要素」を見るべきだと考える。

サブスクリプションモデルの三要素

 サブスクリプションモデルが営業方面コストをかける対象は、突き詰めると「新規開拓」「既存対応」「解約防止」の3つに集約される。

 そして、サブスクリプションモデルにおける優先順位の正解は、1に「既存」2が「新規」、最後にくるのが「解約防止」となる。

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サブスクリプションモデル時代には、それに合った発想が求められる

 サブスクリプションの本質は契約の継続にある。契約の継続とは、「製品と顧客がフィットしている」ということである。顧客が求める機能が提供され、得たい成果物が得られ続けるかぎり契約は継続する。そして、社会的にそのニーズがあるかぎり、新規の顧客とは「開拓」するものではなくて「対応する」ものであるべきなのだ。

 逆に言えば、必死に新規を開拓しないといけないようでは、そのサブスクリプションモデルは「立ち上がってもいない」のである。しかし、こうした見方は、従来型の「売上第一主義」的な考え方からしたら、理解しがたいものかもしれない。

【次ページ】新規顧客獲得の“誘惑”を振り切る

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