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  • 2018/10/29

クロニンジャー博士の「パーソナリティ理論」とは?気質、性格でマネジメントを考える

上司から新規事業をまかされた。こんなとき、「裁量が増えたしよし頑張るぞ」と思う人もいれば、「責任を押し付けられた、めんどくさい」と思う人もいる。同じ出来事でも人によって見え方が違う。なぜか? こうした見方の癖を理解すれば、マネジメントはもっとうまくいくのではないか。そこで、今回は米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士が考えたパーソナリティ理論である「TCI理論」を仕組みから実践方法まで紹介する。

人材・組織コラムニスト 後藤洋平

人材・組織コラムニスト 後藤洋平

1982年大阪市生まれ。東京大学工学部システム創成学科卒。在学中は東大ブランドショップ立ち上げに参加など活動多数。卒業後はコンサルティング会社にて数々の新規事業立ち上げに参画。「どうして売れるルイ・ヴィトン」「挑戦者の本能と時間との競争」等、著書多数。『予定通り進まないプロジェクトの進め方』(宣伝会議)が発売中。

予定通り進まないプロジェクトの進め方
・著者:前田考歩、後藤洋平
・定価:1,944円 (税抜)
・ページ数:256ページ
・出版社: 宣伝会議
・ISBN:978-4883354375
・発売日:2018年3月28日

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パーソナリティ理論でマネジメントは改善するのだろうか?
(© ra2 studio - Fotolia)


パーソナリティ理論、TCI理論とは

 TCI理論とは、米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士によって編み出された。

 この理論では、人のパーソナリティは「気質」=「Temperament」と「性格」=「Character」によって構成されており、合計7次元の人格モデルで分析ができる。

 元々は鬱病などの治療目的で開発され、世界各国で実証、研究されているものである。日本においても妥当性、信頼性の高さが確かめられていて、企業向けにも提供されている。

「気質」「性格」による人格モデル

 TCI理論では、人の行動は「気質」と「性格」によって引き起こされている。「気質」とは遺伝的に決まっていて、「性格」は人が成長するなかで形成される。よく「遺伝か環境か」なんて話があるが、この理論では、その両方が人格形成に影響している。

 「気質」は脳内伝達物質に紐づけて解き明かすことができる。

 人の脳においては、ドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンといった化学物質が分泌されることで、興奮したり、鎮静したり、という反応が起きている。これらの物質の受容体というものが脳の中にはあるのだが、TCI理論によれば、それぞれの物質に対する受容体の数が遺伝的に決まっている。

 つまりアドレナリンの影響を受けてアクセルがかかりやすい人もいれば、ノルアドレナリンの影響を受けてブレーキがかかりやすい人もいる。

 何かしらの物事が発生したときに、まず情動が発生する。そこで興奮したりしなかったり、というのは、人の理性でコントロールできるものではないのだ。

 確かに、先天的に怖がりの人もいれば、喧嘩っ早い人もいる、そうした経験的事実と照らし合わせても違和感はない。

 だがこの「気質」がそのままむき出しで発動してばかりでは、社会生活を送るのが難しくなる。これをカバーするのが「性格」、すなわち大脳新皮質の働きによるコントロールだ。

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性格と気質の関係

 まず情動が起きて、次に大脳新皮質が行動を制御する。この「性格」は、思春期以降、さまざまな成功体験、失敗体験、葛藤を経ることで強化されていく。

 ここで分かるように、「気質」は極めて物理的な話に還元されるが、「性格」は血流や血圧などの影響も受ける、ゆらぎのあるものだ。ストレスが高いときや飲酒中はこの「性格」の働きが弱まり、むき出しの「気質」が前面に出てしまう。

 実際に、経時的にこの「気質」と「性格」を測定して比較したら、前者については一貫性が高いが、後者はその時の状況や調子によって変動するという。

【次ページ】気質と性格の分類

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