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- 2018/08/20 06:10 掲載
プロジェクトで「達成感」を感じたら「絶賛失敗中」である
1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。製造業DX・人材ビジネス・IT開発・新規事業などの経験から、プロジェクト活動における「未知」という難しさを痛感。解決策を模索する中で、学生時代に学んだ設計学・サービス工学のプロジェクト活動への応用を着想した「プ譜(プロジェクト譜)」は、進行設計を計画書ではなく「譜面」として表現することで、管理に寄りすぎず、柔らかな進め方ができる手法として、静かながらも長年の支持を得ている。組織マネージャ、ITプロマネ、二児の父という三足のわらじが履ききれなくなって、2019年5月に独立。企業研修や実務支援に取り組む中で、どの業界、企業、人にも共通する悩みがあると理解し、何か一助になりたいと思いながらも試行錯誤を続けている。近年はプ譜を用いた壁打ちセッションを試行中。
「うまくいかなくて当たり前」?「うまくいって当たり前」?
これは、私たちが日々直面するプロジェクトの世界においても当てはまる考え方だ。
プロジェクトには極論すると2つの状態しかない。すなわち「うまくいっている」か「うまくいっていない」かだ。
プロジェクトの世界で、「うまくいっていない」状態は非常に見えやすくわかりやすい状態で、「炎上」「遅延」「予算オーバー」として観測される。
思っていた結果がでない、それによって全体の計画が狂う。プロジェクトとはそんなことばかりだ。そしてその直接的な要因はたくさん見つけられる。計画を立てたときの想定の甘さやメンバーの経験不足。「負けにつながる必然的な要因」には事欠かない。
一方でプロジェクトが「うまくいっている」ときというのは、実は曖昧な状態だ。炎上もなく遅延もなく、スケジュールも予算も計画通りに進行する。そういうことも、たまにはある。しかしそれが一体なんのおかげなのかというと、うまくいっているだけに、特定しづらい。
顧客のものわかりがよくて、無理難題を押し付けてこないからかもしれない。ベンダーが有能で、無理難題を頑張ってこなしているからかもしれない。顧客とベンダーの双方が協力しあって、難しい要件をともにクリアしているのかもしれない。
ベンダー側のプロジェクトマネージャーが優秀なのかもしれないし、顧客側プロジェクトオーナーが優秀なのかもしれない。いや、彼らは凡庸なのだけど、伝説のスーパーアーキテクトが下支えしていることによって平和が保たれているのかもしれない。
いや、ことはもっと単純で、最初から要件が簡単だっただけなのかもしれない。
同じ状況、同じ課題に対して、複数のチームが同時に取り組めば、その比較によって成功要因は分析できるかもしれないが、もちろんそういうことはできない。
考えてみれば、プロジェクトとは計画立案時においては「うまくいって当たり前」だが、実行時には「うまくいかなくて当たり前」という不思議な性質を持っている。さらに、「比較対照ができない」という性質を加えると、そこに携わる人の能力や努力、各人の貢献度合いというものを客観的に評価することが極めて困難だということがわかる。
【次ページ】生産性が上がらないのは「達成感」のせい
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