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  • 2019/01/24

海洋汚染が深刻化、京都府亀岡市が「レジ袋有料化」だけでは不十分とした理由

プラスチックごみによる海洋汚染が深刻さを増す中、京都府亀岡市がプラスチックごみゼロを宣言し、プラスチック製レジ袋の使用を禁止する条例制定を目指す方針を明らかにした。レジ袋有料化を目指す環境省より一歩進んだ内容で、実現すれば全国の地方自治体で初めて。世界のプラスチック生産量は過去50年で20倍に増えた。排出量の47%をレジ袋など容器包装が占め、そのほとんどが使い捨てだ。大阪商業大公共学部の原田禎夫准教授(公共経済学)は「レジ袋の禁止はあくまで手段にすぎない。条例制定を使い捨てのライフスタイルを改めるきっかけにすべきだ」と提言する。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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小売店にプラスティックのレジ袋提供を禁止する条例制定の方針を明らかにした京都府亀岡市役所
(写真:筆者撮影)

2019年度に有料化、2020年度に禁止条例施行の方針

 亀岡市のプラスチックごみゼロ宣言は市議会と共同で発表した。エコバッグ持参率100%を目標に掲げたほか、家庭から出るプラスチックごみの回収率100%達成も明示し、2030年までに使い捨てのプラスチックごみゼロの街を目指すとしている。

 亀岡市は京都市の西隣にある人口約8万9,000人。京都市のベッドタウンでありながら、川下りやトロッコ列車で有名な保津峡など豊かな自然と田園風景が残っている。

 市内ではスーパーやコンビニエンスストア、個人商店など約760の小売店が営業している。しかし、レジ袋を有料化している店はわずか数%。亀岡市は2019年度中に商店街や小売店と協定を結び、すべての店でレジ袋を一律有料化する考え。そのうえで2020年度を目標にレジ袋の禁止条例施行を目指す考えだ。

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 条例の細部については今後、詰めることになるが、従わない事業者に対し勧告や氏名公表の導入を検討しているほか、施行後の状況によっては過料の導入を視野に入れるなど厳しい姿勢で臨む方針。紙袋の提供は条例施行後も認める方向で調整している。

 亀岡市は海に面していないが、保津峡でプラスチックごみが目につくようになってきたことから、2012年に内陸部の自治体で初めて「海ごみサミット」を開催した。その後、原田准教授の助言を得ながら、プラスチックごみ対策を検討してきた。

 亀岡市環境政策課は「レジ袋有料化を実現させたうえで、禁止条例の検討に入る。レジ袋を使わない機運を全国に広めるため、亀岡から一石を投じたい」と意気込みを語った。

ジャンボジェット5万機分のプラごみが海へ流入

 環境保護団体のWWFジャパンによると、年間に海へ流れ込むプラスチックごみは全世界で少なくとも約800万トンと見積もられている。ジャンボジェット機の機体の重さに換算すると、実に5万機分に当たる膨大な量だ。このまま流入が続けば、2050年に海にいる魚と同じ量まで増えると予測されている。

 そのうえ、ウミガメや海鳥が投棄されたプラスチック製の漁具にからまったり、プラスチックごみを飲み込んだりして傷ついているほか、5ミリ以下の細かい粒子のマイクロプラスチックが海の生態系に入り込み、食を通じて人体に取り込まれている可能性が指摘されている。

 特に日本近海は世界平均の27倍という高濃度でマイクロプラスチックが漂っている。マイクロプラスチックは油に溶けやすいPCBなどの有害物質が付着しやすく、人体への影響を懸念する声も出ている。

 環境省によると、1950年代以降に生産されたプラスチックは全世界で83億トンを超え、うち63億トンがごみとして廃棄された。廃棄されたプラスチックごみの47%がレジ袋など容器包装で、その大部分が使い捨て。レジ袋は国内で年間450億枚が使用され、そのうちの3割をコンビニが提供している。

プラスチックは自然分解されるまでに数十年から数百年かかるとする研究があり、一度海に入ると長く環境に影響を与え続ける。WWFジャパン自然保護室の三沢行弘さんは「海洋汚染を防ぐためには、ごみのポイ捨て禁止やリサイクル推進だけで何とかなる段階ではない。使い捨てのプラスチックをなくしていくことが必要だ」と訴える。

【次ページ】環境省の意向は2020年度以降の有料化義務付け

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