右肩上がりの動員人数、国際化も
本イベントの規模は、年を追うごとに大きくなってきた。2016年は出展ブース数約120、総動員数約7万人だったが、今年は出展者数223、総動員数約20万人だった。LGBTへの理解が以前より浸透し、支持が広がってきたことを反映しているのだろう。
筆者は以前にもこのイベントを取材しており、参加者の増加には目を見張った。正確な実数は把握できないが、国内だけでなく、海外の参加者が増えたように感じた。国際的なイベントの色合いも強くなったようだ。
初日の午後に行われた「プライドパレード」でも、海外からの参加者が目立った。今年のパレードは、本イベント始まって以来の1万人以上(10,915人)が参加し、渋谷から原宿の街を計41梯団が大行進した。著名人や政治家らも参加し、心地よく晴れ渡った青空に、レインボーフラッグがはためいていた。
BOX、楽天、セールスフォースなどIT企業の取り組み
さて、ここからは弊媒体に関係するIT企業などのブースについて紹介していこう。
人材プラットフォームを提供するビズリーチでは、同社のLGBTに対する考えに賛同する企業とブースを出展していた。「人材に関わる企業として、あまねく企業に人材の選択肢と可能性を広げてもらえるような啓蒙活動の一環として本イベントに参加した」という。賛同企業にはアンカー・ジャパンや、BOX、GEなどがあり、企業の取り組みが紹介されていた。
Amazon.comでポータブル充電器部門第一位を獲得するなど、モバイルバッテリーの人気が高いアンカー・ジャパンは、今年が初参加。同社では、結婚や慶弔休暇などのライフイベントに関わる社内制度を性的指向を問わず適用するなど、ダイバーシティ&インクルージョンの教育を社内で展開中だ。
BOXには、社内にLGBTを支援するコミュニティがあり、活動の一環として参加したそうだ。同社は"Bring yourself to work"という標語を掲げ、個人を尊重し、自分らしさを出して働ける社内環境を推進中。著名人を呼んで教育したり、LGBTをテーマにしたムービーを上映し、理解を深める活動を行っている。ブースではLGBTへの対応などのアンケートを取っていた。
グローバル企業として外国人の社員率が高い楽天も、本イベントに参加。同社は社内制度として、同性パートナーに対する福利厚生や、トランスジェンダーの社内名義の変更、カミングアウト時の差別やパワハラの禁止などを明記し、2016年から異性を区別しない平等な社内制度を整備してきた。ただし、同社は独立した部署もグループ企業も多いため、引き続き企業全体としての啓蒙活動を進めたい意向だ。
セールスフォースは社内外の平等性をアピールするためにイベントに参加。出展メッセージは「ずっと、もっと、誇らしい」。マイノリティが誇りを持ち、社会生活を送れるように支援していく意味が込められている。すでに同社の社内改革はかなり進んでいる。もともと同社は、ハワイ語で「オハナ」という(血縁関係がない者も含む)家族に相当する概念を取り入れているユニークな企業だ。LGBTの人々もオハナの一員として活躍しているという。
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