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- 2019/09/10 掲載
今野製作所が考える“町工場の未来像”とは?「攻めのIT経営中小企業百選」の実力
今野製作所 今野社長インタビュー(前編)
後編はこちら(※この記事は前編です)
参照
4つの事業を展開、右肩上がりで成長を続ける
今野製作所は1961年に東京都北区で創業し、現在は足立区の本社と福島の工場、大阪の営業拠点を合わせて従業員数37名(2019年7月現在)の企業です。創業当時は「ふるい」や「薬さじ」などを手作りする、医療理化学機器を専門とした板金加工業者でした。現在では油圧機器事業(イーグル爪付ジャッキ)が売り上げの7割を占め、そのほかにも板金加工事業、エンジニアリング&サービス事業、福祉機器事業を展開しています。売り上げはリーマンショックで一時的に落ち込んだものの、それ以降は右肩上がりで成長を続けています。
製造業界から全幅の信頼を集める「イーグル爪付ジャッキ」
ジャッキは、小さな力で重量物を持ち上げて支える器具です。自動車のタイヤ交換や修理をする時に車体を持ち上げる道具をイメージする方が多いと思います。
同社のイーグル爪付ジャッキは、油圧ジャッキの一種で小さな器具ですが、油圧により数トンもの力を出すことができ、工場における大型設備機器の輸送・据え付け・レイアウト変更のほか、文化財の修復工事や防災資機材など幅広い分野で活用されています。
また、据え付け対象の機器は特殊な形状のものも多くあり、顧客と一緒になって必要な仕様を決めて特注品製作を行う場合もあります。さらにイーグル爪付ジャッキの技術を生かした新製品開発の検討も積極的に行っています。
今野社長によると、海外の特にASEAN地域では、人による輸送・据え付けにかかる人件費とイーグル爪付ジャッキの価格を比較されて販売に苦戦したそうです。その後、日本メーカー製の工作機械などと一緒に海外に輸出されるようになったことで機械工具のメンテナンス企業で使われるようになり、同社のブランドも定着しつつあるとのことです。
日本の輸送・据え付け業者が日本メーカー製の機器を現地まで輸送して据え付ける場合、日本からイーグル爪付ジャッキを持って行くことが多く、現地では据え付け器具を調達しません。イーグル爪付ジャッキは、輸送・設置業者にとって貴重な“営業ツール”というステータスになっています。
工場における大型設備機器の輸送・据え付け・レイアウト変更作業では、工作機械の位置決めがミリ単位で計画されており、機械を安定稼働させるためには誤差が許されません。その反面、ジャッキを下に入れる隙間を確保しにくい状況が多々あります。
イーグル爪付ジャッキは、強い爪と微細な調整機能によって工場ラインの緻密な構築作業を支えています。そのため、日本の厳格な品質・安全基準に対応するツールとして製造業界から全幅の信頼を寄せられています。
【次ページ】「脱・下請け」に向けた取り組みにも注力、町工場の「ものづくりのワ」とは?
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