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  • 2019/01/11

現場の「見える化だけでは終わらない問題」をどう解決すべきか

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

愛知県碧南市にある、自動車部品の製造などを手掛ける中堅製造業者の旭鉄工。前編では同社が開発した「製造ライン遠隔モニタリングサービス」のきっかけと成果、i Smart Technologiesの設立、サービス導入実績について触れました。今回は後編として新しい取り組みに挑戦する同社の海外展開や今後の展望について、旭鉄工 代表取締役社長 兼 i Smart Technologies 代表取締役社長の木村哲也氏と同CTO(Chief Technical Officer)である今井武晃氏にお聞きした内容を紹介します。

東芝デジタルソリューションズ 福本 勲

東芝デジタルソリューションズ 福本 勲

東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 担当部長、中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに貢献。現在は東芝デジタルソリューションズにてインダストリアルIoTの事業・ビジネスの企画・マーケティングを担う。一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ エバンジェリスト。ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)WG1 IoT による製造ビジネス変革メンバーなどをつとめる。

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i Smart Technologiesの木村社長(左)、今井CTO(右)/ 中央は筆者(福本)

独ハノーバーメッセ2018への出展は日本企業狙い?

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ハノーバーメッセ2018での出展の様子
(写真:筆者撮影)
 i Smart Technologiesは海外展開にも力を入れています。2018年4月にはドイツで開催されたハノーバーメッセ2018の「Japan Pavilion For Connected Industries」に「製造ライン遠隔モニタリングサービス」を出展しました。

 分かりやすい展示にするために、磁気センサーを駆動部分につけ、稼働状態(サイクルタイム、製造数量など)を測定するデモを紹介。模擬ラインとタブレット、スマートフォン、ウェアラブル端末を設置したデモを見てもらうことで自社の古い機械にも安価に導入可能であることを理解してもらい、実際に操作してもらうことで各種機能の動作、操作性の良さ、データの分かりやすさを理解してもらいたかったそうです。

 出展の目的は欧州からの引き合いを得ることというより、日本ではアプローチできなかった日本の大企業などへのアプローチ、メディアに取り上げてもらうことによる知名度向上にあり、実際にその効果が得られたことから2019年も出展予定だそうです。

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「製造ライン遠隔モニタリングサービス」のデモ。稼働状況やサイクルタイム、生産数量などの見える化が実現されている
(写真:筆者撮影)

タイ政府との相互協力がもたらしたもの

 また、i Smart Technologiesは旭鉄工が工場を構えているタイの政府とも相互協力しています。2018年5月にはタイの工業省とMOU(基本合意書)を締結。同月にタイで「製造ライン遠隔モニタリングサービス」の提供を開始し、「タイランド4.0」の発展に貢献しています。

 タイには日系企業の製造拠点が集積し、人件費高騰から生産性向上が求められています。タイのラヨン県にある旭鉄工の工場を拠点に、まず、タイに進出した日系企業に、日本からの遠隔管理や稼働データの自動収集ができる点を訴求し提案を始めています。既に8拠点で見える化の実証を行っているとのこと。

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タイではシグナルタワーの利用はあまり見られない。
(写真:i Smart Technologies 提供)
 タイの工場では、シグナルタワーの導入がそれほど進んでおらず、磁気センサーを使った測定が多いそうです。回転体の回転数を磁気センサーで測定するなどの取り組みも進めたといいます。

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タイにおいて磁気センサーでの回転体の回転数を測定した事例。
(写真:i Smart Technologies 提供)



エッジ版投入により、大企業も対象に

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 最近のサービスの現状についても紹介しておきましょう。2018年11月27日には、ミツイワ社が提供するVAINTIQ のリアルタイム・イベント・ドリブン型アプリケーション(EDA)の開発プラットフォーム技術を融合した新たなエッジ型モニタリングサービスを共同で開発することを発表しました。

 この発表は、今後、「製造ライン遠隔モニタリングサービス」のターゲットを従来の中小企業だけではなく、大企業まで拡大することを狙ったものです。クラウドで動作する現在のモニタリングサービスを考えたとき、日本の大規模製造業では自社のデータをクラウドにあげることをためらいますし、工場内での無線などの利用にも制約がありますし、PLC接続などのカスタマイズ要求も発生します。

 こういったニーズに対し、よりセキュリティ的に強固なエッジ、有線での利用を可能とするモニタリングサービスを2018年度末までにリリースする予定だそうです。また、従来は光センサー、磁気センサーなどを用い、敢えてOT領域の機器(PLCなど)との接続を行わずにOT領域の情報を取得するという方針であったのに対し、今後はこういった対応も積極的に行っていくと言います。このためにパートナー作りが必要と考えているとのことです。

【次ページ】今後のサービス進化の方向性は「三方良し」

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