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- 2020/07/13 掲載
「クルマのサブスク」は“崖っぷち”の自動車業界を救えるか
連載:MaaS時代の明日の都市
普通乗用車、販売台数半減の衝撃
新型コロナウイルスとの共存がしばらく続くであろう生活の中で、最も感染防止に有効な移動手段は「マイカー」だという人は多い。たしかに外界から閉ざされた空間で自分や家族だけが収まって移動できるのは、安心感が高い。では感染拡大後、乗用車の販売台数は伸びているかというと、現状はまったく逆の結果が出ている。
日本自動車販売協会連合会の5月の統計を見ると、軽自動車を除く、日本メーカーの乗用車の新車販売台数は、前年同月の58.2%にとどまっている。内訳は5ナンバーの小型乗用車が68.6%、3ナンバーの普通乗用車は50.0%と、後者については半減している。
登録車新車販売台数概況(2020年5月実績・乗用車) | ||||
普通 | 小型 | 計 | 本年累計 | |
前年台数(台) | 119216 | 93420 | 212636 | 1248246 |
前年比(%) | 50.0 | 68.6 | 58.2 | 81.4 |
(出典:日本自動車販売協会連合会「ブランド別新車販売台数確報」) |
軽自動車の新車販売台数については、全国軽自動車協会連合会の調査によると、やはり前年5月比で44.1%と半分以下に落ち込んでいる。また、日本自動車輸入組合が発表した輸入乗用車登録台数は、外国メーカー53.4%、日本メーカー63.6%だった。
ちなみに中古車は、国内メーカーの登録車が91.9%、軽自動車が75.2%、輸入車が81.6%だった。なお、昨年ベースでの新車と中古車の台数の比率は、国内メーカーの登録車は45:55、軽自動車と輸入車はどちらも36:64で、すべて中古車の方が売れているが、今年はその差がさらに広がったことになる。
一方で、購入費用や維持費用が安く抑えられる軽自動車の落ち込みが大きいのは、主に2つのケースが考えられる。1つ目は、そもそも軽自動車は「自動車への支出を可能な限り抑えたい」人が買う傾向にあるので、予算を切り詰めると購入自体を諦めるという結論になったケース。もう1つは、地方では1人1台の感覚で軽自動車を所有する例が多かったが、収入の減少で家族との兼用を考えるようになり、購入を控えるというケースだ。
カーシェアにも逆風
都市部で近年、利用者が増え続けているカーシェアリングも、外出自粛で打撃を受けたサービスの1つだ。また、自粛ムードが明けつつある今も、短い期間で不特定多数の人が利用するので衛生的に気になるとの声もある。国内カーシェア最大手のパーク24が6月15日に発表した2020年10月期第2四半期決算短信によると、レンタカーは1月下旬から、カーシェアリングは2月頃からコロナ禍の影響を受け始め、4月の緊急事態宣言後は貸出件数が大きく落ち込んだという。
たしかに、レンタカーとカーシェアリングを合わせたモビリティ事業の車両台数は、前連結会計年度末比で96.3%とやや減った。ただし同社によれば、レンタカーは観光需要の落ち込みが響いたものの、「タイムズカーシェア」の会員数は増加しており、車両台数は102.9%とむしろ増えているという。
【次ページ】シェアリングの未来は? 革新的なモデルも登場
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