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  • 2021/09/17 掲載

急躍進の「テレヘルス(遠隔医療)」サービス、コロナ後も安泰とは言えないワケ

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新型コロナウイルスの流行は経済にさまざまな影響を及ぼしたが、コロナゆえに伸びている産業もある。その代表的なものの1つがテレヘルス(遠隔医療)の分野だ。米国ではテレヘルスの普及のために規制が緩和されるなど、政府も自宅で医療相談が可能となるテレヘルスを後押ししている。ただし普及のためには誰もが高速インターネットを使用できる環境の整備など課題も多い。今後の成長のカギを探る。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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テレヘルスサービスの注目分野・企業を解説
(Photo/Getty Images)


米国のテレヘルスサービス利用、2021年は64%

 8月末にリサーチ会社Parks Associatesが開催したコネクテッドヘルスサミットでは、テレヘルスの現状、新しいビジネスモデル、業界の成長予測、今後の課題などさをテーマにまざまなセッションが行われた。

 同社によると、長引くコロナの影響もあり、米国でのテレヘルスサービスの利用は2017年の8%から2021年には64%に急増している。コロナ前の2019年の時点で普及率は15%、コロナが流行した2020年には41%である。

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テレヘルスサービスの利用率推移(%)
(出典:Parks Associates)

 この理由としては、テレヘルスを提供する企業やビジネスモデルの増加、テレヘルス利用への保険適用などを認める規制の変化、医療プロバイダーによる導入、テレヘルス市場そのものの増大などが挙げられる。


テレヘルスサービスの代表例、今後成長が見込まれる分野

 テレヘルスサービスと呼ばれるものとしては、以下の内容などが挙げられる。

  • 旅行、学校、企業などに対する疾病モニタリングサービス
  • 医療現場におけるAIなどを使った診断サポート
  • 持病を持つ人へのコンディションモニタリング
  • 退院後の経過観察
  • 高齢者の見守りサービス
  • フィットネスサポート

 そしてこれらを可能にするためのデバイスとしては、次のようなものが代表的だ。

  • ウェアラブル
     フィットネストラッカー、GPSスポーツウォッチ、スマートウォッチ

  • コネクテッドフィットネスデバイス
     体重計、フィットネス機器、歩数計、胸部取り付け型心音モニター

  • コネクテッドメディカルデバイス
     スマート体温計、ワイヤレスCPAP(睡眠時無呼吸症候群防止のための持続陽圧呼吸器)、スマートピルケース、コネクテッドグルコメーター(血糖値測定器)、ワイヤレス心音計、パルスオキシメーター

  • スマートスリープ製品
     スマートマットレス、スマートスリープ関連商品

  • ワイヤレス補聴器

  •  また、今後成長が期待される分野は大きく次の7つが挙げられる。特に4と5はコロナ禍において急速な成長が見られる分野だ。

    1. RPM(Remote Patient Monitoring:遠隔患者モニタリング)プログラム、リモート診断
    2. デジタルセラピューティックプログラム(アプリを使って処方箋薬品購入などを可能にする)
    3. ホームホスピタル(新しいDTCモデルが急速に増加中)
    4. メディカル/ヘルスデバイス、ホームテストキット、ソフトウェアソリューション
    5. コンタクトトラッキング、病院などの収容状況マネジメント、エアクオリティ感知、消毒状況のモニタリング
    6. 既存のメディカルデバイス(PERS、CPAP、ペースメーカーなどのオンライン・リモート化)
    7. セルラー、LPWAN、Bluetoothを組み込んだ機器

     デジタル/テレヘルス産業には多くのベンチャーが参入、オムロンなどの既存の大手メディカルデバイスメーカー、ヘルス産業に乗り出すGAFAらと共に、競争力が高まっている。ロックヘルス社のデータによると、テレヘルス産業へのベンチャー投資額も劇的に増加している。

    【次ページ】5億円調達企業も。注目の新興企業

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