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  • 2021/11/16

集中か分散か? ガートナーが教える3ステップでのサプライチェーン計画の構築術

多くの企業がグローバルに展開する中で、意思決定を中央で行うのか、各ローカルレベルで行うのかは判断の難しい点でもある。ガートナーのサプライチェーンリーダー、クリスティナ・カルバロ氏が数多くの政府機関、企業などへのコンサルティングを行った経験から、サプライチェーンの計画やマネジメントにおいて、セントラライズ(中央集中型)かデセントラライズ(分散型)のいずれの手法がより自社に適しているのかを具体的に見分けるための方法について語った。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。


※本記事は9月13日~15日開催「Gartner Supply Chain Symposium/Xpo 2021」の内容をもとに再構成したものです。

集中か分散かは企業ごとにバラバラ

 サプライチェーンプランニングやサプライチェーンマネジメントにおいて、管理業務をセントラライズ(中央集中型)するかデセントラライズ(分散型)するのかというのは多くの企業にとって悩ましい問題だろう。ガートナー社の調査によると、現在16%の企業がデセントラライズ、47%がリージョナルチームを構築、そして36%がセントラライズを選択している。

 内訳を見ると、デセントラライズの中で「サービスや製品を提供する国や市場ごとに分散」が9.3%、「個々のビジネス部門ごとに分散」が7.5%。リージョナルでは「ビジネス部門では集約しているが地域ごとに独立」が28%、「リージョナルサービスで共有のサービスセンター設置」が18.7%。セントラライズではグローバルサービスで共有のサービスセンター設置」となっている。

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中央集権的か分散型か?現状は?

 つまりセントラライズ、デセントラライズの中にもさまざまな形態があり、さらにその中間とも呼べるリージョナルも存在し、定義は一定ではない。

 さらにガートナーの調査では、「今後2年間で企業組織の構造を変化させる予定」と回答した企業が65%に上った。これは非常に大きな数字だが、さらにその方向性については30%がセントラライズ、つまりローカルからリージョナルあるいはグローバルへ、53%がデセントラライズ、グローバルからリージョナル、あるいはローカルへと回答した。また残りの20%ほどは企業の組織モデルの中で小さなシフトを計画していると回答した。

 どちらの方向に進むのが正解かという明確な答えはなく、多くの企業のプランニングチームは方向性について迷い、手探りを続けているという印象がある。方向性を定めるためには次のようなフレームワークを使い、どちらの方向が自分の企業にとってふさわしいのかを選択する必要がある。


自社にとって最適な方向性を見つける3つのステップ

 自社の企業にとって最適な方向性を見つけるには以下の3つのステップが必要だ。

1.ゴールを特定しワークフローをマップ化すること
 デジタル時代の到来により、コンピューティングが主要な要素になりつつある。そこで従来の、一貫性、規模感、業務効率に加えてスピード、イノベーション、カスタマーアラインメント(顧客への一貫性)が必要とされる。

 なぜなら産業時代にはある程度の予知性、長いビジネスサイクル、規模の経済(スケールメリット)、標準化が一般的だったが、デジタル時代においては予知せぬ出来事の到来、短いビジネスサイクル、新技術、イノベーションに置き換わるためだ。

 このため組織はこれまでより複雑なものとなるが、どちらの方向に進むかで双方のメリットがある。

 まずセントラライズを選択した場合、サプライチェーンネットワークと在庫の可視化が可能で、仕事の標準化、専門性の強化、規模の経済が得られる。一方、デセントラライズでは現地組織での一貫性、差別化、意思決定の迅速化などが可能となる。

 どちらのメリットも魅力的ではあるが、プランニングにおいてはこれらのバランスを取ることが重要となる。バランスを取るためには明確なゴールと優先度の設定が必要だ。優先度があって初めてワークフローをマッピングすることができる。

 どのような作業が必要なのか。どのような結果を求めているのか。その結果を出すためには何をどのようにオーガナイズすれば良いのか。そのためのプランニングとはどのようなものなのか。

 プランニングとはすなわち意思決定である。意思決定とは企業の資産(ヒト・モノ・カネ・情報など)をより良く使い、顧客に利益をもたらす結果を届けるということだ。こうした意思決定はさまざまなレベルや方法で行うことができる。

 つまり、まずは誰が意思決定をするのか、そしてそれをどのようにサポートするのかを特定することが大切となる。組織の中にはさまざまなレベルの意思決定者が存在する。誰が責任者であるのかを明確にした上でサプライチェーンネットワークをデザインすることが重要だ。またサポートの方法としてはIBP(Integrated Business Planning)、S&OP(Sales and Operations Planning)、S&OE(Sales and Operations Execution)など、状況に合わせたものが考えられる。

 65%もの企業がビジネスの構造を今後2年間で変化させると回答したが、その理由として最大のものは「プランニングを他のサプライチェーン活動に集約する」というものだった。しかし実際にはプランニングは必ずしもサプライチェーンネットワークと関連させる必要性はない。

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サプライチェーンのビジネス構造を変化させる理由とは?

 ほとんどのサプライは需要によって決定されるものであり、そこには大きな制約は存在しない。必要なのはプランニングよりもマネジメントだ。サプライチェーンプラン任ぐをマネージするビジネスユニットがプランニングに情報を還元し、そこから得られるデータによってバランスの取れた意思決定が行われることになる。

 たとえば、突然需要が急激に変化し、供給が滞り、比較的制約のないネットワークが突然非常に制約されたネットワークに置き換わるとする。これに対して、どのようにアロケーションを行い、所有するリソースの再分配を行うことができるのか。適切な構造とプロセスを持たない企業はこうした事態に対応することが困難だろう。だからこそワークフローをマップ化し、それぞれのレベルでの意思決定=プランニングを行うことが重要なのだ。

 一般的に需要プランはローカルレベルで行われる。一方でポートフォリオプランはグローバルレベルで行われる。そのため製造計画とプランニングなどはローカルレベル=デセントラライズで行われるが、プランニングの成果はリージョナルあるいはグローバルレベル=セントラライズで行われる必要がある。これらを念頭に置き、どれくらいのレベルのセントラライズとデセントラライズが必要かを可視化して行かなければならない。

【次ページ】2.要求される能力と役割を揃えチームを作る

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