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  • 2022/02/21 掲載

「レスポンシブルAI」「AIライフサイクル」などAIとデータに関する5つの未来予測

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2021年はAIにとって過剰な期待を背負った年になりました。AIには圧倒的な存在感があるものの、目標の達成という成果はなかなか得られなかったからです。しかし、その一方で、2021年はAIの基礎作りの時期になりました。AIが、より責任を担うことができ、効率的で、しかも費用対効果の高い技術にするための基礎的な枠組みが築かれたのです。2022年は、過去の失敗から学び、より良いAI技術のある世界を構築する年となるでしょう。本稿では、AI開発支援のAppen 最高技術責任者(CTO)ウィルソン・パン氏が、AIの未来に関しての上位5つの予測と、これらの変化がAIテクノロジー全体に及ぼす影響について解説してくれました。

執筆:Appen 最高技術責任者(CTO)ウィルソン・パン(Wilson Pang)

執筆:Appen 最高技術責任者(CTO)ウィルソン・パン(Wilson Pang)

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AIの未来に関する5つの予測とは?
(Photo/Getty Images)


予測1:「責任あるAI(レスポンシブルAI)」は「必須条件」に

 2021年、AI業界は「All-talk and No-walk」、つまり「口先だけで行動が伴わない」という問題を抱えていました。

 2021年に思考された「責任あるAI(レスポンシブルAI)」に関しては、多くの記事を読むことができますが、責任あるAIの原理原則についての話題はあまり見られませんでした。

 Appenの調査では、AIの倫理に対する懸念を抱いているのは、技術者では41%、ビジネスリーダーでは33%というわずかな割合に過ぎませんでした。

 2022年、AIへの期待は高まり、企業は責任あるAIを有することがより高い事業成果につながることを認識しはじめるでしょう。責任あるAIの重要性の理解に関して、ビジネスリーダーは技術者たちにすぐに追いつくことになるはずです。そして、AIに先行投資することがビジネスにどのように還元されるかを理解するのです。

 責任あるAIの原理原則が適切に実装されれば、企業ブランドが守られ、AIプロジェクトは期待通りに進むことになります。さらに、2022年には、Appenは、以下を念頭に、十分に構築され成熟した責任あるAIの原理原則を確立します。

「責任あるAIの原理原則」
  • データに偏りがないこと
  • データを収集したり、ラベルづけをする労働者に対して公正な扱いがなされていること
  • AIプロジェクトは、社会的利益の促進と社会的損失の防止の両方を兼ね備えていること

 ビジネスリーダーが技術者同様に責任あるAIの重要性を認識するようになれば、政府も大きく遅れをとることはなくなるでしょう。

 政府は、無責任なAIが内包する危険性を認識しはじめています。そのため、何らかの規制も行われることでしょう。かつて「データプライバシー」に関して起こったことと同じように、社会に対して害となる要素を企業自身が自ら規制しなければ、政府が規制に乗り出すことになります。

 つまり、企業は倫理的かつ信頼性の高いAIを導入せざるを得ない状況になるのです。

 米大手調査会社のガートナーは、2023年までには、AI開発のために雇用されるすべての人材には責任あるAIに関する専門知識が必須になると予測しています

予測2:AIプログラムにはAIライフサイクルが重要に

 最近の統計や傾向を見ると、AIプログラムは成熟化が進み、AIはますます社会のあらゆる場所に浸透し、企業活動や製品開発を強化・支援しています。Appenの調査によれば、2021年はAI関連の予算が増大しました。これは、企業が成功を確実なものにするためにはAIに投資しなければならないというビジネスリーダーの認識を表しています。

 2021年の重要な収穫のひとつは、成熟したAIデータサイエンス部門を抱える企業でさえ、データに悩まされているという事実が明らかになったことです。

 企業は、AIモデルの開発からトレーニング、そして再トレーニングに必要なデータ量が膨大であることに気付きつつあります。AIライフサイクルを成功させるためには膨大な量のデータが必要となるため、多くの企業が外部のトレーニングデータ提供業者と提携し、AIプロジェクトを大規模に展開・更新する方法を採用しています。

 大多数の組織が外部のデータパートナーと連携しているという事実は、AIのためのデータの調達、準備、評価、生産を持続的に行うプロセスに課題があることを示しています。

 AIプロジェクトには、これまで以上に多くのデータをより迅速に入手することが求められています。そしてこれは、とりわけデータソーシングと準備を自動化することによってのみ達成できるのです。

 データに対するこうしたニーズは、2022年には変化するでしょう。企業は相変わらず多くのデータを必要とするでしょうが、そこに新しい統制が生まれることになります。すなわち、AIライフサイクルで利用されるデータは、データの取得からバージョン管理、モデルの再トレーニングに至るまで、企業がAIライフサイクル全体を管理しやすくなるツールやベストプラクティスの開発に重点が置かれていくでしょう。

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AIデータサイエンス部門を抱える企業でさえ、データに悩まされている
(Photo/Getty Images)

予測3:ジェネレーティブAIと合成データの登場

 大量のデータを必要とするAIプログラムやモデルの再トレーニングのために、より多くのデータが求められる中、業界ではデータを獲得するためのこれまでにない新たな方法が登場しています。企業が求めるスピードを叶えた上で大量のデータを得るための唯一の方法といえば、外部のデータパートナー以外にはあり得ませんでしたが、別のソリューションも登場したのです。

 「ジェネレーティブAI」とは、合成データを作成し、それをAIモデルの学習に利用することができる仕組みです。現時点では、ジェネレーティブAIによるデータが市場に占める割合は1%に過ぎませんが、ガートナーによれば、2025年までには、すべての生成データの内10%を占めるようになると予想されています。

 現在、ジェネレーティブAIは、AR/VR用の3Dワールドの生成や、自律走行車のトレーニングなど、重要な課題解決の場面で活用されています。

 ガートナーはさらに、合成データを採用することで、機械学習に必要とされる実データの量が2024年までに半減すると予測しています。合成データを使用すれば、データ取得プロセスが補完・加速されるのです。これは、責任あるAIの原理原則に従って従来のようにデータを集めるよりも、ジェネレーティブAIを採用した方が処理、セキュリティ、ラベリングが少なくて済むためです。

 2022年には、合成データを使用して実験を行う企業や機械学習モデルが増えてくることが予想されます。ジェネレーティブAIモデルは、自ら学習して新しいデータを生成することができるため、コスト効率が高く、企業の効率を向上させることができるのです。

 このようなメリットがあるため、明らかに多くの企業がジェネレーティブAIや合成データに期待を寄せているわけです。そして、より多くの企業が合成データやジェネレーティブAIを実験的に導入していけば、今後数年間で新たなユースケースが次々と現れることになるでしょう。

【次ページ】予測4:AIユースケースの第1位は社内業務効率化

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