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  • 2023/01/23 掲載

GAFAに匹敵する超巨大『マインクラフト経済圏』が出来上がるまで、何が熱狂を生むのか?

連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第8回)

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全世界に1億人以上のアクティブユーザーを持つ『マインクラフト(Minecraft)』は、『フォートナイト(Fortnite)』『ロブロックス(ROBLOX)』と並び世界3大ゲームとして知られる超人気コンテンツだ。あのGAFAを脅かすほどの経済圏を形成することになったマインクラフトは、なぜこれほどの成功を収めることができたのか。マインクラフトの生みの親であるマルクス・“ノッチ”・ペルソン氏の開発秘話とともに、マインクラフトが経済的に成功できた要因を分析する。

執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山淳雄

執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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マインクラフトが経済的に成功できた要因とは?
(Photo/Getty Images)


GAFAに匹敵する?「マインクラフト」の規模

 『マインクラフト(Minecraft)』と言えば、『フォートナイト(Fortnite)』『ロブロックス(ROBLOX)』と並ぶ世界三大ゲームである。これら3つは、単に「ゲーム」というにはあまりに巨大すぎるメディアであり、将来的にはGAFAなどのWeb2時代のプラットフォーム企業らを凌駕するかもしれないメタバースとして期待されている。

 PC版マインクラフトは累計2.38億個、モバイル版は1.3億個もの数が販売されており、NetEase社が発売するマインクラフトの中国語版は、無料とはいえ4.25億個もダウンロードされている。

 現在、マインクラフトは、毎日320万人、毎月1.7億人がその空間でプレイしており、“1つの国”と言っても差支えはない規模に成長している。このマインクラフト人口は、人口世界8位のバングラデシュを超え、7位のブラジルの数に迫っており、これが毎日増え続けている状態である。伸び率も高く、2016年に4000万人だったマインクラフト国の人口は、コロナ前の2019年には9000万人になり、直近2022年では1.7億人、6年間で4倍以上に成長している。

 ちなみにフォートナイトは、毎月8330万人、ロブロックスは2億人である。


「マインクラフト」「ロブロックス」「フォートナイト」の特殊性

 このような1億人クラスのゲーム人口を有する3大ゲームのポテンシャルは、1つのタイトルが長くプレイされ続けるという長期永続性にある。そして、その長期永続性を支える1つの要素が、「MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)」だ。

 PCゲームを起点に拡大したMMORPGは、すでに20年以上の歴史があるが、最近になって登録者や売上の記録更新をしている事例がいくつもあるなど、長きにわたり特定のコンテンツが利用され続けていることが分かる。

 たとえば、韓国のゲーム会社NEXONのMMORPG『マビノギ』は、2004年から運営スタートしているが、18年目となる2022年に過去最高売上をたたき出している。また、直近のスクウェア・エニックスでも、その好業績が『ファイナルファンタジー15(FF15)』(2016)でも、『ファイナルファンタジー16(FF16)』(2023)でもなく、2010年からサービスを開始していた『ファイナルファンタジー14(FF14)』によるものだったという“事件”が話題になった。登場から12年を経た現在も、FF14は毎日120万人のユーザーがいるのだ。

 なお、こうしたFF14人気はもう1つ別の要素が関係している。最近、オンラインゲーム「World of Warcraft」(2004)のアップデート版に憤慨した米国人Twitchストリーマーのアスモンゴールド(Asmongold)氏がFF14に乗り換えたことで、数十万人単位の「移住」が起こったことが背景にある。330万人ものフォロワーを持つインフルエンサーともなれば、もはや1つの町を動かす影響力である。

 それでは、マインクラフトの場合はどうだろうか。マインクラフトは物語を攻略・体験したり、相手を倒したりといった一般的なゲーム要素よりも、むしろ「表現をしたい」というメディアとしての特性が際立っており、それがYouTubeやTwitchなど自己発信型ツールの普及とともに巨大化していったと考えられる。

 また、世界トップのゲーム配信プラットフォームでもあるTwitchにおいて、配信者100万人を超えている作品は8個あり(ロブロックスも入っている)、1位がフォートナイトの375万人、3位がマインクラフトの222万人である。

 このように、毎日のようにプレイされ、配信され、視聴されている効果は絶大である。図表1は世界全体で話題を集めたコンテンツをGoogleトレンドで比較してみたものだ。

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図表1:数字から分かるマインクラフト人気
(出典::Googleトレンドより筆者作成)

 瞬間的なインパクトこそ「スターウォーズ」や「アベンジャーズ」の映画公開タイミングには敵わないが、数カ月単位で収束してしまうそれらの“お祭り型コンテンツ”に比べると、マインクラフトは決して衰えることのない興味を引き続ける永続性の高い作品である。マインクラフトは2012~2016年と高位安定をしており、2013年7月のピークからなだらかに落ちた時期はあるが、2020年のコロナ禍以降、明確に復活している。

 そんな人気の衰えないマインクラフトは、なぜこれほどまで人気のコンテンツとなれたのだろうか。ここからは、マインクラフトの生みの親であるマルクス・“ノッチ”・ペルソン氏のとんでもない成功ストーリーを紹介しつつ、マインクラフトがここまでの成功を手にするに至った3つの分岐点、生み出した経済圏の内訳を解説する。

【次ページ】マインクラフトの生みの親、とんでもない成功ストーリー

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マインクラフトが生み出したとんでもない経済圏の規模とは?その内訳を後半で詳しく解説する

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