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  • 2012/10/15

変化を乗り越えるエンプロイアビリティの向上:篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(47)

ホワイトカラーに求められる「情報の知的組立作業」

技術革新の時代に雇用問題を解くカギは、労働市場と教育市場の連携にありそうだ。新技術は古い雇用を奪う一方で、まったく新しい雇用を創出する。だが、それはタイムラグをともなう。短期的に起きる厳しい雇用状況を乗り越えるには、新しい時代にふさわしい能力を身につけ、一人ひとりの市場価値(Employability)を高める仕組みが必要だ。

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

労働市場と教育市場の連携が重要

これまでの連載
 前回みたように、技術革新のスピードが速く企業の形が大きく変わる時代には、失業と雇用の2つの場面で断層が生じやすく、企業を追われた失業者が職を探すことをあきらめて、労働市場そのものから退出する事態も招きかねない。

 ただし、労働市場からの退出は、必ずしも消極的な意味だけの行動ではないようだ。技術体系が大きく変化する中で次の職を得るためには、新時代にふさわしい能力開発が求められる。そのため、ふさわしい人材への転換を図るべく、労働市場から一時的に退出し、大学などで学びなおして最新技能を身につけるという挑戦型の行動もある。これは、将来に向けた前向きな労働市場からの退出といえる(図表1)。

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図表1 労働市場とつながる教育市場

 IT時代の能力開発といっても、狭い意味の工学的な技術分野に限られるわけではない。企業の組織運営や経営のあり方から法律や規制まで社会が大きく変化する中にあって、最新のマネジメントや制度問題を学ぶことは有意義だ。また、活発な情報流通で求められる顧客や投資家との関係、すなわち、パブリック・リレーションズや新しい金融・財務手法などを身につけることも大切だろう。

 つまり、あらゆる領域で「教育」へのニーズが高まり、労働市場と教育市場の連携が求められるのだ。実際、1990年代以降の米国では、医療と並んで教育産業の雇用がかなり増加し、景気拡大期に限ってみても、製造業の雇用増加を上回っていた。日本でも社会人教育や生涯学習の大切さが唱えられているが、それは単なる趣味や教養という次元を超えて、より現実的な要請があるといえそうだ。

 情報化は知識を基盤とした経済活動を促す(連載の第10回第11回第12回を参照)。農業の時代には肥沃な土地などの天然資源が、また、工業の時代には機械装置がそれぞれ富を生み出す源泉であったが、情報の時代には物的な生産力だけでなく、知識と知恵と技術をもった人的資本の豊かな発想力こそが富を生み出す源泉となる。知識経済化(ナレッジ・ベース・エコノミー)が進展するという文脈からも、労働市場と教育市場は密接な関係があり、両者の連携が雇用問題を解決していくカギとなりそうだ。

【次ページ】技術と雇用の複雑な関係を3局面で整理する

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