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  • 2013/12/02 掲載

パソナ 南部靖之 社長が描く未来の働き方、「いずれはパソナ本社を船の上に置きたい」

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1976年に創業されたパソナグループは、人材派遣/人材紹介/再就職支援/アウトソーシングを展開するパソナを中心に、個人のライフスタイルに合わせた働き方を提案してきた。東京大手町にある本社ビルでは、社屋内で農作物を育て、就農支援をアピールするという“奇策”でも注目を集めている。Microsoft Conference 2013で登壇したパソナグループ 代表取締役グループ代表の南部靖之氏は、「いずれはパソナの本社を船の上に置き、東京湾に浮かべたい」と自身の構想をぶちあげるとともに、同氏の思い描く将来の働き方について語った。
執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

NASAも視察に訪れた“地下と地上階で農作物を育てる”オフィスビル

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パソナグループ
代表取締役グループ代表
南部 靖之 氏
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パソナ本社社屋「アーバンファーム」。ビルの外壁は植物で覆われ、四季折々の花が咲く
 東京大手町にあるパソナ本社ビルは、毎年5月に10万本のバラの花でビル全体が包み込まれる。

「これを可能にしてくれたのが、実はITだ。ビルの内外部共にITを活用して、太陽の照度や湿度などをすべてコントロールしている」

 また受付のある1階のロビースペースは約25~30坪の広さで、ついこの間まで稲が実っていたという。1年に3回、1回当たり1俵(=60Kg)の米を収穫することができ、年間で3俵の米が獲れる。さらに受付の天井にはキュウリやカボチャがなり、社長室隣の応接間からは、年間1500~1600個のトマトが獲れる。

「このビルでは1400~1500名の従業員が働いているが、彼らの昼と夜の野菜類はこのビル内で120%、まかなわれている。持ち返ってもいいほどの収穫量があるということだ。こうしたビルが完成したのもITのおかげだ」

 このビルに先立ち、パソナグループは同じ大手町で大手金融機関からビルを借り受け、地下2階にあった300坪の金庫スペースに、世界で初めて地中農園を作った。

「光も当たらない、風も吹かない。それをすべてITでコントロールする。これによって稲が実るだけでなく、たとえばヒマワリが冬に咲く。あるいはアサガオが夜に咲き、コスモスが春に咲く。すべてをひっくり返した」

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アーバンファーム1階の水田。照明には、メタルハライドランプと高圧ナトリウムランプを使用
(写真は2010年10月報道発表時のもの)

 南部氏はこの地中農園を、人工的に作った光や風でどこまでできるか試したかったという。たとえば採光なら、地上の太陽光を光ファイバーを使って地下2階まで下ろすこともできるが、敢えてLED電球を利用した。

「地下に農園を作り、稲を育てたい、花を咲かせたいと言った時、100人が100人とも反対した。でもやってみなければ分からないというのが私の持論」

 この試みは、3回失敗したという。1回の試行には約3か月かかる。つまり1年近くうまくいかなかったということだ。そこで4回めを行うに当たり、色々な人の助けを借りた。

「ある農業大学の教授に相談したら、分厚い報告書が届いた。そこに書かれたやり方を実行するためには4,000万円から5,000万円の費用がかかる。一方、京都から農業に従事する方を招いてお話を聞いた。この方は私に5分だけアドバイスをくれた。しかもほとんどお金のかからないやり方だ」

 結論から言うと南部氏はこの両方を試した。農業従事されている人からは3つの指摘を受けた。1つめは“この部屋には3つの問題がある。まずこの部屋には雨が降らない。だから雨を降らせてくれ”ということだった。これは植物の根に空気を送るために必要なことだ。雨が降ることで根には空気が入る。そこで根に空気を送り込むための仕組みを作った。

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 次に“この部屋には風が無い。だから風を吹かせてくれ”という指摘を受け、大きな扇風機を設置した。そして最後が“稲と稲の間隔が狭すぎるので、これを広げてくれ”というアドバイスで、これもすぐに対処した。

 こうして農業に従事する人が代々受け継いできたアナログな稲作の技術と、大学教授が教えてくれたIT技術とをうまく組み合わせることで、世界で初めての地下農園を作り上げることが可能となった。

「ビルの照度や温度、湿度をコントロールしてくれているのは確かにITだ。しかしそれがすべてではない。先人たちの知恵が詰まったアナログな技術も採り入れることで、よりよい仕組みを作っていくことができると思う」

 この地中農園は、地下で稲や草花を育てることに焦点を当てた試みだったが、先に紹介した全館バラに包まれたオフィスビルは、働く人を中心に据え、ビルの中で人が快適に仕事できる環境を実現しながら、なおかつ害虫や人が知らない間に持ち込む菌を防ぎ、花を咲かせたり、野菜を作ったりすることを目指したものだ。

「私たちのチャレンジは、地下でも、地上階でも成功した。これは砂漠でも、太陽がほとんど当たらない東欧の国でも、あるいは潜水艦の中や宇宙でも実現することができる。NASAからも見学に来た。世界中が注目している。ITとアナログの組み合わせで可能にしたものだ」

【次ページ】従業員を活かすための「ダイバーシティ」

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