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  • 2015/05/07 掲載

マツダ 金井誠太 会長が語る、大復活劇をもたらした5つのイノベーション

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マツダが好調だ。2度の経営危機を経て、「魂動(KODO)」というテーマのエモーショナルなデザインや、環境規制をクリアしつつ燃費を大幅に向上させた新世代技術群「SKYACTIV TECHNOLOGY」などに基づいて、次々とヒット商品を世に送り出した。2012年に5年ぶりに黒字転換した業績は、翌2013年に最高益を更新、2014年度も過去最高益を見込んでいる。同社の強みとは一体どこにあるのか。代表取締役会長の金井誠太氏が語った。
photo
マツダ
代表取締役会長
金井 誠太 氏
 2020年に創業100周年を迎えるマツダ。2012年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「CX-5」をはじめ、2013年には「アテンザ」がRJCカーオブザイヤーを、2014年には「デミオ」が日本カー・オブ・ザ・イヤーとグッドデザイン金賞を受賞するなど、同社がリリースする新商品に対する評価は高い。

 ブランド評価調査プロジェクト「ブランド・ジャパン」の発行15周年記念ブランドセミナーに登壇した、同社代表取締役会長の金井誠太氏は、「魅力的な商品を生み出すためのイノベーション」と、そのベースにある「ブランド戦略」という2つのポイントを、マツダの強みとして挙げた。

「台数至上主義」のジレンマから陥った経営危機

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 マツダがいわゆる「規模の拡大」から、顧客にとっての存在意義である「ブランド価値経営」に転換した背景には、中期的にわたって経営危機を繰り返してきた歴史があった。

 マツダは、自動車業界の中では世界シェアの2%に満たないスモールプレイヤーながら、世界初のロータリーエンジンの量産化や、80年代にハッチバックスタイルで一世を風靡した人気車「ファミリア」など、業界の常識を打ち破る新技術や新機軸を世に送り出した。にもかかわらず、それが長続きしなかった原因は「規模拡大が最優先の経営目標にあったから」(金井氏)。

「トヨタ、日産、ホンダに負けないよう、販売チャネルを拡大し、商品も、大手と肩を並べるフルラインナップにこだわっていました。しかし、開発の現場では、品揃えするだけが精一杯で、すべての車に競争力を持たせる力はなく、その結果、商品力が落ち、短期的な販売台数達成のために、無理な値引きでお客さまに売り込む販売が常態化していたのです。その結果、ブランドが疲弊してさらに経営を悪化させる悪循環に陥っていました」

 90年代のバブル崩壊後は、ブランドイメージは「地に落ちた状態」となり、ついに、1996年にフォード傘下に入って、フォード主導の建て直しが行われることになった。金井氏は、このフォードによる経営が「現在につながるターニングポイントになった」と振り返る。当時、フォードはさまざまな自動車会社を傘下に持っていたため、「マツダらしさ」を考え直す契機になったからだ。

「マツダとして初めて本格的に体系的なブランド戦略の策定に着手しました。その結果、2000年に、グローバルで統一ブランドイメージを確立するための戦略が立ち上がったのです。これが『Zoom-Zoom』です」

 子どもの頃に感じた「動くモノ」への感動や、心ときめく体験を、車を通してお客さまに届ける。これこそがマツダがお客さまに提供する価値と再定義された。以下のブランド・エッセンス・ビデオは、登場するクルマの映像をわずかに変えつつも、1999年以来、ずっと変わらずにマツダで共有されてきたものだ。株主総会はこのビデオから始まるし、マツダの全スタッフも年に1度は必ず見る。



 そして、このブランド黎明期に、金井氏が設計主査を務めたのが、2002年に発売された初代「アテンザ」である。アテンザは、新しいブランド戦略を体現する商品として、ミッドサイズカーの新たな世界のベンチマークとなるべく開発され、結果的に、RJCカーオブザイヤーをはじめ世界で174の賞を受賞し、金井氏が「以降の商品戦略や開発に自信を持つことができた」と振り返るヒット商品となった。

ブランド価値経営とは
唯一無二の提供価値により、お客さまに選ばれ続け、愛され続けることでビジネスを強化し、企業価値を継続的に高めること

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