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  • 2014/05/13

ノーベル経済学賞にも選ばれた研究、「マッチング最適化」がビジネスに影響を与える日

【IT×ブランド戦略(23)】

「不確実な未来に対する葛藤」に対して、「意思決定の結果を先取りさせること」がブランドの持つ本質的な力である。しかし、それをブランドの定義であるとするのは可能なのだろうか?理想的なマッチングプラットフォームを考えることで逆説的に見えてくるのは、「それを手にした未来における、幸福感を先取りさせるほどの力」を持つかどうかという、両者の本質的な違いである。

プロジェクト・コンサルタント 後藤洋平

プロジェクト・コンサルタント 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

理想的なマッチングサービスとは?

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 理想的なマッチングプラットフォームとは、いかにあるべきだろうか。

 それは、ありとあらゆるマッチング候補がデータベースに登録されており、それらの候補に対して、探索者の要求に応じて順位付けできる関数が備わっており、その関数によって、十分効率的な候補者探しができる、そんなプラットフォームである。

 しかし、現実の世の中は不完全なもので、ありとあらゆるマッチング候補がデータベースに登録されているようなサービスはそもそも存在しない。例えば賃貸物件を探すとき、あるサイトで見つけた物件が最も良さそうに見えても、「もしかしたらあちらのサイトにはもっと理想に近い情報があるかも・・・」ということで、あっちのサイト、こっちのサイトと行ったり来たりするのは、そんなに珍しい話ではない。

 もし「ありとあらゆるマッチング候補がデータベースに登録されたマッチングプラットフォーム」が実現すれば、登録情報を十分に比較検討さえできれば、「このマッチング候補を選んで本当にベストなのだろうか?他にもっといい候補はどこかにいないだろうか?」という悩みは存在しなくなる。

 ただ、それでもなお厄介なのが「登録情報を十分に比較検討する」というものだ。つまり、候補を順位付するための関数、ロジックである。

 例えば住まいを探すときに心のなかで考えることは「暮らしぶりのイメージ」、例えば「職場に楽にアクセスできて、買い物にも外食にも便利で、モダンなインテリアで、犬が飼える部屋」みたいな漠然としたイメージから入る。

マッチングサービスには情報処理の限界がある

 パソコンなりスマホなりに向かって、こんなふうに話しかけることで、対話のような形で「これはどうですか?」と候補を提示してくれるサイトがあれば良いのだが、それはまだ存在しない。  そこで、探索者は一旦、路線、駅からの徒歩時間、間取りや面積、設備といったスペック的な情報に翻訳して、それを起点に物件を探す。例えば「職場に楽にアクセス」という一言を、乗り換えの回数、乗車時間、駅からの距離といった、具体的で定量的なデータにおきかえる、といった具合である。

 当然、ありとあらゆる条件を満たすような物件は存在しない。例えば「アクセスの良さ」と「住環境としての静かさ」のように、なかなか両立しない条件もあるし、それらを満たす物件となると当然飛躍的に値段も上がる。そこで、ある程度幅を持たせて検索をかけて、得られた探索結果に対して、個別に検討を加えていくわけだが、「50平米で1LDKじゃ出てこないな、55平米で2DKにしてみるか、いや築年数をちょっといじってみるか、それともオートロックの条件を外してみるか・・・」と、様々な変数を試した結果、ピンとくる結果に辿りつけず、「そもそもこの沿線には、理想の家がないの?」と、気付けば砂漠のなかでオアシスを見つけたら蜃気楼だった、的な状況に陥るのであった。

 こうしたシミュレーションそのものを、一種の娯楽として楽しめる人も存在するが、純粋にマッチング行為として捉えると、非常に効率が悪い。

 とはいえ、不動産物件であれば、基本的には購入者側だけの意思決定で済むわけだが、これが結婚紹介となると、片方だけが気に入ったとしてももう片方もOKしなければマッチングは成立しないわけで、この探索の複雑さは飛躍的に増すことは考えるまでもない。

 これは現状の情報処理システムが持つ能力の限界を超えている。

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