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  • 2014/12/02

「勝ち負け」という将棋電王戦の結果を、プロ棋士が乗り越える術はあるか?

【IT×ブランド戦略(30)】

ブランドにとって、その外部環境が変化するということは避けられない問題である。将棋のプロ棋士界におけるコンピュータ将棋ソフトのように、その強みを発揮してきた分野に競合が現れる場合は、極めて厳しい戦いを強いられることになる。このことを考えるとき「ルイ・ヴィトンのコンセプトは“旅”である」という話を思い出す。ルイ・ヴィトンとは言わずと知れたバッグの高級ブランドメーカーである。彼らがバッグを作るのに、どうして“旅”などという持って回ったコンセプトが必要となったのか、その過程には大いなる知恵が秘められている。

プロジェクト・コンサルタント 後藤洋平

プロジェクト・コンサルタント 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

プロ棋士は、「勝ったか負けたか」という
対局の結果が評価される仕事

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将棋のプロ棋士が、勝ち負けを超えた価値を生み出すには何が必要か?
 大切なのは、結果なのか、過程なのか。

 正義が勝つのか、勝った者が正義なのか。

 人類の歴史が始まって以来の、常に問われてきた疑問のひとつであろう。これを一心に背負い、職業として、金と名誉を賭けて、勝負に明け暮れているのがプロ棋士である。

 もちろん、プロのアスリート全般に同じことは言えるが、身体的スポーツの場合は視覚的な妙技そのものがショーとして楽しめるという側面がある。またチーム競技の場合、そこにはマネジメントも含めた総合的な物語がある。

 一方で、個人競技で、互いの「読み」だけを競う将棋は、そのようなある種の通俗性が少ないため、より先鋭的な形で「勝ち負け」が問われる。

 将棋のプロ棋士にとって「勝ち負け」という言葉ほど、因果なものはない。

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 プロ棋士の「悲哀」(という単純な言葉だけでは表現しきれないものであろうけれど)とは、最終的な結果が「勝ち」か「負け」という非常に単純化されたものに還元される、ということである。

 どんな達人がやっても、どんな素人がやっても、最終的に得られる結果は「勝ち」か「負け」という同じ言葉で語られる。ゲームの内容がどんなに大差でも、どんなに僅差でも、「勝ち」は「勝ち」。これはふと冷静に考えると、不思議なことだ。

 たとえば「トヨタの出身者は工程改善に強い」といった組織ブランドを考える。素人とトヨタの出身者が同じ工場のコンサルティングに取り組んだら、明確に結果は違ってくるはずだ。彼らの行為は様々な観点で計測され「改善率◯◯%」といった形で、言語化され、評価される。

 しかし、将棋という一対一の勝負事の世界では「勝ったか負けたか」つまり「オール・オア・ナッシング」でしかそのパフォーマンスを測定しようがないのである。

 将棋の面白さは、そのゲームの内実のわからなさゆえに「当事者にとってすら、勝ったか負けたかでしか、その意味が計測できないこともあるという、なんだかよくわからない点にもある。そしてその奥深さによって、多くの人がその魅力に取り憑かれているのは事実である。

 なぜ人がそこに注目するのかと言えば、そこには抽象化された人生とも言うべきドラマがあるからだ。人生という茫洋とした戦場においていかに良い選択をするかという問題こそが、人間にとって共通のテーマであり、興味関心事である。

【次ページ】プロ棋士の「レベルの高さ」をどう表現することができるか?

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