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  • 2014/10/14 掲載

組織のブランドは、観客の語る「ストーリー」によって認知が拡がる

【IT×ブランド戦略(28)】

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ある組織に所属する人々やその出身者が、一定の領域において、常人離れしたパフォーマンスを発揮すると、その組織の外部の人々から期待されるというケースはよくある。組織ブランドがそのようなものであると考えた時、それが成立するためには、「選抜」「育成」「ストーリー」という、3つの要素が必要であるということがわかる。将棋のプロ棋士は、この三拍子が揃った環境で認知を獲得してきたのだ。

組織ブランドが生まれるために必要な「選抜」と「育成」

 「組織ブランド」と一口に言うと、様々なとらえ方ができてしまう言葉であるが、本稿においてはこのような現象について考える。すなわち「ある組織に所属する人々やその出身者が、一定の領域において、常人離れしたパフォーマンスを発揮すると、その組織の外部の人々から期待される」という現象である。

 組織に宿るブランドと事業や商品に宿るブランドは、似たようなものに見えて、全然違う。

 事業や商品にブランドが宿るということは、基本的にはその事業運営や商品づくりに対する信頼ということであり、つまり、サービス提供におけるポリシーや価値観、品質保証体制といったものが人々に認知されていく、ということである。一方で、第27回で見たとおり、組織ブランドとは、一言で言えば「超人伝説に対する素朴な期待」であり、誰かがなにかを保証するといった種類のものではない。

 一体どうしてそのような期待が生じるのか、冷静に考えると不思議な話であるが、これを担保するための根拠としては、二つの要素がある。

(1)一定の選抜によってその才能や能力、ポテンシャルが実証された
(2)その組織に所属することで他にないノウハウや文化、行動規範を身につけた

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 (1)の「エントリー時点の選抜」は世に数多くあって、大学入試や入社試験がまさしくそれだし、一時期もてはやされたグーグルの極めて難解な入社試験もその一例だ。「ホリプロスカウトキャラバン」のような、芸能事務所のスカウト活動や、オーディションもその一種である。

 具体的な手法も、色々なバリエーションがある。広く門戸が開かれ、誰でも挑戦できるものもあれば、スカウトのような、受動的なものもある。判定方法にしても、審査員の主観に委ねられることもあれば、できるだけ客観的な、数値的なもので優劣をつけるということもある。

 一方で(2)にも様々なバリエーションがあって、ある程度の素質や素養がなければ身につかないものもあれば、どんな人であってもやれば身につくというものもある。また、極めて個人的な「師弟関係」のようなものを通じて継承されるものもあれば、組織文化のなかで創発的に醸成されるものもある。

 前回からテーマにしてきた「プロ棋士」という組織で言えば、奨励会という修業の場をくぐり抜ける困難さは非常に有名な話で、これが(1)の「一定の選抜」にあたる。これに加えて、年がら年中、賞金や名誉を賭けてプロ同士で対局していくという活動を通して、さらにその能力が開発され、神がかり的な力を発揮するようになる、というわけだ。

【次ページ】将棋のプロ棋士に求められる「結果」とは何か

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