• 会員限定
  • 2013/11/25 掲載

【IT×ブランド戦略(17)】なぜ私達は宮崎アニメを批評したくなるのか

スタジオジブリ最新作「かぐや姫の物語」公開記念

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
最新作「かぐや姫の物語」が11月23日に公開され、いま世間から注目を集めているスタジオジブリ。この企業においての「商品」とは、取りも直さず「映画」である。それは驚異的なセールス実績を持っており、日本文化における不動の地位を誇っている。私達は、その新作が封切りになった時、人はそれがスタジオジブリ、あるいは宮崎駿という「ブランド」の生み出した作品だから観に行くのだろうか?

「宮崎アニメ」は本当にブランドだったのか

連載一覧
 前回は「スタジオジブリがブランドなのか、宮崎アニメがブランドなのか」という問題を取り上げた。そこで見えてきたのは、「スタジオジブリ」と「宮崎アニメ」は、各々が独立したブランドであり、個別のコミュニティを持っている、ということであった。

 今回のテーマは、第二の問題、「宮崎アニメ」は本当にブランドなのだろうか、ということだ。

 日本文化における存在感。多くの人々を魅了し、ときにその人生を変えるほどの世界観。セールスその他を含めた経済的な影響力。宮崎アニメはいかなる観点においても、ブランド的な性質を持っているように思える。

 にもかかわらず、「宮崎アニメは本当にブランドだったのか?」などとわざわざ問題を蒸し返すのは何事かという話だ。しかし、実はここにもブランドというものを考えるにあたって、重要なポイントが含まれているので、しばしお付き合いをいただきたい。

 「スタジオジブリ」は企業名であり、その企業名はブランドとして成立している。

 言い換えれば、「スタジオジブリ」=「最高峰の才能が集まる制作集団」としての評価が定着しているのだ。たとえ採用担当者が黙っていても、是非ともそこに入りたいと、多くのアニメーター志望者が集まる力を持っている。この企業に入れば、多くの制作会社に比べて相当に有利な条件でスタートできるだろうことは、想像に難くないからだ。

 企業名がブランドとして成立しているということは、すなわちこういうことであって、こうしたことが企業経営におけるアドバンテージの源となるわけだ。

 とはいえ「ブランド」といえば、「ヴィトンの財布」といったように、普通は企業間の活動よりもやはり、最終消費者向けのパワーを持っているかどうか、というところが問われるもの。では「スタジオジブリ」の、一般的な顧客向けのパワーが強いかといわれると、どうだろうか。

 その意味で言うと、「スタジオジブリの商品」が「スタジオジブリだから」というだけで、無敵の力を持っているというよりはむしろ、そこの役割を担っていたのは「宮崎アニメ」という言葉の力によるところが大きい。

 とはいえ「宮崎アニメ」が本当にブランドなのかというと、厳密に考えていくと、ちょっと違う様相が見えてくる。

 ブランドの持つ力の本質とは、「『不確実な未来に対する葛藤』による『意思決定のストレス』を極めて低くする」ということだ。「宮崎アニメ」がブランドであるとするならば、それはどのようなシーンで、この力を発揮しているのだろうか?

【次ページ】「ただ面白いと知っているからもう一度観る」という話

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます