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  • 2014/10/07 掲載

エボラブルアジアが中国プラスワン戦略で目指す、ベトナムの巨大エンジニアタウン構想

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中国以外の他国に進出先を確保する中国プラスワン戦略で、多くの企業がベトナムをはじめとする東南アジア周辺でのオフショア開発を進めている。そうしたなかで、オフショア開発サービス事業に参入し、近年急成長を遂げているベンチャー企業がエボラブルアジアだ。同社では7月、人材派遣業を営むエン・ジャパン子会社と共同で、ベトナムに建設するエンジニアタウン「Evolable Asia Town」構想を発表。今回はエボラブルアジア CEOの吉村 英毅氏に、ベトナムでのオフショア開発の現状やエンジニアタウン「Evolable Asia Town」構想の具体的な内容について話をうかがった。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

中国プラスワン戦略で、ベトナムが東アジア第二の開発拠点に

photo
エボラブルアジア
CEO
吉村 英毅氏
 日本企業が海外進出するにあたり、リスク分散のために中国以外の他国に進出先を確保する「中国プラスワン(チャイナ・プラスワン)」とよばれるリスクマネジメント手法をご存じだろうか。

 海外に開発拠点をアウトソースするオフショア開発についても、この中国プラスワン戦略をとる企業が増えている。ベトナムでオフショア開発サービスを提供するエボラブルアジアのCEOである吉村 英毅氏によれば、「従来からの中国経済の成長による人件費の高騰、日中間の国際関係の悪化もあいまって、新たなオフショア開発先としてベトナムへのシフトが起こっている」と説明する。

「ベトナムというと、日本ではまだ馴染みがないかもしれません。しかしアジアに進出する日系企業にとって、ベトナムは東アジアの中でも、ミャンマー、カンボジア、ラオスに次いで4番目に人件費が安い国です。人件費が高騰する中国よりもはるかに安く抑えられるというメリットがあります」(吉村氏)

オフショア開発はもはやコスト先行ではない

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 これまでのオフショア開発では、どうしても“安かろう悪かろう”というイメージがある読者も多いかもしれない。しかし吉村氏は、東南アジアを中心に多くの企業がオフショア開発を進めていることでエンジニアが鍛えられ、現地人材のレベルが上がっていると語る。

「エボラブルアジアでは、クライアントの依頼を受けて開発チームを集める際、『開発言語』『経験年数』『パーソナリティ』などの条件をもとに都度募集をかけます。ひと月で1000名ほど集まった候補者の上位5%の、約50名を採用しています。その際の最終面接では、クライアント自身が面接に臨んで人選するのですが、『もはや日本人エンジニアよりも技術レベルが高い』とおっしゃるクライアントもいるほどです」(吉村氏)

 また、ベトナム人は勤勉な国民性、かつ親日国ということもあり、日本にとってはカントリーリスクが小さい。全国3000の高校で日本語教育も始まっているほか、IT技術者の育成にも積極的で、現在20万人のシステムエンジニアを2020年までに年間100万人に増やす教育プログラムが組まれるなど、日本企業がオフショア開発拠点を選ぶとして、ベトナムは好条件といえよう。

オフショアは現地子会社を作るよりも効率的?

 前回記事ではオフショア開発には2つの契約形態があることに触れた。吉村氏によれば、継続的なシステム開発が発生する際に適しているラボ型オフショア開発は、「クライアントが海外に現地の子会社をつくることと極めて近い環境をご提供すること」が基本コンセプトだという。

「実際に現地に子会社をつくるとなれば、管理コストもかかってきます。少なくとも100名ぐらいの規模感がないとコスト面や生産面で効率化されません。しかしラボ型オフショアであれば、5名程度から開発チームを海外にアウトソースでき、バックオフィス系の業務は我々が行うため、少人数でも効果が上がります」(吉村氏)

 また日本国内では、慢性的な技術者の需給ギャップ問題が解決されていない。今後将来的に少子高齢化が進んでいくと、深刻な技術者不足になると予測される。エボラブルアジアは、ベトナムでのオフショア事業が、その課題の解決手段になると考えているのだ。

 つづいて吉村氏は、同社がベトナムで計画する壮大な構想について説明した。

【次ページ】1万人の優秀なベトナム人が集うエンジニアタウン
「Evolable Asia Town」構想

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