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  • 2014/12/19

森永製菓がトライ&エラーでわかった動画マーケティングにおける3つのポイント

キョロちゃんも活躍!

YouTubeやVineなどのソーシャル動画サービスを使って、顧客とのコミュニケーションやマーケティングに活用する動きが広がっている。テレビなどのマスメディアを重視してきた大手企業でも消費者との新しい接点として、積極的に活用を始めた。まだ歴史が浅いメディアだけに各社手探りの状況の中、積極的なトライ&エラーを繰り返して確実な成果を得つつある企業のひとつが、チョコボールやダースなどで知られる森永製菓だ。同社はどのように考えて動画メディアに取り組み、成果を挙げてきたのだろうか。

消費者の力を借りることでWebコミュニケーションは成功する

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国民的なお菓子となっているチョコボール。7月に発売した進撃の巨人とデザインコラボした時は、くちばし部分の仕掛けが話題を呼んだ
(出典:森永製菓)

 森永製菓では2010年、広告部と広報部を併合してのコーポレートコミュニケーション部という新しい部署を立ち上げた。現在も、広告担当(マスメディアでの広告出稿などを担当)、広報担当(メディアでのPRを担当)、社会貢献担当(工場見学など直接体験によるコミュニケーションを担う)、そしてWeb担当に分かれているものの、「森永製菓の考え方を、広く正しく効率的に発信し、共感してファンになってもらうという目的は部署全体で一貫している」(コーポレートコミュニケーション部 Webコミュニケーション担当の岩崎 育夫氏)という。

 岩崎氏は、Webコミュニケーションの特徴を「オウンドメディアであることと、双方向であること。この特徴を活かしたコミュニケーションを考えていかなければならない」と説明する。しかし現状では、マス広告にくらべてWeb広告に投じられる予算は少ない。そこで同社がまず考えたのは、マス広告とWeb広告をうまく連携させ、補完しあうように展開していくことだった。

「広告の最終的な目的は、お客さまに売り場に足を運んでもらうこと。マスメディアでは広範囲にリーチするという特性を活かして広告を展開しているので、Webメディアでは逆にひとりひとりに働きかけることを意識した」

 メディア自体のパワーでは、多くの人に短時間でリーチできるマスメディアにWebは遠く及ばない。しかし一方で、クチコミはマスメディアからの情報の数倍の価値があるとも言われる。つまり、ファンになってくれた消費者自身がパワーになり、広告の価値や効果を高めてくれる。

「いかにお客さまの力を借りることができるか。Webプロモーションの成否はその一点にかかっている」

 そう力強く語る岩崎氏だが、森永製菓も一足飛びにその答にたどりついた訳ではない。他の多くの企業と同様、Webサイトを通じた一方通行のコミュニケーションに始まり、やがて双方向となり、スマートフォンなどのマルチデバイス対応も果たした。それでも、なかなか消費者の顔は見えてこなかったと岩崎氏は言う。

「お客さまはいつも、流通という壁の向こう側にいた。従来、森永製菓とお客さまの日常的な接点は、お客さま相談室や工場見学だけだった。そこに、Webコミュニケーションという新たな接点が生まれた」

 消費者との接点としてのWebコミュニケーション、その大きな転機となったのはSNSの普及だ。O2O(オンライン・ツー・オフライン)の取り組みで消費者を売り場に誘導しやすくなり、またコミュニティサイトの運用でファン同士のコミュニケーションも活性化された。

 今ではSNSやメールマガジンなど、延べ40万人の消費者と何らかの交流を重ねているという。岩崎氏は同社のWebコミュニケーションの歴史を振り返り、「企業とファン、バーチャルとリアル、その距離をいかに縮めていけるかという取り組みの歴史だ。そこで得た40万人のファンこそ、森永製菓の大切な資産」と語る。

どんな情報なら拡散してもらえるのかを知っておくこと

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 Webコミュニケーションではファンの力を借りるのが大切だ。では、どのようにしてファンの力を借りるのか。具体的に言えば、どのようなコンテンツを提供し、ファンに拡散してもらうのか。その答のひとつが、動画コンテンツだった。

「そう気づいたものの、狙ったコンテンツが拡散されなかったり、思わぬものが拡散されたりと、マス広告に比べてコントロールが難しいのがWebの世界。お客さまは自分に有益な情報を拡散するので、普段からその興味関心を引きつけておき、エッジランクを高めておく必要がある」

 普段のコミュニケーションでエッジランクを高めておくこと、どんな情報なら拡散してもらえるのかを知っておくこと。重要なのは、その2点だ。そのためのトレーニングの意味も含め、森永製菓は直接売り上げに関係するものも、そうでもないものも含めて、コンテンツを提供することにした。

「動画コンテンツに取り組んだもうひとつの理由は、森永製菓のビジョンをお客さまに伝えるために効果的ではないかと考えたから」

 そう岩崎氏が言うように、動画コンテンツ提供の理由は森永製菓のビジョンにも関わっている。「おいしく たのしく すこやかに」が森永製菓のビジョンだ。「おいしく、すこやかに、という部分は商品そのもので十分に提供できる。たのしくという部分をどう伝えるか、そのために動画が使えるのではないかと考えた」と、岩崎氏は考えたそうだ。

コストをかけず小規模なトライからスタート

 とはいえ、効果が明確ではないWebコミュニケーションに多大な予算をかけられる企業は多くない。少ない予算で拡散力のある動画コンテンツを作るにはどうすればいいのか。

「マスメディア広告と同じように外部委託するという方法も考えたが、まずはツールを探して自分たちで工夫してみようということになった」

 そうして生まれたのが、ツイッター社のマイクロ動画サービス「Vine」を使った「おかしな6秒動画」だ。スマートフォンを使い、お菓子を使った6秒の動画を作って毎週1本ずつ公開している。



 自動的にループ再生されるVineの特性を活かしたループネタ、季節催事ネタ、ストーリーものとアイデアはさまざまだ。6秒の動画を作成するのに1時間ほどの時間を費やすが、特殊な機材を使わずスマートフォンだけで撮影、作成できるのでコストはかからない。更新情報はSNSで発信する情報にもなる。

 次に取り組んだのは、森永製菓のチョコレート菓子「DARS(ダース)」を使ったピクセルアートの制作工程をYouTube上にアップすることだった。ミルク、ビター、ホワイトの3種類のDARSを使い、ドット絵を作り動画で紹介する。こちらもピクセルアート作成に当たるのは森永製菓の社員、撮影に使うのは家庭用ビデオカメラだ。



 森永製菓の人気キャラクターであるキョロちゃんも、動画で活躍している。お菓子の家のレシピを公開したのち、その世界をキョロちゃんたちが旅をする「キョロちゃん劇場~世界旅行編~」が作られた。この動画が好評を得たことを受け、キョロちゃん劇場はシリーズか。短編ストーリーを毎月2回のペースで公開している。



 オンラインでのつながりを活かして、コストを抑えながらインパクトの大きな動画作成に成功した例もある。アイドルグループ「℃-ute」のメンバーである岡井千聖が、所属グループの曲である「Danceでバコーン!」を元に、「DARSでバコーン!」と改変してダンスを披露したのだ。

【次ページ】トライ&エラーからわかった3つのヒント

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