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2015年07月02日

ブリヂストン CIO 武濤氏に聞く、「IoTの進化」がもたらしたタイヤのイノベーション

世界最大のタイヤメーカーであるブリヂストン。5月には、同社のIoTへの取り組みが高く評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で発表した「攻めのIT経営銘柄」にも選定された。IoTに先進的に取り組んできたブリヂストンだが、取り組まざるをえなかった事情もあるという。前編に続き、ブリヂストンのCIO 武濤雄一郎 氏に話を伺った。

前編はこちら
(聞き手は編集部 松尾慎司)

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ブリヂストン
常務執行役員
BIOC事務総長(オリンピック室担当) 兼
CIO・IT担当 兼
経営企画管掌 主任部員
武濤 雄一郎 氏

(写真:伊藤孝一)

差別化が難しいタイヤでは、サービスとして価値を提供することが重要

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車両に装着されたB-TAGシステムのイメージ

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BRIDGESTONE MONITRIXのシステムイメージ

──5月末には経済産業省と東京証券取引所が共同で紹介する「攻めのIT経営銘柄」に選定されました

武濤氏:個別の取り組み、たとえばIoTのソリューションなどだけでなく、経営陣のITへの姿勢・取り組みも含めた全体的な当社のITへの取り組みぶりを評価されて「攻めのIT経営銘柄」に選んでいただいたと思っています。

 タイヤという商品は差別化が難しいので、サービスとして価値を提供することが重要だと、従来より各種の取り組みを実行してきました。たとえば、2012年に発表した「B-TAG(Bridgestone Intelligent Tag)」は、鉱山向け車両のタイヤに空気圧や温度を測定するセンサーを取り付けて、タイヤの状態をリアルタイムにモニターし、メンテナンスできるようにするシステムであり、新たなサービスの一つの例です。

 「BRIDGESTONE MONITRIX(モニトリクス)」も鉱山向けのシステムです。鉱物などで資材を運搬するベルトコンベヤの摩耗状態を自動的に把握し、メンテナンスに役立てます。従来、コンベヤベルトの摩耗状況を確認するには、コンベヤベルトの各箇所を実測する必要があり、操業を一時停止しなければなりませんでした。その点、モニトリクスでは、コンベヤベルトにセンサーを埋め込むことで、コンベヤベルトの厚さを自動で計測することができます。

 お客さまにとっては、タイヤがパンクしてトラックが使えなくなったり、ベルトコンベヤが使えなくなったりすると、生産量や売り上げに直結するので、こうしたサービスは非常に有効なのです。

 もう1つは、将来技術ですが、乗用車のタイヤにセンサーを取り付けて路面の情報を把握できる「CAIS(Contact Area Information Sensing)」の研究も進めています。この技術を使うと、たとえば雪国で路面状態を凍結から乾いた状態まで、7段階でリアルタイムに把握することができます。

 現在は、ネクスコ・エンジニアリング北海道の道路パトロールカーにこのシステムを取り付けていただき、高速道路の状態をセンシングしています。得られた情報は、ネットを通じて凍結防止剤を散布するクルマに送られ、効率的な散布に活用するという実証を数年間続けています。さらに将来的には、一般の乗用車にもこれらのシステムを取り付けて、道路の情報収集に役立てることもありうると思います。

テクノロジーの進化がもたらしたタイヤのイノベーション

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──やはりセンサーやクラウドなど、ITの進化が大きな要因だったのでしょうか。

武濤氏:タイヤというのは、エレクトロニクスなどのように大きなイノベーションが数年ごとに起きるという、技術の変化が非常に速い分野ではないと思います。最初に空気の入ったゴムタイヤができて、その数十年後にスチールラジアルタイヤが開発されました。最近では、スタッドレスタイヤが重要なイノベーションと言えると思いますが、インパクトからすると数十年前、スチールラジアルのイノベーションに匹敵する大きなイノベーションとまでは言えないと考えられています。

 また、これまでタイヤの形そのものが変わってしまうような劇的な変化も起きていません。しかし、一見、変化がなさそうに見えるそのタイヤ技術の発展の中で、実際は、タイヤメーカーは材料や構造を必死に考え、種々の研究開発努力を積み重ね、グローバルにも激しく競争し、技術を発展させ続けてきたのです。

 最近では、タイヤもITの革命的な進展に影響を受けつつあります。たとえば能力の高い、クラウドサービスが登場し、センサーが小型化したことなどで、タイヤの分野でもITを使って、色々なことが可能になっています。アイデアは昔からあったと思いますが、それが最近、ようやく実現可能になってきたのです。

 私も40年ほど前からコンピュータには接してきたので、ITの発展がよくわかりますが、当時と比べると、コンピュータパワーの違い、コストやネットワークの性能、規模は圧倒的に進化しましたので、多くの分野への波及効果も大きいものがあります。

──自動車の変化も非常に激しいですね。

武濤氏:現在、自動車にはさまざまなセンサーが取り付けられ、インターネットを通じて多様なデータを取得できます。こうしたデータとたとえばネット上のマップを組み合わせると、交通状況がひと目でわかりますし、各種のビジネスが生まれています。

 今後も自動車にはさまざまなセンサーが埋め込まれると思いますが、我々の強みは道路にいちばん近い場所とその技術を扱っていることだと考えています。タイヤにセンサーを取り付けると、車体に付けただけではわからない、路面との接触によるさまざまな情報を得られるのです。

 一方、荒れた道路でもセンサーが外れないようにするなど、新たな技術開発も必要です、こうした取り組みを、我々はかなり前から継続して行っています。

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