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  • 2015/08/10 掲載

トヨタのマーケティング、その大半は「若者離れをどう食い止めるか」をやっている

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8月4日に発表されたトヨタ自動車の2015年4-6月期の連結決算は、前年同期比10%増の6,463億円で過去最高を更新した。絶好調に見える同社だが、2015年上半期の販売台数では独フォルクスワーゲンに世界一の座を明け渡した。その最大の要因となったのが国内市場の不振だ(前年同期比9.7%減)。消費増税の影響や軽自動車税の税率引き上げなどの影響もあるが、どうやらそれだけではなさそうだ。リーマンショック以降、次々と“逆風”にさらされる同社だが「逆風の中でこそマーケティングニーズは高まる」とトヨタマーケティングジャパン 取締役の土橋代幸氏は語る。
(取材・執筆:編集部 松尾慎司)

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トヨタが「ReBORN」に込めた思い

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「TOYOTA ReBORN」のサイト
(出典:トヨタ
 トヨタ自動車国内のマーケティングおよびプロモーション活動を手がけるトヨタマーケティングジャパン。販促EXPOの基調講演に登壇した、同社 取締役の土橋代幸氏は「“逆風”の中でこそマーケティングニーズが強まり、今はマーケッターとしての活躍の場が広がっている」と切り出した。

 トヨタが最初に直面した“逆風”は、2008年のリーマンショックを経て、2010年には品質問題が発生したこと。2011年には東日本大震災で車の製造がストップし、これら相次ぐ問題で「大きく企業イメージを毀損した」。

 このとき同社が実施した調査によれば、「最好意度」が40ポイントから32ポイントに、8ポイントも下落した。なぜ「好意度」を同社が重視するのか。それは「トヨタファンではない方にトヨタファンになっていただくと、トヨタの車を買っていただく確率が10倍に増えるから」だ。高額な商品を購入する場合、自分の好きな企業の製品であるかどうかは非常に重要で、そのため同社は好意度を大切にしているのだという。

 こうした“逆風”を挽回するために開始したのが「ReBORN」キャンペーンだ。東北を復興したい、日本の元気を取り戻したい、そしてその上でトヨタも復活したいという思いを込めた。

「若者の車離れ」は「車の若者離れ」だったのかもしれない

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 2つめの“逆風”は「若者の車離れ」だ。ただし、土橋氏は「実際には車の若者離れだったかもしれない」と語る。というのも、自動車メーカーが効率を追っていき、ミニバンやコンパクトカーがよく売れるので、そういった車ばかりを世に出していき、若者に人気があったスポーツカーは業界全体が撤退・縮小してきた経緯があるからだ。

 こうした過去の取り組みの反動は大きく、土橋氏は「トヨタマーケティングジャパンのやっている広告活動、マーケティング活動の大半は若者離れをどう食い止めるかをやっているといっても過言ではない」と明かす。

 土橋氏が特にショックを受けたのが、「男性が嫌がるデートプラン」という記事を読み、その中に「ドライブデート」が含まれていたことだ。ドライブデート以外には「女性の買い物に付き合うデート」など、土橋氏も「そうだよな」と思える結果の中に、「彼ひとりに運転を強いると彼は疲れてデートに行きたくなくなってしまう」といった論調が繰り広げられていたことに強い危機感を感じた。

 そこで同社が始めたのが、「免許を取ろう」というキャンペーンだ。実際には、免許を取る比率はそれほど落ちているわけではなかったが、あくまで資格として取得するだけで、特に都会で実際に運転する人が減っている現状があり、こうした動きに歯止めをかけるべく、運転する楽しさを訴えかけた。

 ほかにも、2014年に「AKB48 Team 8」を結成。全国にあるトヨタの販売店と一緒に、地域に根ざした活動として、「若者をもう一度、車に取り戻したい」ということでやっているのだという。


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