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- 2015/11/16 掲載
ヤフーがOpenStackで5万以上のインスタンスを同時稼働させている理由
OpenStack Summit詳報レポ(前編)
56カ国5000人以上が参加。会場は熱気に包まれた
キーノートは、OpenStack Foundationのアンバサダー(大使)の1人であり、日本OpenStackユーザ会のボードメンバーの長谷川章博氏(ビットアイル)の「ようこそ。OpenStack Summit Tokyoへ」という呼びかけで幕を開けた。簡単な挨拶の後、キーノートの進行を務めるOpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、Jonathan Bryce氏を舞台に呼び込んだ。
「今回は56カ国及ぶ国から5000人の参加者が集まった。このような大きなイベントが開催できたことを感謝している」とBryce氏は参加者、そしてイベントの開催に尽力した日本OpenStackユーザ会のメンバーに謝意を述べた。
OpenStack Foundationで注力していることの一つとしてBryce氏が挙げたのが教育事業だ。OpenStack FoundationではOpenStack Marketplaceのトレーニングコーナーでは、約100個のコースを紹介している。しかしまだまだ「技術者は少ない」とBryce氏。そこで同組織では個人向けのOpenStack管理技術者認定制度を設定した。それが2016年からスタートする「Certified OpenStack Administrator」だ。
「新しいテクノロジーが出てきても、それを理解する技術者がいないとその技術は育たない。この制度によってOpenStuckの技術者がどんどん育っていくことを希望している」とBryce氏は語る。
そして「もう一つの重要なアナウンスがある」と語り、OpenStackの最新版であるLibertyのリリースについて案内した。「12番目のリリースとなったLibertyはこれまでで最大のリリース。コードの行数は400万行。約2000人の開発者が携わった」と言う。実際、会場にもこの開発に携わった技術者が多数来場していた。
Libertyの開発においては、既存バージョンより「管理性やスケーラビリティの改善に注力した」という。というのも「そういうユーザーの声が多かったから」とBryce氏は説明する。実はOpenStackでは、ユーザーも開発に参加しており、「発言権が大きい」からだ。
OpenStack対応の製品・サービスが続々登場している
どんな製品、サービスがOpenStackに対応しているか。それについては「OpenStack Marketplace」を見ればわかる。「この5カ月だけで25もの製品が増えた」とBryce氏。ユーザーにとってなぜ、相互運用性が重要か、深掘りするために、DefCoreコミッティーの副議長を務めるRackspaceのプリンパルアーキテクト、Egle Siger氏を呼び込んだ。DefCoreコミッティーはOpenStackの相互運用性の標準を決める委員会である。「その製品やサービスの利用度から優先順位を決め、OpenStack対応製品として認められるか評価、リリースへとつなげていく」とSiger氏。またこの活動に関心のある人は参加をすることもできるという。「私かBryce氏に連絡をください」とSiger氏は語り、壇上を去った。
引き続きBryce氏が披露したのは、縦軸に成熟度、横軸に採用度をとった、各コンポーネントの四象限図。「採用度も成熟度も高いテクノロジーは成功したもの。しかしこの図は常に変わっていく」とBryce氏は説明する。
たとえばNovaは成熟度、採用度ともに躍進しているのがわかる。しかし最近のユーザーサーベイでは「NeutronやHeat、Ceilometerの採用度合いが上がっている」とBryce氏は説明。「この採用度と成熟度の図およびユーザーサーベイの結果、さらにデプロイの状況などについては、などについては、OpenStackのWebサイトで公開していくので確認して欲しい」と語った。
続いてBryce氏は「OpenStackで起きている面白い現象」を紹介。最近はHadoopクラスタ管理機能を提供する「Sahara」では、ベアメタルをIronicで展開するようになってきたという。また「Magmum」にも注目が集まっているとBryce氏。MagmumはDockerコンテナを扱えるようにした技術で、コンテナのオーケストレーション機能をOpenStackに統合するという特徴を持つ技術だ。
【次ページ】Yahoo!Japanのサービス基盤にOpenStackを採用したワケ
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