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  • 2014/03/25

資料が紙量や死量になっていないか?自覚なき間接部門のムダ削減に取り組む

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

トヨタ式改善の目的の一つは「ムダを省く」ことだ。「ムダを省く」ことに異を唱える人はあまりいないが、では「ムダとは何か?」となると、企業によって、人によって、随分とばらつくことになる。それでも生産現場であれば「付加価値を生まない行為」と定義できるからまだ見つけやすいが、間接部門ともなると「ムダ」なことをやっていながら「ムダ」とは微塵も感じていない人が多いからとても困ったことになる。「報告と手続きは、誤った使い方をされる時、道具ではなく支配者となる」はピーター・ドラッカーの言葉だ。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

数年間もの間、誰も必要としない資料を作り続けていた

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 ある上場企業の創業者がこんな話をしてくれたことがある。

 同社は十数年前に上場をした。当初は株の売買数が気になり、上場後、半年くらいは、各証券会社の売り買いの株式数量を報告してもらっていたが、その後は関心がなくなり、この資料を求めることはなかったという。

 ところが、それから数年経ったある日、その部署の担当者から「資料は今も作り続けていますから必要な時にはいつでもお申し付けください」と言われて驚いたという。

 確かに創業者は「必要ないからもう作らなくていい」という指示は出していない。しかし、「見たいから持って来てくれ」と言うこともなかった。

 言わば、その部署の担当者は数年間もの間、誰も見ない、誰も必要としていない資料を日々コツコツと作り続けていたことになる。

 「この仕事は誰のため?」「何のため?」を問うことをしないと、企業は社員に「役に立たない仕事」をやらせ続けることになると気づいたその創業者は以来、社員に「この仕事をやめたらどんな影響があるのか?」と考えることが大切だと説き続けているという。

240種類の報告書が42種類に

 こうした「ムダな書類づくり」は古くて新しい問題だ。パナソニックの創業者・松下幸之助氏が会長時代、本社が営業所や事業所から上げさせる報告書がどのくらいあるのかを聞いたところ、240種類もあった。なぜこんなに必要なのか。作るのも大変なら、読むのも大変だと思った松下氏はこんな提案をした。

「明日会社がつぶれると困るから、明日つぶれるということに関係のあるものだけは残すけれども、それ以外は全部やめてしまってはどうか」

 すると残った報告書は42種類だけになった。その中には当時高価だったコンピュータによる売上げ報告書もあった。正確な数字は出るのだが、実際にそれを使って何かをしているのかというと、誰も何もしていなかった。

 「報告と手続きは、誤った使い方をされる時、道具ではなく支配者となる」はピーター・ドラッカーの言葉だが、企業にはお金と大切な「仕事時間」を浪費するだけのムダな仕事が驚くほどたくさんあるものだ。

【次ページ】「84のムダの排除」がもたらしたもの

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