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- 2014/03/25 掲載
資料が紙量や死量になっていないか?自覚なき間接部門のムダ削減に取り組む
連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意
数年間もの間、誰も必要としない資料を作り続けていた
同社は十数年前に上場をした。当初は株の売買数が気になり、上場後、半年くらいは、各証券会社の売り買いの株式数量を報告してもらっていたが、その後は関心がなくなり、この資料を求めることはなかったという。
ところが、それから数年経ったある日、その部署の担当者から「資料は今も作り続けていますから必要な時にはいつでもお申し付けください」と言われて驚いたという。
確かに創業者は「必要ないからもう作らなくていい」という指示は出していない。しかし、「見たいから持って来てくれ」と言うこともなかった。
言わば、その部署の担当者は数年間もの間、誰も見ない、誰も必要としていない資料を日々コツコツと作り続けていたことになる。
「この仕事は誰のため?」「何のため?」を問うことをしないと、企業は社員に「役に立たない仕事」をやらせ続けることになると気づいたその創業者は以来、社員に「この仕事をやめたらどんな影響があるのか?」と考えることが大切だと説き続けているという。
240種類の報告書が42種類に
こうした「ムダな書類づくり」は古くて新しい問題だ。パナソニックの創業者・松下幸之助氏が会長時代、本社が営業所や事業所から上げさせる報告書がどのくらいあるのかを聞いたところ、240種類もあった。なぜこんなに必要なのか。作るのも大変なら、読むのも大変だと思った松下氏はこんな提案をした。「明日会社がつぶれると困るから、明日つぶれるということに関係のあるものだけは残すけれども、それ以外は全部やめてしまってはどうか」
すると残った報告書は42種類だけになった。その中には当時高価だったコンピュータによる売上げ報告書もあった。正確な数字は出るのだが、実際にそれを使って何かをしているのかというと、誰も何もしていなかった。
「報告と手続きは、誤った使い方をされる時、道具ではなく支配者となる」はピーター・ドラッカーの言葉だが、企業にはお金と大切な「仕事時間」を浪費するだけのムダな仕事が驚くほどたくさんあるものだ。
【次ページ】「84のムダの排除」がもたらしたもの
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