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  • 2016/07/25 掲載

必ず「社内に残すべき」IT部門の5つの役割とは?ソーシング戦略をガートナーが解説

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クラウドをはじめとする新しい技術の登場により、企業のIT部門の役割が変わりつつある。何を社内に残し、何をアウトソーシングすればいいのか。ガートナー リサーチ部門 リサーチディレクターのクリス・ドーリング氏はこうした「ソーシング戦略」の重要性を強調する。たとえば「交渉の専門知識と技術」は社内で持つ望ましい要件ではなく、必須要件だ。ドーリング氏は、IT部門の5つの役割、そしてITサービスグループに必要な3つのコンピテンシーと4つのパフォーマンスレベルについて明らかにした。

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企業のIT部門は何を社内に残し、何をアウトソーシングすればよいのか

IT部門の役割はどう変化するのか

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 現在、多くのIT部門は、アプリケーション開発を自社で行わず、アウトソーシングしていることだろう。重視するのは機能とコストで、数社のITベンダーと関わりを持ち、何がベストな選択かを自分たちは知っていると自負している。

 しかし今後、アプリケーション開発において安定性や信頼性を重視するモード1と、俊敏性を重視するモード2、つまりバイモーダルにおけるモード2の世界でのITデリバリは、大きな変化を遂げるだろう。俊敏性重視、柔軟性重視といった新たな行動規範を伴い、組織はこの考え方をベースに効率性や実効性を高めて、将来の市場に適合していかなければならない。

 「ガートナー ソーシング&戦略的ベンダー・リレーションシップサミット2016」で登壇したドーリング氏は、「その過程におけるIT部門は、ビジネスをよりドライブしていくためのビジネスファシリテータとなる」と指摘する。

「ビジネスの目標を実現するために、能力の高い専門ベンダーを複数活用して、アプリケーションの能力を高めている、というのがIT部門の将来像だ。そこで基礎となるのは、社内のソーシング戦略だ。これを立案するためには、まずビジネスの目標を理解し、そしてビジネスの戦略を理解しなければならない。ここが基礎の基礎になる」

 企業のソーシング戦略の基礎となるのは、ビジネスの目標であり、その目標を元に立てられるビジネス戦略だ。そしてこれらはビジネスの原則(=ビジネスのガイドライン)によって動かされることになる。

「このビジネスのガイドラインを動かすものが運用戦略であり、さらに運用戦略を動かすものがIT戦略だ。だからIT部門は、どうすれば自分たちの仕事が運用戦略の助けになるのか、その運用戦略が最終的にどうやってビジネス戦略を動かすことができるのかを考える必要がある。そしてIT戦略を定義した後には、ソーシングの戦略を立てなければならない」

 ソーシング戦略は、ビジネスのガイドラインに加えて、ソーシングの原則によっても動かされる。

「ソーシングの原則の例としては、最もコストの安いプロバイダを使うとか、ソリューションとして柔軟性の高いものを使うといったことだ。こうした原則に基づいて、何を、どのプロバイダにアウトソースするかが決まってくる」

 次にITサービスをデリバリするに当たって、考えなければならない2つの要素が、ビジネスとの関係とIT部門側のスキルセットだ。

「まずはビジネス側のニーズを理解して、利用するITサービスに優先順位を付ける必要がある。そしてそのサービスをデリバリするためには、どんなプロセスや作業が必要となるのか、各々にどんな役割や責任があるのか、また自分たちがデリバリのためのスキルセットと能力を持ち合わせているのかを精査する必要がある。こうした要件に基づいて、そのITサービスを社内で維持するのか、アウトソースするのかが決まってくる」

必ず社内に残すべき5つの役割

 ここでドーリング氏は、過去10~15年のリサーチに基づいて導き出した結果だとして、「ぜひ社内で維持していただきたいIT部門の5つの役割がある」と述べた。

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必ず社内に残すべきIT部門の主要な役割
(出典:ガートナー)


 まず1つめが「ITリーダーシップ」だ。特にCIOといった人たちを想定したもので、ITビジョンの策定やITガバナンスへの関与、ITとビジネスとの整合性を図るといった機能になる。

 2つめが「アーキテクチャ」を定義する機能で、自社のITに関する基準やITデリバリのポリシー、たとえば自社にとってクラウドは選択肢になるのか、その中でもパブリックなのか、プライベートなのかといった場合の判断基準を定義するということだ。さらにはセキュリティ要件などもここに含まれる。

 3つめは「事業の改善やソリューション」の理解で、ここではビジネスがどのようにITを使っているかを見ていく。たとえばどんなアプリケーションを使っているのか、そこからどんなビジネスメリットを享受しているのか、今後どんな機能強化が必要かなどを理解する必要がある。

 4つめが「技術進歩」への追随で、今市場にどんな技術があるのか、新しい技術としてどんなものがあるかを把握しておく。

 そして5つめが「ベンダー管理と戦略的ソーシング」で、考慮すべき分野は大きく4つあるという。契約/財務管理、パフォーマンス管理、関係性管理、そしてベンダーのリスク管理だ。具体的には、ベンダーとどんな契約を交わすのか、契約通りにパフォーマンスが守られているのか、さらにはそれに伴うリスク管理といった項目だ。

「戦略的なITデリバリを実現するためには、これら5つの主要な役割が連携を取っていかなければならない」

【次ページ】アウトソーシングする場合、どの程度の頻度でチェックすべきか

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