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  • 2016/09/27 掲載

新幹線、四国や山陰に「開業の日」は来るのか

山形や大分でも誘致運動が活発化

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北陸、北海道の両新幹線開業やリニア中央新幹線着工のニュースが流れる中、1973年に新幹線基本計画に追加された路線の整備計画格上げを求める動きが全国で高まってきた。四国、奥羽、山陰など各新幹線の沿線自治体は「次はうちの番だ」とばかりに機運盛り上げのイベントを相次いで開催している。鳴門教育大学校教育学部の山本準教授(社会学)は「格上げは政府与党協議で決まる政治的問題。政治を動かすには地元の機運盛り上げが何より大切だ」とみている。基本計画から40年以上の年月を経て、これらの地域に新幹線が走る日は来るのだろうか。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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東四国の玄関口となっているJR徳島駅。四国新幹線は本当に実現するのだろうか=徳島県徳島市寺島本町西
(写真:筆者撮影)

中央以外は財政難で40年以上塩漬け状態

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新幹線基本計画の主な路線
 現在、建設中の新幹線の大半は整備新幹線と呼ばれ、1973年に全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備計画が決定された。北海道、岩手県盛岡市以北の東北、北陸、九州の長崎ルート、鹿児島ルートの5線が含まれる。

 このうち、東北と九州の鹿児島ルートは全線が開通した。北海道は北斗市の新函館北斗駅以南が開通し、札幌市へ向けて北進工事が進んでいる。北陸は東京駅から石川県金沢駅までが開業、福井県敦賀市まで工事に入った。残る大阪市まではルートを選考している。九州の長崎ルートは在来線特急とフル規格新幹線を乗り継ぐ方式が決まった。

 基本計画路線は1973年、旧運輸省が公示した。北海道南回り、羽越、奥羽、北陸・中京、山陰、中国横断、四国、四国横断、東九州、九州横断、中央の11路線がある。

 このうち、東京-大阪間をリニアモーターカーで結ぶ中央新幹線が2011年、整備計画に格上げされ、2014年から工事に入った。2027年に東京・品川駅-名古屋駅間、2045年に終点の大阪市まで開業するのが目標だ。

 しかし、残り10路線は国の財政難もあり、40年以上も塩漬けされたまま。国の中央では「新幹線計画は整備新幹線とリニア中央新幹線で打ち切り」というムードが流れている。

整備計画に格上げされていない新幹線基本計画路線
路線名起点終点主な経由地
北海道南回り北海道長万部町北海道札幌市北海道室蘭市付近
羽越富山県富山市青森県青森市新潟県新潟市、秋田県秋田市付近
奥羽福島県福島市秋田県秋田市山形県山形市付近
北陸・中京福井県敦賀市愛知県名古屋市
山陰大阪府大阪市山口県下関市鳥取県鳥取市、島根県松江市付近
中国横断岡山県岡山市島根県松江市
四国大阪府大阪市大分県大分市徳島県徳島市、香川県高松市、愛媛県松山市付近
四国横断岡山県岡山市高知県高知市
東九州福岡県福岡市鹿児島県鹿児島市大分県大分市、宮崎県宮崎市付近
九州横断大分県大分市熊本県熊本市
(出典:1973年旧運輸省告示466号)

広域地方計画盛り込みに意気上がる四国4県

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 「北陸、北海道新幹線の開業で日本は鉄道高速化時代を迎えようとしている。四国もこの波に乗り遅れてはいけない」。高知県高知市で5月に開かれた高知県鉄道高速化促進期成同盟会の設立総会。会長の尾崎正直高知県知事は誘致に向けた決意を表明した。

 同盟会には高知県、県内34市町村、経済団体など計55団体が参加した。これで四国4県すべてに四国、四国横断両新幹線の期成同盟会がそろったことになる。

 同盟会は今後、国などへ早期整備を要求するほか、企業、団体への出前講座、広報活動を通じて機運盛り上げを図る方針。高知県交通運輸政策課は「もはや新幹線は普通のインフラ。四国の発展のため、早期整備を訴えていきたい」と意気込みを語った。

 四国には大阪市から徳島県徳島市、香川県高松市、愛媛県松山市を通って大分県大分市を結ぶ四国新幹線と、岡山県岡山市から高知市へ向かう四国横断新幹線という2つの基本計画路線が通っている。

 このうち、四国新幹線は徳島県鳴門市と兵庫県淡路島を結ぶ大鳴門橋が鉄道と道路の併用橋で建設されたが、淡路島と神戸市を結ぶ明石海峡大橋は道路単独橋。新たに橋か海底トンネルを整備しなければならず、概算で4兆円ともいわれるばく大な費用がかかる。明石、紀淡両海峡の地質調査も2008年度で打ち切られたままだ。

 さらに、愛媛県伊方町と大分県大分市を結ぶ豊予海峡も2003年、トンネル建設構想が事実上凍結されている。建設のめどは立ちそうもないように見えるが、ここに来て動きが急に活発化してきた。

 4県などでつくる四国鉄道活性化促進期成会は5月、新幹線誘致PRに使うロゴマークを発表した。青い線で描かれた新幹線の下に「さぁ、次は四国の番だ」の言葉が躍る。一般公募の応募作品266点の中から選んだもので、ロゴマークの入ったポスターは香川県高松市のJR高松駅などに張り出された。

 四国の新幹線計画は3月、国土交通省の広域地方計画に地域課題として盛り込まれた。国交省広域地方政策課は「あくまでその地域に課題があるという意味で、直ちに整備につながるものではない」としているが、4県は一歩前進と受け止め、さらに誘致に力を入れる構えだ。

 香川県交通政策課は「瀬戸大橋と四国内に新幹線を通すだけでも整備効果が事業費を上回る。人口減少が続く四国の未来のためには新幹線がどうしても必要だ」と訴える。

【次ページ】鳥取や山形でも早期実現求めて決起大会

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